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    tsubasa_cleumi

    @tsubasa_cleumi

    文庫本にも個人サイトにも載せていない作品の仮倉庫。
    紙の本・個人サイト→https://lit.link/yumeirowing

    アイコンイラストはボス様(@Luinil7)にお借りしています。
    #二次創作 #クレ海 #レイアース #ジェオイー #イーフェリ #レイアースNL #レイアースBL

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    tsubasa_cleumi

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    アス→海→?←クレ。エイプリルフール記念(?)タイトルはSSお題メーカーより。
    お手当てシリーズ第二段。

    #クレ海
    cretaceousPeriod
    #レイアースNL
    #アス海

    君には何も教えない「信じられない! こんな怪我してきて!」
    心配を通り越すと彼女は怒るらしい。
    「ごめん」と口では謝りながらも、にやける顔を抑えられない。
    「ちょっと! 笑ってる場合じゃないわよ! 頭でも打ってたら大変なところだったんだから!」
    ひと際大きな声で海が怒った。陣の中で友達が震えている気がする。
    怒った時の海は、崖から落っこちるよりもずっと怖い。
    「足元が見えなくなるくらい夢中で探し物をしてたなんて。一体何を探してたのよ」
    アスコットが、問いに答えることなく顔を伏せたので、海も深く追求することはなかった。
    「まったくもう。気を付けてね。あまり心配かけないで」
    薬を塗りながら、眉尻を下げた海の顔が目の前に迫る。アスコットは反射的に目をぎゅっとつむった。海の息遣いが顔に触れる。冷静ではいられない。染みる薬の痛みに集中することにする。というか、集中などしなくてもまぶたに塗られた薬は思ったよりも痛んだ。
    「痛いでしょ。一番効くのを借りてきたの」
    海は言った。
    「痛いのがいやだったら、もう怪我なんてしないでね。探し物が有るなら次から手伝うから」
    「それじゃ意味がないんだ」
    「え?」
    「なんでもないよ。ありがとうウミ」

    ウミに礼を言い城の回廊に出たところで、会いたくない人に鉢合わせた。
    クレフのさぐるような視線にアスコットはたじろいだ。怪我を見て眉根を潜めている。海が薬を〝借りてきた〟のは、きっとこの人の元からだろう。
    そこにあって自分の今の風体。
    クレフの中で符号は一致したに違いない。
    「治癒魔法をかけてやろうか」と尋ねてこないのが、その証だった。

    心配そうなクレフの表情の中、わずかに混ざった人間らしい感情の名前をよく知っている。気まずい静寂を打ち破るように、アスコットは口を開いた。
    「ウミに手当てしてもらいましたから」
    頭を下げ、クレフの元を足早に離れた。

    背中が燃えるように熱い。恥ずかしさで消えたくなった。
    問われてもいない問いへの答え。まるで無意味なけん制をしてしまった。
    走って逃げ出したいほどだったが、くじいた足がそうはさせてくれない。

    クレフはなぜ海の部屋の前に?
    この後、二人はどんな会話をするんだろう。

    アスコットはきつくまぶたを閉じた。
    薬がまだ染みる。


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