無題「ねえ、桔梗。今度一緒にここ、行ってみないかな?」
「ん?○○グレープガーデンとなっているな…。ということは農園か。珍しいな、てっきりまたカフェでスイーツだと思ったのだが。」
大学からの帰り道、航海はふと思い立ち、一緒に歩いていた彼に声をかけ、そのスマホの画面を見せた。彼はまたスイーツのお店かなんかだろう、俺は甘いものは苦手だと知っているだろうに…。相変わらず好きなのだな、と思いながらその画面をのぞき込んだ。画面には現在開催中のいちご狩りについて書かれていた。
「べっ、別にたまにはスイーツじゃなくたっていいでしょ!それに…ほら、ここはバーベキューもできるみたいだから桔梗でも楽しめるかと思って。」
「それはすまなかったな。…それにしてもバーベキューもあるのか。あったとしても牛肉が用意されていることの方が多いと思うが、ここはジンギスカンがセットの中に入っているのか…。これは凄いな…。」
航海は少しムスッとしながらその画面を操作し、バーベキューができると書かれているページを彼に見せた。そこには期間限定で果物狩りとバーベキュー、両方を楽しむことが可能であるという事が書かれていた。凛生はバーベキューができることにも驚いたが、北海道を離れてから中々食べるどころか出会うことのないジンギスカンにこのサイトで出会うとは思ってもいなかったのだ。
「だよね!ただ、これ来月末までみたいだから近いうちに予定合わせて二人で行きたいな。」
「アルゴナビスの皆とじゃなくていいのか?」
「アルゴナビスの皆と行っても楽しそうだけど、それだとじっくりいちごを味わうなんてできないでしょ?ユウとかうるさそうだし。だから、ここで話しているの。」