🦇II走るのが好きだと言っていたケリーの飛んだ足のブーツの紐の間に挟まったタグ。
一昨日帰ってきたばかりで、ずっと通っていた女と次の仕事が終わったら傭兵を辞めて結婚するんだと言っていたマルの腕に巻きついたタグ。
衝撃で飛んで首から上がなくなった笑顔が似合うムードメーカーだったジョンの近くに落ちていタグ。
懐いていた女の子の持ってたぬいぐるみの腕
その先でそのこが力なくうつ伏せに転がっている。全て土で汚れて、曲がっている。
背中に大怪我をして、高熱で意識が回復し目が覚めた朝、爛れた蝙蝠の刺青を背中に入れた男は静かにそれらを集めていた。
とても静かで
とてもいい天気だった、
空だけはとても。
男はそれを見上げる気分ではなかった。背中も痛かったし。
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