「君は釣りが趣味なのか。」
家に魚がたくさん在るからと、日下部の家に来てみればギラギラと光る秋刀魚が陶器の皿に整列させられていた。弁当のついでに貰ったのであろう、コンビニの細い割り箸でそれらをひょいと摘んではアルミホイルを丸く折り敷いたフライパンに乗せていく。魚の焼ける匂いがしている。逐一人を頼んでしてもらうのも面倒なので、捌くのも下ろすのも一人でやると言う、存外マメな男なのかも知れない。趣味というか暇つぶしですよ、と彼は言った。
余計な事を考えなくていい、水面に竿を垂らしてるだけで俺の仕事は終わりです。ただ待っていればいいのが釣りですから。余暇があれば思索の時間も増えるのではという気もしたが、彼がそういうならそうなんだろう。あと地方に居れば距離の都合で任務に回されにくくなるというのも理由らしい。小狡い。
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