気持ちの赴くままにスキップする。
ワン、ツー、ジャンプ。
軽く跳ぶと空気が入ってスカートが膨らみ、力を込めてもう一段階高く跳べばふわりと舞った。嬉しさのあまり大きくなる私の気持ちのよう。
赤いギンガムチェック柄のプリーツスカートは、先程買ったばかりなのに、すっかり私の心と同調しているように思えた。
大好きなエランと悩んで、買って。「似合うよ」の一言は、人目を引いてどこか苦手だった赤い髪も褒めてもらった気がして、ますます気が大きくなった。
普段なら、通りのど真ん中でスキップするなんて目立つ行為は到底できない。でも今は夕暮れ時に近づいてきて、モノレールへ続く真っ直ぐな通りには人ひとり見当たらない。エランと二人きりだけの空間は、スレッタが幸せに浸って全身で表現することを憚らなかった。
「ごきげんだね」
後方から聞こえた声に、ゆっくり振り返る。
はしゃぐ自分を、少し離れたところで見守っていたようだ。穏やかな顔つきの彼が愛おしくなって、駆け寄って隣に並ぶと、手を差し出して掌を重ねる。アピールにこたえてエランからそっと指を絡めてきたことに嬉しさを隠し切れないようで、顔を喜色を浮かべた。
「今日はとても楽しかったです。エランさんのおかげです」
「何もしてないよ。隣にいただけ」
「そんなことないです。一緒に悩んだり、感想を言ってくれたり」
その思い出の実物となったスカートを履いて、今日という日の終わりを彩っている。陶然とした幸せを噛み締めた。
「また、来月も来ませんか?品揃えだって変わりますし、それに。それに……」
一緒に過ごす約束、したいです。