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    岩藤美流

    @vialif13

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    岩藤美流

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    歌詞から着想を得て書くシリーズ②です。頂いた歌は「売春」でした。
    すっごい考えたんですけど、このなんというか共犯性の有る関係ってほんとあずいでちゃんぽいなあ、って思いつつ、体を売ったほうがあずにゃんだったらどうなるかな~、と考えたらこうなった感じです。しかし私の中でやっぱり二人で破滅するイメージというより二人でこれからの未来につながるレールをぶっ壊すタイプではないかなあと思っています……!

    ##アズイデ短編

    あやまち



    「ごめん、ごめんね、ごめん……」
     青い炎のような美しい髪ごと、顔を覆って。イデアさんは酷く泣いていた。かすれた声は壊れたように謝罪を繰り返していて、それを僕は、ただぼうっと見ている。
     この人は先程、僕の体を性欲の捌け口にした。こう言うと、誤解を招くかもしれない。正確には、嘘をついて僕の体を愛撫したのだ。
     彼の部屋に招かれて。長い時間、一緒にゲームをした。イデアさんはいつものように、僕には軽口を叩いて、それに応じる間にすっかり夜が更けて。眠気がやんわりと全身を包み始めた頃、彼が言った。
     陸では、親愛の印にキスをするんだよ。
     なるほど、それ自体は間違っていない。彼は親愛の証として僕を部屋に招き、長い時間を共に過ごして、ついに僕を抱きしめ、キスをしたのだ。けれど、親愛のキスは、唇同士を合わせるものではないし、ましてや舌を絡めるものでもない。この賢くて愚かで愛らしい人は、僕がそんなことも知らない、無知な人魚とでも思っていたのだろうか。
     純潔に夢見すぎでしょう。彼だって、他人にならそう言いそうなものなのに、自分の事になると少しもわからなくなるようで。そして僕はその過ちに加担するだけの理由を、既に得ていた。
     陸のことなど何も知らぬ人魚のふりをして、彼のキスに応じた。抱きしめてくる彼の背に手を回した。指を絡められれば握り返し、衣服を脱がされてもそれを許した。口づけは優しく、たどたどしくて、罪を犯す指先は震えていた。だから僕は何も言わなかった。口を開けば、彼がこの魔法から解き放たれて、理性を取り戻してしまうと思ったのだ。
     しかし彼は、無知で純潔な人魚を欲望のままに犯すほどまでには、非人情ではなかったのだ。彼は散々上半身にキスを落として、僕の部屋着越しに性器へと触れた。その時、彼は突然夢から覚めて、僕から離れると現在の状態になってしまったのだ。
    「ごめんね、ごめん、ほんとに、ごめん……」
     怖気づくぐらいなら、最初からしなければいいのに。嘘なら最後まで突き通せばいい、僕のように。なのに、イデアさんはこれまでの全ての嘘まで認めて、こうなってしまっている。臆病で、不器用で、意気地無しで、卑怯で。なのにどうしようもなく愛しい人が、罪に震えている。
     この人は、信じているのだ。罪を犯したのは自分だと。僕が、その罪を知りながら許したこともわからないままに。僕たちは、共犯者だったのに、彼だけが逃げようとしている。
     けれど、残念ながら、僕は純潔な人魚ではない。
    「ごめ、……あ、アズール、氏……?」
     顔を覆った手を握る。思わず目線を上げた彼に、僕はどんなにしおらしくて脆く、美しい人魚に映っているのだろう。僕はそんなモノじゃない。僕はあなたが思うような、儚い生き物ではない。
     僕は、捕食者だ。
     欲しいものはどんな手を使ってでも手に入れてきた。どんな努力も惜しまず、誰に何を言われようと、何を失おうとも。
    「イデアさん」
     顔を覆う手を引き剥がして。困惑する瞳が揺れるのを見ながら、彼をベッドに押し倒す。ゆらり、8本の影がシーツの上に広がる。震える指に指を絡めて、じっとその瞳を見据えて、僕は彼を、捕食する。
     先にこの関係を壊したのはあなただ。そして僕もまたそれに応じた。二人で壊したのに、今更逃げることなんて許さない。
     僕たちは、同じ過ちを犯すのだ。
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    岩藤美流

    DONE歌詞から着想を得て書くシリーズ①であり、ワンライの「さようなら、出会い」お題作品の続きです。参考にした歌は「A Love Suicide」です。和訳歌詞から色々考えてたんですけど、どうも予想通りタイトルは和訳すると心中だったようですが、あずいでちゃんはきっと心中とかする関係性じゃないし、どっちもヤンヤンだからなんとかなりそうだよな、と思ったらハッピーエンドの神様がゴリ押しました。イグニハイド寮は彼そのものの内面のように、薄暗く深い。青い炎の照らしだす世界は静かで、深海や、その片隅の岩陰に置かれた蛸壺の中にも少し似ている気がした。冥府をモチーフとしたなら、太陽の明かりも遠く海流も淀んだあの海底に近いのも当然かもしれない。どちらも時が止まり、死が寄り添っていることに変わりはないのだから。
     さて、ここに来るのは初めてだからどうしたものか。寮まで来たものの、人通りが無い。以前イデアが、うちの寮生は皆拙者みたいなもんでござるよ、と呟いていた。特別な用でもなければ出歩くこともないのかもしれない。さて、寮長の部屋といえばもっとも奥まっている場所か、高い場所か、あるいは入口かもしれないが、捜し歩くには広い。どうしたものかと考えていると、「あれっ」と甲高い声がかけられた。
     見れば、イデアの『弟』である、オルトの姿が有る。
    「アズール・アーシェングロットさん! こんばんは! こんな時間にどうしたの?」
     その言葉にアズールは、はたと現在の時刻について考えた。ここまで来るのに頭がいっぱいだったし、この建物が酷く暗いから失念していたけれど、夜も更けているのではないだろうか。
    「こ 5991