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    岩藤美流

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    岩藤美流

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    歌詞から着想を得て書くシリーズ②です。頂いた歌は「売春」でした。
    すっごい考えたんですけど、このなんというか共犯性の有る関係ってほんとあずいでちゃんぽいなあ、って思いつつ、体を売ったほうがあずにゃんだったらどうなるかな~、と考えたらこうなった感じです。しかし私の中でやっぱり二人で破滅するイメージというより二人でこれからの未来につながるレールをぶっ壊すタイプではないかなあと思っています……!

    ##アズイデ短編

    あやまち



    「ごめん、ごめんね、ごめん……」
     青い炎のような美しい髪ごと、顔を覆って。イデアさんは酷く泣いていた。かすれた声は壊れたように謝罪を繰り返していて、それを僕は、ただぼうっと見ている。
     この人は先程、僕の体を性欲の捌け口にした。こう言うと、誤解を招くかもしれない。正確には、嘘をついて僕の体を愛撫したのだ。
     彼の部屋に招かれて。長い時間、一緒にゲームをした。イデアさんはいつものように、僕には軽口を叩いて、それに応じる間にすっかり夜が更けて。眠気がやんわりと全身を包み始めた頃、彼が言った。
     陸では、親愛の印にキスをするんだよ。
     なるほど、それ自体は間違っていない。彼は親愛の証として僕を部屋に招き、長い時間を共に過ごして、ついに僕を抱きしめ、キスをしたのだ。けれど、親愛のキスは、唇同士を合わせるものではないし、ましてや舌を絡めるものでもない。この賢くて愚かで愛らしい人は、僕がそんなことも知らない、無知な人魚とでも思っていたのだろうか。
     純潔に夢見すぎでしょう。彼だって、他人にならそう言いそうなものなのに、自分の事になると少しもわからなくなるようで。そして僕はその過ちに加担するだけの理由を、既に得ていた。
     陸のことなど何も知らぬ人魚のふりをして、彼のキスに応じた。抱きしめてくる彼の背に手を回した。指を絡められれば握り返し、衣服を脱がされてもそれを許した。口づけは優しく、たどたどしくて、罪を犯す指先は震えていた。だから僕は何も言わなかった。口を開けば、彼がこの魔法から解き放たれて、理性を取り戻してしまうと思ったのだ。
     しかし彼は、無知で純潔な人魚を欲望のままに犯すほどまでには、非人情ではなかったのだ。彼は散々上半身にキスを落として、僕の部屋着越しに性器へと触れた。その時、彼は突然夢から覚めて、僕から離れると現在の状態になってしまったのだ。
    「ごめんね、ごめん、ほんとに、ごめん……」
     怖気づくぐらいなら、最初からしなければいいのに。嘘なら最後まで突き通せばいい、僕のように。なのに、イデアさんはこれまでの全ての嘘まで認めて、こうなってしまっている。臆病で、不器用で、意気地無しで、卑怯で。なのにどうしようもなく愛しい人が、罪に震えている。
     この人は、信じているのだ。罪を犯したのは自分だと。僕が、その罪を知りながら許したこともわからないままに。僕たちは、共犯者だったのに、彼だけが逃げようとしている。
     けれど、残念ながら、僕は純潔な人魚ではない。
    「ごめ、……あ、アズール、氏……?」
     顔を覆った手を握る。思わず目線を上げた彼に、僕はどんなにしおらしくて脆く、美しい人魚に映っているのだろう。僕はそんなモノじゃない。僕はあなたが思うような、儚い生き物ではない。
     僕は、捕食者だ。
     欲しいものはどんな手を使ってでも手に入れてきた。どんな努力も惜しまず、誰に何を言われようと、何を失おうとも。
    「イデアさん」
     顔を覆う手を引き剥がして。困惑する瞳が揺れるのを見ながら、彼をベッドに押し倒す。ゆらり、8本の影がシーツの上に広がる。震える指に指を絡めて、じっとその瞳を見据えて、僕は彼を、捕食する。
     先にこの関係を壊したのはあなただ。そして僕もまたそれに応じた。二人で壊したのに、今更逃げることなんて許さない。
     僕たちは、同じ過ちを犯すのだ。
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    れんこん

    DONE第二回ベスティ♡ワンライ
    カプ無しベスティ小話
    お題「同級生」
    「はぁ……。」
    「んんん? DJどうしたの?なんだかお疲れじゃない?」

    いつもの談話室でいつも以上に気怠そうにしている色男と出会う。その装いは私服で、この深夜帯……多分つい先ほどまで遊び歩いていたんだろう。その点を揶揄うように指摘すると、自分も同じようなもんでしょ、とため息をつかれて、さすがベスティ!とお決まりのような合言葉を返す。
    今日は情報収集は少し早めに切り上げて帰ってきたつもりが、日付の変わる頃になってしまった。
    別に目の前のベスティと同じ時間帯に鉢合わせるように狙ったつもりは特に無かったけれど、こういう風にタイミングがかち合うのは実は結構昔からのこと。

    「うわ、なんだかお酒くさい?」
    「……やっぱり解る?目の前で女の子達が喧嘩しちゃって……。」
    「それでお酒ひっかけられちゃったの?災難だったネ〜。」

    本当に。迷惑だよね、なんて心底面倒そうに言う男は、実は自分がそのもっともな元凶になる行動や発言をしてしまっているというのに気づいてるのかいないのか。気怠げな風でいて、いつ見ても端正なその容姿と思わせぶりな態度はいつだって人を惹きつけてしまう。
    どうも、愚痴のようにこぼされる 2767

    途綺*

    DONE🐑🔮//綺羅星の微睡み

    甘やかされてふわふわしてぼんやり眠くなる話。※実際にある睡眠導入法を軽くアレンジしています。
    「ふーふーちゃんのばか」

    足を抱えて小さく丸まった浮奇の声は、深く潜り込んだベッドの中でくぐもって響いた。ファルガーがドッゴの夜の散歩から帰ってきた直後という、浮奇にとっては有り得ないほど早い時間にベッドへ入っているのは低気圧に負けて痛みを訴える頭のせいだった。

    外の雨が強くなるにつれて突き刺すような痛みが徐々に強くなってきたこめかみをさすりながら眉根を寄せていた浮奇は、見兼ねたファルガーに鎮痛薬を飲むよう促された。当然の対応だとは分かっていたが昼前から痛んでいた頭は疲れ切って正常な思考を保てず、浮奇は鎮痛薬を差し出すファルガーの手を拒否した。ふーふーちゃんが抱きしめてくれれば治るだとか、脳みそを取り出して壁に投げたいだとか、キスして甘やかしてよだとか。とにかく悪態をついた覚えはあるが何を口走ったのか記憶にない。ただ、話を受け流しつつ浮奇の手を引いてキッチンへと向かったファルガーが唐突に顎を掴んできて、優しく重なる唇に安心したのと同時にぬるい水と薬が口内へ流れ込んできたことで浮奇はようやく正気を取り戻した。
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