Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    はとこさん

    @hatonumaohi

    ビマヨダ投下専用垢。えろからパロから雑多にぶん投げます

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💜 🍆 💕 😊
    POIPOI 14

    はとこさん

    ☆quiet follow

    ビマヨダ修行作①ピアノを弾くヨダナとビマニキ。ゲストにサリエリやナーサリー、アマデウスなど登場してます。ビマニキの出番は最後の少しだけです。

    きら星より流星薄暗い。そしてなんかジメジメしとる。気温とかそういう意味ではなく、気配というやつが。
    お子さまどもに教わり、こっそりやってきたストームボーダーのとある部屋…部屋というよりもはや倉庫かなにかか?
    汚いわけでも物が散乱しているわけでもない。ただ、それのためだけに用意されたのだとわかる。にしても、もう少しマシな部屋にせんかいとは思う。
    眼前に在るそれに触れる。この部屋の灯りは他の部屋と違い、少しだけオレンジがかっている。黒い光沢を放つそれは、おそらく普通の光の下では冷たく見えるやもしれん。ただならぬ気配、といえるのか。触れた時に指先から、なにか言い表しようのないものを感じて…それでも!と気合いを入れて閉ざされた蓋を開く。
    白と黒が並ぶ。ピアノだ。なんかよくわからん気配の在る、だが見た目はただの…いや、おそらくそこそこ値打ち物であろう匂いがするピアノだ。
    先生に会ったら優しくして、お礼にお菓子をご馳走してね!と言われた。仕方なくビーマに命令してラドゥを作らせた。はずが、どういうわけか殺気まみれの目で睨まれた挙げ句、注文とは違うガレットなる焼き菓子を寄越しおった。あんのバカゴリラめ…黙って言うことを聞くという知能が存在せんのか。

    「今度あやつの靴に画鋲をぶちこんでくれるわ…」

    そんなもん痛くも痒くもないだろうが。あやつのことだ、誰がそんなことをしたかなど秒で察しがつくことだろう。盛大に顔をしかめるビーマのアホ面を想像しつつ、わし様は並ぶ鍵盤のひとつを人差し指で軽く押す。
    ぽーん、と。音が鳴る。当然のことだ。しかし、そこから先がわからん。続けてもう一度、今度は二度鍵盤を押す。ぽんぽーん。音は鳴るが到底音楽とは呼べない。

    「確か…」

    数日前、お子さまどもと戯れておった時だ。ナーサリー・ライムが言ったのだ。ピアノを一緒に弾きましょう、と。わし様体を動かす方がよいのだが?と提案したが、あれよあれよと音楽室なる部屋に連行された。そこで、アマデウスと言う音楽家のサーヴァントと出くわし…奴の奏でる音楽に耳を傾けた。
    素晴らしい。わし様は美しいものとそうでないものの違いがわかる男。性格にやや問題はありそうだったが、細く、戦など知らぬ指先が紡ぐ音はまさに神の領域であると素直に称賛した。そこからがまぁ、地獄だったのだが。

    「最初は…ド…次もド…」

    呟きながら、人差し指で鍵盤を押していく。
    アマデウスのリサイタル後、めちゃくちゃに満足したわし様は普通に帰ろうとした…はずが!どういうわけかお子さまとアマデウスによるピアノレッスンを受ける羽目になった。おかしくないか!?
    しかも…前々からあたりの強かったジャンヌリリィがわし様にめちゃ厳しい。次までに課題とやらをこなせぬとずっと鬼ごっこの鬼の刑をくらう。冗談ではない!いや、まぁ…追われるより追いかける方が好みではあるが、それとこれとは話がまるで違う。
    子供の成りをしてはいるが曲がりなりにもサーヴァント。体力が底をつかないうえ、この前なんぞわし様の弟としてやったパリスが、あろうことか逃げ先に兄貴であるヘクトールの後ろを選びおった。
    あんのヘラヘランサーめ…自分のことは自分でやりな~などと諭しておきながら、弟になにか用?ことと次第によっちゃただじゃおかないけど?と顔にデカデカと書いた兄貴ムーヴでしれっとスキルを使ってきおった。マジで最悪だ…!わし様、わし様に優しくない奴はキライだもんね~だ。

    「ソ…ソ…ラ……?えぇい、次はなんだ?」
    「ラだ」

    応えが、在った。そして、底冷えのするような気配もだ。
    ピアノからゆっくりと、最大の警戒をしつつ視線を上げる。一体いつの間に現れたのかもわからんかった。わし様に気取られぬとはなかなかやるではないかと声を上げるべきか。
    部屋の一番影が深い場所から影が…いや、ひとりの男がゆったりとした歩調でもってこちらへと歩み寄ってくる。戦士でないのは一目でわかる。灰色の髪、そして暗く淀んだ目はありきたりだが血のように赤い。磨けばさぞ美しく輝きそうだが。
    叩けばあっさりと折れそうな細い体から伸びる影が…どうしてか強く印象に残る。

    「誰だ…?」
    「…我は、わた…し、は…」

    己の顔面を両の手で抑え、男はしきりに我とわたしを往復する。え?もしかして、関わったらマズイ系の奴だったか?しかし…どこぞの悪のカリスマだとか嘯くうさんくせーアーチャーよりか少し…馴染むような匂いがあった。気のせいか。

    「おい、大丈夫か?」
    「…ピアノ、を」
    「は?」

    ピアノを。
    震える指先で男は鍵盤に触れる。先ほどわし様が弾いた音を、ゆっくりと奏でる。大きな違いは…わし様のあれが児戯に等しいと察せられるほど、洗礼された指運びで音を叩き出す。
    いつしかピアノに触れる指先の震えは治まり、男は両の手を使い、わし様が先日聞いたものと同じ曲を奏でる。少し雰囲気は違ったが…間違いなくアマデウスとお子さまどもから出された課題曲と同じであった。

    「ふむ、先日聴いたものと趣が違うが、これはこれで素晴らしい。なるほど、おまえが先生とやらか」

    わし様の言葉に、男は弾く手を止めてこちらに振り返る。先ほどまで、男の目は底が見えぬほど濁りに濁っていたはずだ。今は、その淀みが薄れ、おそらくはそれが本来の色なのであろう。澄んだ赤に、呆けた顔のわし様が映っている。

    「先生、などでは」
    「この演奏、おまえも名のある音楽家であろう?わし様の耳は誤魔化せん。先日聴いたアマデウスの曲運びとは違うが」
    「アマ…デウス…?」

    口にしたその名に澄んでいた目の輝きが一等増したかと思えば、瞬く間に昏く沈んでいく。今度は指先どころか体全体を震わせて、ギリギリと音が聞こえそうなほどに唇を噛み締める。どこかから獣の唸りが聞こえる…獲物を前にして、その首に爪を、牙をたてる前の獣の声だ。それは今、眼前の男からしている。
    人でありながら、否。これは人ではない。モノは違うが…そうか、馴染むような匂いは、その元とは。

    「…今はこやつと話しておるのだ。誰あろう、このわし様が」

    男の影が、その気配が強くなる。地の底から這うような…事実、その影からぐねぐねと気味の悪いもんがわし様へと伸びる。だが、わし様へと触れる前に、なにかに気付いて動きを止める。
    わし様がなんであるか。そう、わし様は悪魔…カリの化身である。何であるか知らんしどうでもよいが、同じ黒ならより深いものに飲み込まれるが道理。それはわし様とて同じだが…どうやらわし様の偉大さがわかったようだ。
    気味の悪いもんは成りを潜め、獣の唸りが消える。さすがわし様。

    「で、改めて名を問うぞそこな音楽家よ。わし様に名を答えるがよい」



    数日前、あのイカれクソ王子からなんの前触れも説明もなくラドゥを作れゴリラ、と名指しされて危うくぶっ殺しそうになった。
    結局、たまたまその時に作ってたガレットを袋に詰めて押し付けてやった。やれ注文と違うだの誠意が足りんだの喚き散らしてたが…そんなこと知ったこっちゃねぇ。ただ、自分で食うにしては包めと言ったのが引っ掛かった。あのバカは自分で食うならそんなことはしない。我慢なんぞできるわけがねぇから、その場ですぐアホ面晒してもしゃもしゃと食らうはずだ。それが包めだと?
    あいつが誰と会おうが手下にしようが知ったこっちゃねぇが、俺の料理を使われるのは面白くなかった。ガレットはたまたま大量に作るのを手伝っていたから。それを、少し分けてあげてとブーディカに言われたからやった、ただそれだけだ。

    「…?」

    風に乗って、微かに音楽が聞こえる。
    視線を向ければ、ストームボーダーにある娯楽施設の前に人だかりができていた。
    笑い声。そこに混ざるへにょへにょとした拙い音楽。ぽろん、ぴろん。下手な踊りみてぇな音が聞こえる。もしかして、これが音楽会とやらか?それにしちゃ、随分ヘタクソだが…。
    近寄ったのはなんとなくだった。人だかりの一番後ろ…それでも、俺はデカイからよく見えた。

    「違うわ。次はラよおじさま」
    「えぇ~い!わかっとるわ!」

    きゃらきゃらと笑う子供の声と、嫌でも誰だかわかるバカデカイ声はドゥリーヨダナのもので間違いない。
    見れば、黒光りする楽器…ピアノの前並んだ椅子にバカ王子と、確かナーサリー・ライムといったか。ともう一人、側に影のような男が立っている。灰の髪、細身の体から少し嫌な気配を察するが、今のところなにも起きちゃいない。

    「喧嘩はよくない。いいか、もう一度…始めからゆっくりと」

    落ち着いた声が響く。嫌な気配を漂わせた男の言葉に従って、ドゥリーヨダナとナーサリーは揃って頷くと、その手をピアノの上にはしらせる。

    「……」

    さっきはヘタクソな踊り程度の音だったくせに。ゴツい、戦いを知る太い指先がピアノを女の肌に触るように撫でていく。その横を、ナーサリーの節が見える人ではない、だが人間らしい子供の指が追いかける。
    連弾、というやつだよ。と、いつの間に横に立った男が呟く。

    「…俺に、言ったのか?」
    「ん?だって君、音楽なんかこれっぽっちも興味ない!って顔してるぜ」

    まったくもってその通りだが、なんだか小馬鹿にされたようで腹がたつ。思わず睨み付けると、男はお~怖い怖いと、手に持っていた菓子を俺に寄越す。

    「おい、」
    「耳をすまして聞いてごらん。その菓子より甘くて幼い音を。いいね!あいつが熱心に教えてたからどんなものかと思ったけど、これはいい!」
    「は?」
    「君が、彼にとってのきらきら星だったんだな」

    これは面白い!と言うだけ言ってふざけた野郎は人だかりに消えていく。
    言われた言葉を頭の中でもう一回繰り返す。きらきら…星?確か…ふざけたリズムのふざけた歌だったような…俺がそれだと?

    「あの野郎今度会ったらぶっ殺す」

    思わず力を込めた手の中で、可愛い袋に詰まった菓子が砕ける音を聞いた。

    .
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💜💜👏💜💜✨🎼🎹💜💜💜💜🎹🎼🎶🎵💜🌠🎶💜
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    はとこさん

    DONEリク

    『強化レベル1同士のよわよわビマヨダの話』

    ということで、ちょっとうまくまとめられなかったような気がしますが…レベル一の二人がぽこすかとしている話です。
    マスターと、ゲストとして…ヘクトールが出ていますが完全にわたしの趣味ですすいません…。
    リクにそえていればいいのですが…甘い、より可愛い(?)を目指しました。
    リクありがとうございます!
    弱々しいは解釈違い罠。
    それは古い遺跡だの洞窟だの、偉い身分の王子だの王だのの墓に仕掛けられる、結構な確率で死人を出すレベルの極悪非道なものを指す。わし様、ウルトラ高貴で誰もが羨む最高にして最強の王子だが、自分のテリトリーにこんなもん仕掛けられて、まぁ、わし様ほどできる男はこのようなものに引っ掛かるような馬鹿をやらかすはずはないのだが?ずぇっっったいこんなもん仕掛けん。間違ってわし様のカルナやアシュヴァッターマンが踏んだらどうしてくれる?だから、ずぇっっったい置かない。置くなむしろ。

    「あ~…」

    二の腕を組むわし様の前で…タブレットなる機械越しにダ・ヴィンチと会話を交わしたマスターが…なにやら納得した顔でこちらを見た。そこはかとなく、いや、ものすごく嫌な予感がする。
    2498

    はとこさん

    DONEリクの

    『ヨダのわがままなお願いを全くわがままだと思わず対応するような甘いビマヨダ』

    当方のビマヨダまったく糖分を感じられないので、これでもかと物理的にも甘くしてみました。その前に、老ヨダナについてお褒め頂いたので、こちら老ヨダナ仕様のビマヨダになります。
    リクに…叶っているといいのですが…

    お声がけ頂き本当にありがとうございます!
    わがまま王子の愛され上手「どうした?狐につままれたような顔をしよってからに」

    ストームボーダー内にあるキッチン。そこでは日夜腕に覚えのあるサーヴァントたちが古今東西、さまざまな料理を生み出し、振る舞っている。やはり馴染みがあるのは母国の料理ではあったが、他国の…見知らぬ味をこの舌にのせる時の高鳴りといったらない。
    料理の味は保証されている。あとは好き嫌いの問題のみ。それはメニューを見て、コックに聞き、好みではないものを弾いていくだけの仕事である。実に簡単。それだけのことでこのわし様をも唸らせる美食にありつけるのは気分が良い。食は、二度目の生の中で一二を争う大事な娯楽であった。これがあるのとないのでは、日々の潤いに天と地ほどの大きすぎる違いがある。楽しみは多ければ多いほど良い。でなければ…あのお人好しを絵に描いたようなマスターが遠い目をしながらわし様に願い賜るあの地獄もかくやといった周回に耐えられん。
    3369

    はとこさん

    DONE先日のビマヨダ武者修行アンケにて一番票を頂きました頭痛の話の完全版です。ポチして頂いた皆様ありがとうございます!サンプル部分も加筆してます。途中ビマニキに視点が移ります。湿度高め。なにかに気付いてしまったビマニキの話。キス表現有。
    しるし「うぅ…」

    頭が割れる、とはよく言ったものよ。じんじんと、偽りの心音に合わせて脳を揺らす痛みに米神を抑えて唸る。この現象はどうせいつものヤツに決まっている。さすがわし様察しがいい!と、我褒めを口にする元気もない。むしろ口を開けば酷い頭痛のせいで吐きそうなくらいだった。
    痛む米神、そして瞼の奥を指先で揉み…自室のベッドをごろごろと転がる。なにしても痛むとか地獄か?頭だけでなく、心なしか首まで痛む始末。これは本格的にダメなものだと見切りをつけて立ち上がる。自分でどうにもできんのなら医務室へ行くしかあるまい。と、そう決めたのだが…

    「お?っ…」

    くらり。
    世界が歪んだと思った瞬間、なんとか足を踏ん張り、無様に床へ倒れることだけは回避したが…変に力を込めたせいか、頭痛が悪化した。じんじん、という痛みの信号が…内部から鈍器で殴り付けられるかのようなガンガン、というものに変わる。もはや目も開けていられず…そのままベッドにぼふりと倒れる。
    4782

    recommended works