雰囲気よりも食い気今日は違うものが食べたい。と、そう我儘クソ野郎が言ったのは、俺が冷蔵庫に今日作ろうと買ってきた食材を入れている最中だった。
もちろん、もっと早く言えよボケカスがとその我儘野郎の頭を叩いた。それが悪手だったと気付いた時には遅く、我儘ボケカス野郎は完全にへそを曲げてしまい、今日は外で食べると言って聞かなかった。
せっかく、今日は寒いと聞いて鍋にしようと思っていたんだが、この馬鹿がこうなるとテコでも考えを変えねぇことは嫌と言うほどわかっているから早々に諦める。
食後に飲もうと思っていた酒も、その後のあれそれも全部ご破算だ。どうしてくれようこの馬鹿。
「おぉ~寒い!寒くてしぬ…」
デカイ図体を縮こませて、長いマフラーに完全に埋もれた形になるクソ野郎は、俺が着ているダウンジャケットより格段に質も保温性も高いコートにくるまり、それでも足りないと俺にしがみついてくる。は?
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