手紙もう1人の主様へ
　初めまして。わたしはあなたの後に悪魔執事の主となった者です。直接お話することが叶わないため、こうして筆を取ることに致しました。
　デビルズパレスは今、貴族たちのパーティーの準備で大忙しです。わたしも買い出しに同行しました。とは言っても、デザートはタルトにするかムースにするかを選んだり、自分が着る衣装に使う生地を当てたりしたくらいですが。少しでも彼らの役に立てていたなら嬉しいです。あなたも彼らといるとき、こんな気持ちでしたか？
　せめて荷物持ちができるくらいの腕力と体力があれば、と思わなくもありませんが、別邸の皆には追い付けそうもありません。今日もテディが重たいビロードの反物をいくつも腕に抱えていて、とても驚きました。
　別邸と言えば、あなたはまだ彼らのことをご存知ありませんよね。最近新たに仲間になった3人の執事です。もしかしたらあなたの知っている人もいるのかもしれません。テディは元偵察隊の副隊長で、いつも明るく溌剌としています。毎日熱心に鍛錬に取り組む様は見ていて気持ちが良いです。
　ユーハンは東の大地の出身です。暗い色の目や髪には少し親近感が湧きます。忠義に篤い彼と話していると、時代劇のお姫様になったような気分になります。
　ハナマルは少し不真面目なところもありますが、皆彼が頼り甲斐のある人だと知っています。
　3人とも、早くあなたと話してみたいと言っていました。一緒にお茶やコーヒーの時間を過ごしたいとも。
　今朝、アモンの手掛けた新しい品種の花が咲いたそうです。早くあなたに見てほしいようでした。どうかお早く、目を覚ましてください。
　あなたの後輩より