絶対にラギ〜くんに抱かれたい 所謂、合コンというものに参加をするのはもうこれで何度目だろうか。年相応に回数だけはこなしてきたが、いつまでも慣れることのないその集まりは酒が入ることによって、もはや彼氏彼女を作るという目的を忘れた社会への愚痴大会と化している。やれ上司が、やれ新卒が、老後資金が親がと尽きることのない話題の変化についていけず、一歩引いたところでちびちびと梅酒を啜ってたまに頷いていると、これが何故か標的にされてしまうのが世の常なのだ。
「全然飲んでなくない?イッキコールでもするぅ?」
「勘弁してよお…」
「これノルマねーっ」
すっかり出来上がった専門時代の友人は、楽しそうに目の前にモスコミュールが置いた。苦手な炭酸にとけたウォッカはこの世で一番喉に優しくない液体だった。場にいる以上、雰囲気を壊すのは本意ではない。早めに飲みきるに限ると一気に煽ればオーディエンスは湧く。おっ景気いいじゃーん!と野次が飛び、手をつけないくせにオーダーされた緑茶ハイを手渡される。こうなりゃヤケだと、もう美味しいか美味しくないかなど考える間もなくアルコールを胃に掻っ込めば、当然、催す吐き気。なけなしのプライドがその場での体裁を取り繕うと、個室を出た瞬間に胃の内容物がせり上がる感覚を覚え、案内板を頼りにトイレへと急いだ。途中、壁にぶつかりながらもたどり着いた便器に鍵を閉める余裕もなく吐瀉物をぶちまけると、どっと疲労感が押し寄せてきた。だから嫌だったんだ。アルコールに強いわけじゃないし、人が多いのも得意じゃない。久しぶりに友人に会えるならと思った私が馬鹿だった。帰りたい。あの空間に、戻りたくない。
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