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    snow

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    snow

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    同棲明主のイチャついてる話です

    Kissing goes by favor. さらりと髪を掬い上げては撫でる指先を感じ、いつの間にかソファで微睡みに落ちていた意識が戻ってきた。けれど靄がかかっているようなふわふわした感覚は消えない。誰が触れているのかはわかりきっているし、重い瞼を開ける気にはならずそのまま心地よい夢うつつに身を任せる。
    「明智、……なあ、明智」
     やわらかく潜められた声が僕を呼んだ。落ち着いた低い声音がするりと耳に入り込んでくる。くすぐるようなやわらかさと甘さ。起こしたいのかちょっかいをかけているだけなのか、彼は相変わらずささやくように名前を呼びながら髪を撫でて遊んでいる。
    「なあ、明智…………今日の夜は空いてるって言ったの、おまえのくせに。……また夜ふかししてたんだろ」
     笑いを含んだ声でつぶやいたあと、額に何かが触れた。指とは違う、やわらかい何か。軽く触れるその感触が何度も繰り返されて、このまま寝ていてはなんとなくもったいない気がする。まだ上手く回らない頭を無理矢理働かせようとしながら、僕はゆるゆると目を開けた。
    「起きたか」
     焦点がぎりぎり合うくらいの距離に顔があって、心臓がどきりと跳ねた。灰色がかった瞳が細められて僕を真っ直ぐに見つめており、ふわふわした毛先がぱさぱさと顔にかかってくすぐったい。弧を描く唇がまた僕の顔に触れる。起きたのにも関わらずまた顔中にキスを落としていく彼にじわりと熱が上がった。
    「……何? 急に」
    「んー? 愛情表現だ。俺の愛、おとなしく受け取ってくれ」
     おどけるように言いながら鼻先に口づける。普段からどちらかというとスキンシップは多いほうだが、僕のパーソナルスペースに合わせているのかここまで積極的に触れてくる彼はなかなか珍しく、まだ回らない頭を言い訳にして、腕をその背に回して抱き寄せた。抵抗なくぴたりとくっついた体が温かくて心地いい。また眠気がこみ上げてきて瞬きで散らす。
     それでもキスは止めないのでそのまま好きにさせていたら、額、瞼、鼻、頬、髪の毛、首から上のすべてに触れるように丁寧に口付けが降ってきた。じわりじわりと触れた部分が熱く火照っていく。顔のあちこちにキスを繰り返すくせに、唇には触れないままの彼に少し焦れったいような気持ちを抱き始めたとき。
    「なあ、明智。キスして欲しい?」
     にやりと意地の悪い笑みを浮かべた彼が聞いてきた。吐息さえも触れ合う距離で、甘ったるい雰囲気に酔わされそうだ。ここのところ、お互いそれなりに忙しく、同じ家にいるくせに会うタイミングを失っていた。そんな中で訪れた機会、久しぶりの色めいた触れ合いに予想以上に飢えていた自分に気づかされる。
     僕はそれでも、懇願する気にはなれず、寝起きで掠れた声で短く告げた。
    「したいなら、しなよ」
     彼は予想していたのか、くすくす笑いながら僕の頬に手をかける。
    「うん。……目、閉じて」
     そう言ったくせに彼自身は目を閉じずにじっと僕を見つめながら顔を近づけてくる。互いの瞳がぼやけてまつげが触れ合うほど近寄ったとき、やっとどちらからともなく瞼を下ろした。
     掠めるように一瞬、唇が合わさる。けれどすぐに離れていく。追うように僕が身じろぐとその瞬間を見計らったように先程よりも強く口付けられた。駆け引きのようなキスは僕の得意とするところだったけれど、器用なこの男は、色事方面にさえ細やかな技量を発揮してみせて、たまにこうして仕掛けてくる。何度も繰り返し触れ合わせて、強く食むように角度を変えながら擦り合わせる。さっきまでのバードキスで身体は互いに熱を帯びていた。何度も繰り返しても触れるだけでは物足りない。
     その感情を読んだのか、誘うようにぴたりと閉じていた彼の唇がほんの少し開かれた。それに乗ってすぐに舌をねじ込む。歯列をなぞり、歯茎を撫でる。一瞬絡んだ舌の表面はざらついていた。おとなしくじっとしているはずのない相手の舌が僕の口内を弄り回す。喰らい合うような口づけにぞくぞくと快感が走った。呼吸さえも飲み込んで吐息を交換するようにキスに溺れていく。
     酸欠で目の前がちかちかと霞むようになってやっと唇が離れた。荒く漏れる息はもうどちらのものかわからない。夢中で貪り合った結果溢れた唾液が顎を伝い落ちていく。
     のし掛かられた太ももに硬い熱を感じる。彼も僕の欲を感じているのだろう、煽るように身体全体をぴたりと擦り寄せてきた。
    「……お疲れみたいだけど。これでもう、満足か?」
    「……クソ、今日寝れると思うなよ」
    「上等」
     にやりと笑って舌なめずりした彼に、こいつも随分と飢えていたようだと実感する。
     手始めに首を引き寄せて、もう一度キスをした。
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