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    yoshida0144

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    yoshida0144

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    忘バワンドロライで書かせていただきました。
    はるけい風味の葵っちと圭ちゃんが2人でただラーメン食べにいくはなし

    お題「はじめ」 テンション高い店員の声と共にスペシャル油そばAが着丼する。ごま油のいい香りに空きっ腹が堪らずグウと鳴り、食事の挨拶はそこそこに思いっきり口にかっこんだ。ごま油と店自慢のタレが絡んだ少し硬めの麺。咀嚼して胃に送ってまたすぐさま次の一口、あーんと口を開けば隣から嬉しそうな声が聞こえてきた。
    「うまーい!」
     幸せいっぱいといった表情の要が口周りをテカテカさせて笑っていた。
     
    「ラーメン食べにいかん?」
     ある日の部活終わりに要がラーメンに誘ってきた。前日のテレビでラーメン特集を観て猛烈にラーメンが食いたくなったらしい。
    「葵っちラーメン詳しかったっしょ!どっかおすすめの店連れてってよ」
    「詳しいってほどじゃねえけど。まあいいか」
     最近言ってなかったし。要と2人で部室を出てグレてた頃よく通った油そば屋にきた。安いのに学生証を見せるとさらに割引してくれる学生御用達の店だ。
    「ほんとすげーうまい!油そば初めて食ったけどスープあるときより具がうまく感じるわ」
    「そりゃよかったけどよ、清峰はよかったのかよ。置いてきちまっただろ」
     要とニコイチの清峰は監督に呼ばれてその場にいなかった
    「いいのいいの。智将に食わせすぎるなって言われてるから。家でもおばさんのご飯モリモリ食ってるだろうし」
    「まあ学校でも肉食ってるしな」
    「そうそう。あーうめー!」
     なんとなく一抹の不安を感じなくもない。しかし食い終わる頃には清峰のことはすっかり忘れてしまった。

     初めてではないとはいえこいつに挑むときはいつも身構える。ゆっくり息を吐いて野菜の山に箸をつける。ジャキジャキとキャベツともやしを食い進めるとようやく麺が見えてきた。野菜と麺をひたすら口に運び合間に店自慢の分厚いチャーシューに齧り付く。舌がうまさに歓喜の声をあげて腹が苦しみ呻いている。うまい、苦しいを繰り返してようやく食い終えた。
    「じ、じぬ……」
    「大丈夫か?ほれ、黒ウーロン飲んどけ」
    「サンキュ……智将がすっげー睨んでくるけど大丈夫。あーあーわーった!明日から10キロ走るから!お菓子も食べないから小言はやめて!吐く〜」
     また一人で会話してる。流石に見慣れたけど何度見てもキショいし面白い。しばらく腹を抱えて笑っていると要が俺さーと話を変えた。
    「部活帰りにこやって友達とラーメン行くの憧れだったんだ。なんか青春って感じじゃんね?」
    「あー?んだあ?」
    「青春、ラブ&ピースっすわ。あ〜くるし〜」
     シニアの頃だって高須先輩や津田さんに何度もラーメンに連れていってもらった。でも要は、つか智将はそういうのは多分なかったのだろう。シニアの記憶は智将の記憶のはずでもアホの要は無意識に憧れを持っているのかもしれない。
     別にラーメンくらい何度だってつきあってやるけど。そう言うとすげえ嬉しそうな顔して感謝のパイ毛とやらをかましてきたから軽くチョップしてやった。

     次の週も要がラーメンに誘ってきた。今日は家系に行きたいらしい。この前二郎系を食ったばかりなのにコイツとにきたら。いつでも付き合ってやると言った手前無碍にはできない。しかし最近ひとつ困ったことができた。
     要がラーメンを誘ってくるときは勿論、昼飯や休み時間にちょっと要と喋るだけで清峰が睨んでくるのだ。重みを含んだ黒い目で、じっとり忌々しげに。何が言いたいかなんて明白で、このままではマズイと思った俺はある行動に出た。
    「つか要、着替えんとき思ったけどお前ちょっと太ったんじゃね?」
    「え、まじ!?」
    「まじまじ。このへんとか……ほら」
    「うわっちょ、やめて、くすぐった!」
    「おおやべー!ぷよぷよ!」
    「朝ランしてるのになんで〜」
     要の脇腹はほんの少し掴めるほどの肉がついていた。こう言えば要からしばらくラーメンを控えると言ってくるのではないかと考え、要の身体を隙間なくチェックしてやった。
     太腿はもともと鍛えてるから太いな。腕周りはどうだ?おおほっぺやわらけ。
     つい夢中になってしまった。そのせいで背後に忍び寄るドロッドロの負の感情に気づかなかった。
    「ははは……は、お、おい!やめろやめろ!」
     次の瞬間、俺は天を舞った。あの夏の監督のように俺は怒り狂った清峰に持ち上げられていた。
    「オレモイク!オレモ!オレノ!」
    「やめろ清峰!赤ちゃんになっちまうバブー!」
    「こらちゃんはる!おろせ!……そう、そ〜っとだぞ!」
     要に咎められ清峰はゆっくり俺を下ろす。ただ以前と違い相手がアホの要だからか最後は床にコロンと転がしやがった。
     「わりい葉流ちゃん。仲間外れにしたわけじゃないんだけど食事管理が大事だからって智将が言うからさ。でもそんなにラーメン食べたかったとは気づかなかったわ、ごめん」
    「いやちげーよ。こいつ俺に要とられていじけてんだよ」
    「へ?そうなの?」
    「…………」
    「その顔やめろ」
     くそ、こいついつものムーミン顔でそっぽむきやがった。
    「智将一回だけ葉流ちゃん連れてっていい?……うん、あーはいはい。よかったね葉流ちゃん〜醤油淡麗系だったらいいって」
    「智将ラーメン詳しいな……」
     その日の帰り、駅前の淡麗系の人気店に3人で行った。ラーメンに満足し帰りは久しぶりに仲良く要と帰宅した清峰はそれから睨んでくることはなくなったが、要の体重増加が思ったよりやばかったらしく、ラーメン屋巡りは間もなくおひらきになった。ま、痩せたらまた行こうや。
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