Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    Shibaranba

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 4

    Shibaranba

    ☆quiet follow

    ビマヨダ、エセT◯ICKパロ
    嘘くさい新興宗教と戦うビマヨダが見たかった。
    嘘くさい度が低く悔しいが、雰囲気は出てるはず
    ⚠️注意⚠️
    - ビが当然のごとく◯根。しかもネタにされてる
    - イゾ刑事の土佐弁が雑

    神子に消された村 後編⭐︎前回⭐︎
    新しい開発予定地にのさばる『やましろの会』を排除するため、神子によって村民が消された村、志良亀しらかめ村にきたビーマとドゥリーヨダナ。
    村に駐在していた巡査、高杉とともに調査に向かうが、『やましろの会』の神子がなんと高杉を目の前から消してしまう。
    そのトリックを見破り『やましろの会』を破滅させるべく、準備するドゥリーヨダナたちであったが、翌日、宿泊していた寺で、ビーマと思わしき死体が発見される…



    「嘘だろ…」

    ドゥリーヨダナは呆然と呟いた。
    あのビーマが死ぬとは、これが奴の死体だとは信じられなかった。
    あの質実剛健、剛毅果断、殺しても死なないような男が死ぬなどと。だってあのビーマだぞ。森や山に捨てられようと、川に落ちようとピンピンしているような図太い奴の死因が、こんなチンケな事件に巻き込まれて死んだだと?
    到底認められない。
    しかし、いくら待っても目の前の死体は無くならない。

    「ああ、ビーマ!なんちゅう姿に」

    刑事、岡田以蔵が悲嘆に暮れた。一飯の恩とはいえ、心を寄せていた男がこんな凄惨な姿で見つかるとは。刑事になって長くとも、あまりにも悲しかった。
    言葉が出ないドゥリーヨダナに、ポコンとスマホにメッセージ通知が来た。

    「何だこれは」

    動画だ。
    知らないアドレスから動画が送られてきた。
    震える指で動画を開く。


    ===

    薄暗い部屋。
    どうやら、死体が置いてあったお御堂のようだ。
    そこに神子と、椅子に座ったビーマがいる。意識がないのか項垂れて表情が見えない。

    『ご機嫌よう、お兄さん方。私の忠告を聞いてくれなかったのね』

    電子音特有のノイズの走った声が流れる。

    『残念だわ。こうなっては、お家に返してあげることができない』

    ふうと神子は息を吐く。
    子供を親が見放すような、残念そうな吐息。

    『夜の間に橋を消したわ。もうこれで貴方たちはこの村から逃げることができない。助けも呼べない。ひとりひとり、消してあげる』 

    画面越しに神子の蒼い目と目が合う。虚な瞳はゾッとするような昏さがある。

    『まずはこの眠っている人の頭だけ、消してあげる』

    神子は、首を嵌められて前開きの箱を見せた。パカパカと前が開く、星柄の、いっそ陽の下で見ればコミカルな箱。
    それをビーマに被せ、頭が見えなくなる。

    『消えて、消えて』

    神子が震えて、唱えた。
    箱を開けると、頭だけがポッカリと消えていた。血すら流さずに。

    『ご覧になって?これで頭だけ消えてしまった。体だけは、プレゼントとして返して差し上げるわ。ぜひ震えて待っていて』

    その言葉とともに、ブツと動画が途切れる。

    ===


    岡田はアワワと動画に取り乱した、あの神子が人を殺したのが信じられなかったのだ。
    一方、ドゥリーヨダナは表情硬くして、じっとスマホを睨んでいた。自分でもどんな感情か判断がつかぬ程の激情が腹に溜まりそうになるのを抑えていた。
    スマホがミシと嫌な音を立てた。
    岡田は気を遣ってポツリと呟いた。

    「一度、橋を見に行くぜよ」
    「そうだな」

    ジャケットを羽織り、ドゥリーヨダナたちはズカズカと寺を出て行った。





    石像を辿って昨日きた道を戻り、村の入り口へと戻ると、

    「嘘じゃ…」

    村と国道を繋ぐ、赤い大橋がすっかりと消えていた。
    橋台すら残さず、跡形もなく。
    どんな重機を用いようとも、どんな怪力の持ち主であろうとも、一晩にして橋を消すことなど不可能。しかし、現に橋は消え去っていた。

    「ひええっ、霊能力!霊能力じゃあ!あの神子、本物じゃったんか!!」

    今度こそ岡田刑事は腰を抜かした。
    美しい谷と川に、岡田の声が反響する。
    空は青く太陽は眩しく、風が谷間を走っていった。断絶した道が、景観の美しさをそこに留めた。
    ドゥリーヨダナは額に手を当てて震えた。


    「ククッ…アハッ、アッハッハッハッハ」

    そして堪え切れずに笑った。大爆笑だ。
    笑うしかあるまい、あのビーマを捕らえて無駄に残虐に殺す、加えて橋を消すなどと。
    一つ一つならただの奇跡と思えたかもしれないが、これでは明らかにやりすぎだ。遊びすぎだろ全く。
    ドゥリーヨダナは眦にたまった生理的な涙を拭った。

    「はーあ、笑った。岡田、寺に戻るぞ。もう一度あの死体を確認しにいく」
    「うえっ、待っちょくれ!」

    ビーマは死んでない。やはり、こんな所では死なないのだ奴は。まったく忌々しい。馬鹿め。馬鹿馬鹿。
    小走りで去るドゥリーヨダナを岡田刑事は慌てて追いかけた。


    ***


    ドゥリーヨダナは改めて首なし死体と向き合う。
    服装は同じ。肌色も似てる。上背も筋肉もある。

    「うむむ」

    が、冷静に見れば、なんか違う。何処かはわからない。黒子の位置とかそんなミステリー小説みたいなことはないだろう。
    腐れ縁とはいえ、そこまで詳しくない。

    「あいつの特徴、特徴な」

    あの精悍な顔と空間を圧迫する体以外で…
    ふと思いついて、ズボンに手をかけると、死体の魔羅がボロンと露出した。
    岡田はギャと声を上げる。

    「ちょっ、センセ!死体とはいえズボン降ろすのは流石にえずい!?」
    「決まりだ。これビーマじゃないな。アイツのはドゥンって感じで、こう、もっと大きい」

    バッと岡田刑事が驚愕の表情でドゥリーヨダナを見た。なぜ知ってるのか。チ◯コのサイズで本人じゃないと確信するとは、一体どんな関係なのか。
    とんでもない勘違いが生まれていることをドゥリーヨダナは気付かない。

    「ただなぁ、これがあの脳筋じゃないとして、いったい誰の死体だ」
    「知らんぜよ、そげなこと…」

    岡田刑事は意気消沈した。
    ドゥリーヨダナは考える。
    そもそも、『やましろの会』はなぜ村人たちを消失させる必要があったのか。
    神子は天罰だと言っていたが、それは彼女にとっての真実であって事実とは異なるだろう。

    あの消えた高杉が嘘つきだとして、『やましろの会』が志良亀村と深い関係があるとして、誰が死んだ?

    「一人しかおらんか」
    「どういた?センセ?」
    「いや、なんでもない」

    ドゥリーヨダナは外を気にして口を閉ざした。今もきっと村人や『やましろの会』の者たちに監視されているのだ。
    駐在に高杉という男が派遣されたことは間違いないだろう。流石に麓の警察署も駐在所の有無は間違えないだろうから。
    しかし、顔が分からないことは大いにありうる。ドゥリーヨダナたちを案内した高杉(仮)は、殺された高杉になりすましたのだろう。
    事故なら、こんな誤魔化し方はしない。

    神子に天罰などという壮大な話は、この警官の死を隠すための狂言。村人と一緒に消えてしまえば、覆い隠される一人の死。
    なんせ、全てが終われば、コロっと村人たちは戻れば良いのだ。神子に慈悲を賜ったとか何とか言って。そして、駐在だけが未だ行方不明でも村人たちが戻ってきただけで、世間はさも事件が解決したかのようにとらえる。
    ドゥリーヨダナが予想していたとおり、下らない事件だ。
    ただ、問題はビーマがどこに消えたか。そして神子を操っている奴と接触して潰すことができるか否かだ。

    「うーん、神子を探しにいくか」
    「正気がか!!」
    「動画まで送ってきたのだ。最後にビーマを見たのは神子なのだから、聞くだけ聞いてみれば良い」

    たとえ神子は捕まらなくても、よくよく歩きまわって村人の一人でも捕まえよう。体力には自信があるのだから、持久戦だ。

    「ほら、行くぞ岡田」
    「待って、センセ!!」

    決まれば、ドゥリーヨダナは早い。岡田刑事と散策に出た。



    「なあ、センセいつまで歩けばいいんじゃ」
    「もう少し、だと良いなぁ」
    「そんな」

    村や付近の雑木林を散策し始めて、少し。
    ドゥリーヨダナは村人たちの隠れ上手に感心していた。意外と人数がいるのか、捕まらない。きっと交代でドゥリーヨダナたちを見張って、うまいこと情報を伝達しているのだろう。
    人の家や倉庫を物色したり、瓶やら石像を小突いて歩くのもいい加減飽きてきた。

    「ごきげんよう、教授先生」

    別の手を試そうか、というところで神子が信者たちに支えられて、やってきた。
    信者たちは神子と似た白の、薄っぺらい貫頭衣を着ている。

    「ごきげんよう、神子さま。今日は1人ではないのだな」
    「プレゼントは気に入ってくださった?」
    「残念ながら、まったく。わし様、趣味の悪い冗談は好まないのだ。品性が疑われるからな」

    ドゥリーヨダナは肩をすくめた。

    「冗談だなんて、これ以上余計なことはするな、と言う忠告よ」
    「ほう、この村を探られると困ることでもあると」
    「私は困らないけれど、白井、私の側近がね、嫌がるのよ。だから、きつめに忠告しようと思ったの」

    ドゥリーヨダナは戯けたように聞いた。

    「忠告するだけなら、橋を消す意味はないのではないか?」
    「あら、逃さないと言った言葉に嘘はないわ。ただ、大人しくしていれば、あの駐在さんみたいに、楽に消してあげる。私は、慈悲深いの」

    当然のように宣う、人の欲望で心が肥え太った神子。
    信者たちは平然とした顔でその傲慢を受け止めている。頷く者すらいる。こうして助長させてきたのだろう。
    ドゥリーヨダナは信者たちの様子を認め、目を細めた。

    「はあーあ、橋や人など消してないのに、よくそんな自信満々に言葉が吐けるな」
    「何ですって?」

    神子はポカリと口を開けた。

    「お前は消したつもりだろうが、違うぞ。道が変えられていただけだ」
    「意味が分からないわ」
    「村から橋までの道。ほとんど舗装されておらず踏みならされたものだ。目標は石像だけ。だからな、石像一つ位置を変えられるだけで簡単に別の場所に誘導できる。お前は知らないだろうが、この村の入り口は一つだが、道は複数ある。橋に繋がらない途切れた道もな」
    「私は貴方と違って迷ったりしない」
    「誘導する者がおっただろう。おまえはただでさえ真っ直ぐ歩くのが苦手なのに、どうして正しい道を歩いてきたと言えよう?」

    神子は信者たちの顔を見上げた。
    しかし、どれほど見ても信者たちは神子に視線を合わせない。ただドゥリーヨダナを睨みつけるばかりだ。
    神子はキツく強く肩を握った。

    「…人はあなたの目の前で消したでしょ。動画も残っているはず。それなのに消してないなんて、言いがかりよ」
    「高杉がおまえに協力したのだ。お前が仕切りを開くのに従って移動し、視線がズレたところで反対側から外にでた」
    「なぜ警察の人がそんなことするの。実際、彼は私の力に平伏していたはず」
    「それは本人に聞け。しかし、普通に考えれば、おまえに人が消せると強く信じさせるための役者の一人だろうよ」
    「ばかばかしい。じゃあ首のない体は?」
    「血出てないから、まあ、何か箱に仕掛けがあると思ってる。どうせあれも信者が用意した物を使ったのだろう?」

    神子は俯いた。
    まったく証拠はない、しかし危うい神子の精神を狙った話。おまえの力は周囲の協力によって作られた偽物、とここまで堂々と暴露すれば、神子も周囲の者たちに不信感を抱くだろう。
    教祖がそれでは困る。これだけ信者同士で連絡をとっているのだ。弁解のため、代表の白井とやらも出てくるだろう。
    ドゥリーヨダナはそれを狙っていたいけな少女を責め立てた。さあ、泣いて呼べとドゥリーヨダナは願った。
    神子は顔をあげた。

    「呆れた、白井の言うとおり。俗世の常識で凝り固まった教授を救うのは無理みたい。私が消すまでもないわ。私、もう帰る。みんな、教授たちを殺しちゃって」

    神子がつまらなさそうに翻ると、信者たち懐から拳銃を取り出した。
    ドゥリーヨダナは唇を尖らせた。
    対策されてたようだ。今日は教授と呼ばれたし、ブリーフィングされてたのだろう。残念だが、次の手を打とう。

    気を取り直して、信者たちを見る。銃を構える姿は堂に入っていて、素人というわけではなさそうだ。
    ドゥリーヨダナが近くの丁度よい得物を確認していると、それまで黙っていた岡田刑事がぶるぶる震え出し、信者たちに向かった。

    「ちぇすとぉおお!!!」

    懐から警棒を取り出し的確に振るう。思わずドゥリーヨダナも感心する程の神速だった。
    速攻で一人の拳銃がたたき落とされた。
    そして次々と敵を打ちのめしていく。

    「おお、岡田!やるではないか」

    正直、岡田刑事を日本の終身雇用にあぐらかいた人間だと思っていたドゥリーヨダナは驚いた。
    人間特技というものはあるものだ。
    もちろん、ドゥリーヨダナも無力ではない。信者の一人にそこらの枝を投げて銃を奪い、締めて気絶させた。

    数人しかいなかった信者たちは早々に倒された。

    すると、神子が去ったせいか、もう隠すことはないと思ったせいか、次は村の住民が次々と出てくる。
    今度はライフル持ちだ。
    ちょっと分が悪いかも、と考えるが早いか、ドゥリーヨダナたちは逃げた。

    「岡田!別れて逃げるぞ!わし様が殺される前に増援を呼ぶのだ!」
    「おう!!センセ!待っとってくれ」

    戦略的撤退。
    以蔵が警察を呼ぶ間、ビーマを探して合流し、出来る限り敵を倒しておく。
    それが目標だ。



    ***



    流石のドゥリーヨダナも銃器相手では分が悪いかと思えば、意外にも相手は殆どがド素人。
    うまく木々の間を縫いながら応戦すれは、十分に無力化できた。
    村人の一人の背を踏んで、ドゥリーヨダナは呟いた。

    「これは、かなりビーマが信者たちの量を減らしとるな」

    訓練され自動小銃で狙ってくる信者と、銃を握ってるとはいえ場慣れしてない村人。その力の差は歴然だった。
    信者の方はともかく、村人たちではドゥリーヨダナ相手はできない。
    集団で襲いかかったとしても厳しい。それは奴らも分かっているはず。
    では、なぜドゥリーヨダナに信者たちが殺到しないのか。
    ビーマにやられて、単純に数が少なくなってるのだろう。

    「あの怪力バカ、夜から一人一人、沈めてご苦労なことだ」

    そこら辺に落ちてるぶっ壊された部品たちが証拠。
    銃規制の厳しい日本ではパーツだけでいくらになることやら。
    一つくらい拾おう、と腰を屈めたところで、タンとドゥリーヨダナの耳に鮮血が走った。

    「まだ残っておったか」

    瞬時に木の後ろに隠れて敵を確認する。
    数は3人。全員が信者。一人はライフル、二人は自動小銃。
    遠近を備えたスリーマンセルか。
    隙の無く接近してくる様から、よく連携が取れているのがわかる。

    「はー、こういう時に格好よくライフルとかで仕留められるとよいのだが」

    しかし、ドゥリーヨダナは銃は誇るほど得意ではないので、殴って蹴って投げて倒す。
    ドゥリーヨダナは腕の裾を捲った。

    「ガッ」

    石を木に向かって投げて注意をそらすと、一番近い信者を殴り小銃を奪う。

    「てめっ、クソ!」

    捕まえた信者は肉壁にし、小銃でそのまま適当に乱射する。程よく相手が距離を取ったところで、相手に一番近い木に向けて乱射。
    葉と枝で相手が視界を惑わされたところを接近、殴打、追撃。ライフルが貫通できない程大きい木まで下がる。

    「ライフル一人」

    長ものは近距離だと扱いにくい。木伝いに動くことで狙いづらくする。
    ライフルは装填に時間が必要だから、その瞬間を狙う。焦らず動いて、3mの距離まで近づいた。
    信者がライフルに新しい弾を装填しようとしたところ、

    「うわっ!!」

    体格のよいドゥリーヨダナにとって3mは一瞬の距離だ。一気に接近してその両腕からライフルを蹴り飛ばす。
    拾おうとした愚かな信者を反対に殴りつけたドゥリーヨダナの視線の先に、もう一人静かな白が見えた。
    まずい、もう一人いたか!
    照準がドゥリーヨダナを捕らえた。

    「っ」

    しまった。死ぬ。いや弾の軌道からできる限り致命傷を避けろ、ライフルなら貫通する
    とドゥリーヨダナが死の回避に向けて頭をフル回転させていると、デカい毛の塊が信者に突っ込んでいった。

    銃とともに信者は横に玩具のように吹っ飛び気絶した。
    ぬるりと毛の塊が起き上がり、近づいてくる。
    ドゥリーヨダナが身構えていると、毛が綻び、褐色の肌が見えた。

    「よぉ、ドゥリーヨダナ」
    「ゲ!!ビーマ」

    それは野生に帰ったように落ちぶれたビーマだった。
    よれたパンツ一枚で、所々切れて乱れた長髪を振り回し、ドシドシとドゥリーヨダナに詰め寄ってくる。その怒りようったら、目は血張り瞳孔が開き切り、その口元には威嚇の笑みが浮かんでいた。
    そのまま噛みつかれそうな程、木の幹に追い詰められる。

    「説明して貰おうじゃねえか。ただの宗教団体がなんだって武装して殺しにきやがんだ…?」
    「わっ、ちょっと待て待て待て。下を隠さんか!!まろび出てるから、ちょっとコラ、近づくな、こっこの変態!」

    下半身のご立派さま(隠喩)にドゥリーヨダナは赤くなるも、ギロリと睨まれれば、素直に説明することにした。
    この顔はマジなので。
    とりあえずビーマの腰にドゥリーヨダナのスカーフを巻かせた。クリーニングに出して返せよ。
    コホン、と喉を整える。

    「察しているとおり、高杉と『やましろの会』と村人たちは全員グルだ。神子が村人を消した、捜索隊を消したなどと証言したのは、高杉。逆にいえば、奴の証言以外に一切の証拠はない。つまり、今回の事件は高杉の狂言。村人たちは、自ら隠れておる」

    わし様たちは監視されていた、おまえも絶えず漂う人の気配には気づいていただろう、と言えばビーマは頷いた。

    「そもそも赤髪の高杉なんて奴は駐在ではない。浅黒い肌の男が本来の高杉で、既に殺されている。わし様たちと一緒に来たのは偽の高杉。あとは簡単だ。神子の能力を見せつけることで、本物の駐在高杉の殺害を隠蔽しようとしたわけだ」

    あまりにも拙い作戦で笑ってしまう、と実際に笑えば、ビーマはガッとドゥリーヨダナの顎を掴んだ。

    「村人と高杉、神子のトリックは元々分かってんだ。だがな、なんでそんな奴らが俺のことを夜中にライフル持って襲ってくんだよ!!!」
    「しょっ、しょれは今から説明しゅる、離しぇ」

    ドゥリーヨダナは、もにもにと痛めつけられた頬を押さえた。

    「神子がこの村に出張っている段階で、村人と『やましろの会』は繋がってる。そして、本物の高杉は、両方にとって都合の悪いものを見たから、殺された。で、同じように見てはならん物を見ようとしたから、おまえも殺されかけたわけだ」
    「おまえと何が違うんだよ」
    「神社でおまえは社の中を覗こうとしただろ。あれだあれ」

    ビーマは胡乱げにドゥリーヨダナを見る。

    「神社は絶対に奴らの琴線に触れるだろうと思って放っておいたが、ドンピシャでおまえが襲われたようで、わし様は自分の有能さが怖い」
    「待て、俺が襲われるのわかってたのか」
    「そもそも『やましろの会』は地元の政界だけではなく、裏社会ともズブズブの関係でな。最近は公安にも目をつけられるくらい武装しておる。だから、まあ煽ったら反応するだろうとは思ってた」

    ビーマはドゥリーヨダナにヘッドロックをかけた。頭蓋骨がミシミシと嫌な音を立てる。

    「イダダダダッ、止めろ馬鹿力!頭が割れる!!」
    「つまり、おまえは俺が一晩中、丸腰で狩られるのを承知で、俺と奴らを煽ったわけだ。そうか、殺す。今日という今日は殺す。おまえの悪事を未然に防ぐため、殺すことに俺は一切の後悔もねえ」
    「いーん!でもおまえは死なないと思っとったし!!今わし様を殺したら神子は哀れ『やましろの会』に利用され、囚われたままだぞ!奴らが隠してるものも気になっとるだろ!それで良いのか!!」

    ギチギチとビーマは歯軋りして、ボトリと地面に放された。
    この世の財産たる頭脳が危うく肉団子にされるところだった。この野蛮人め。

    「神社のお社の中に答えはあるだろう。なんせ、罪のない駐在さんが見つけて殺されるくらいなのだから」
    「…チッ!とっとと行くぞ」
    「待て待て。服を先に着ろ。貸してやるから」

    ビーマたちは歩き出した。寺にて着替えさせた後、向かう先は神社だ。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏🙏🙏💴💴💴🙏🙏💜💜👍👍👍👍👍💖💖💖💖💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works