読ロをストーカー(ガチ)している読半の描写があります
非番の半田はいつもの様に貯めたロナルドの動画や音声の整理、ロナルドの記事が載っている雑誌を読み有意義な時間を過ごしていた。
最近は例の吸血鬼の所で過ごすことも多くロナルドが事務所で過ごす時間が少なくなっているが、今日はロナルドが事務所に帰っている事は既にわかっている、動画整理の間にリアルタイムの様子も見るかと半田は別のモニターに目を向けた。
「ん?」
いつもはツチノコに餌をあげる時間だ、ロナルドが食事を取らない事もあるがツチノコの餌は欠かさず出している、もしや見てない時間に外出でもしたのか?と録画を見直そうとした時、携帯に"事務所にあるカメラで見てんだろ"とロナルドからメッセージが入った、"'風邪ひいて動けないからツチノコの餌をあげに来てくれ"と続く、メッセージを見て半田は急いで身支度を完了させて家を出た。
「おじゃまします」
半田が家主に黙って勝手に作った合鍵で入った事務所は住人が居ないかのように静かだった。
風邪をひいて動けないとメッセージにあったのだから寝ているのだろうと考え、そのまま住居部分へ足を進めた。
住居部分への扉は鍵がかかっていなかった、いくら事務所が閉まっているとはいえ不用心だ、後でロナルドに注意しよう。
「入るぞ」
ロナルドからの返事は無かった、やはり寝ているのだろう。
ソファベッドでロナルドは寝ていた、近くの机でペットのツチノコとかぼちゃ?は心配そうにロナルドを見つめている、手足の無い身体では何もできないのだから仕方がないが少し可哀想に見えた。
「ツチノコ、かぼちゃ、おじゃましているぞ」
ロナルドを起こさないように小さな声で、ツチノコとかぼちゃに挨拶をして、半田はそのまま台所へ直行した。買ってきたスポーツドリンクやレトルト食品、うどん、ゼリー等を冷蔵庫や食品庫にテキパキ入れる、案の定食材も常備しているレトルトも少なく今日自分が来なかったらどうするつもりだったのか半田は心配になった。
半田がツチノコの餌とロナルド用のスポーツドリンクを持ってロナルド達の所へ向かうとロナルドはソファベッドに寝転がっているが起きていた、物音が大きくて起きたのだろうか。
「半田、ツチノコの餌持ってきてくれたんだろ、さんきゅ」
「ああ」
ツチノコを餌を机に置いて、半田は床に座った。少し行儀悪いだろうが、ソファベッドは病人優先だ。
「ロナルド、熱はどのくらいだ?」
「あー、38度くらい?」
「病院は」
「歩けねぇから行ってない」
「そうか、薬は」
「飲んだ……てか見てねぇの?」
「カメラがあるのは事務所だけだ、こっちには置いていないぞ」
「あ、そうだったの?……てっきりこっちにもあるもんだと思ってたわ」
以前置こうとして、仕事以外のプライベートな部分まで見ていいのか、と理性のストップがかかっていた。
食事中、風呂上がり、寝ている姿、泊まりに来れば見れる姿だが、いつでも泊まれる訳では無い。言質?は取った、今度住居部にもカメラを設置するかと頭の片隅で半田は考えた。
「はんださ、俺が寝るまでそこに居てくれない?」
「急にどうした?」
「……」
「言いたくないんだな」
風邪をひいて寂しいんだろうが、言いたくないのだろう。ロナルドは変なところでプライドが高い、カメラで見られ続けるのは良いと言うのに、寂しいという思いは言いたくない、めちゃくちゃだ。
「……お前は俺の事一番……だよな」
ロナルドの手が半田の服をぎゅっと掴み呟いた、掴む力はいつもより弱そうで声も小さい。
「そうだ、そうでなければカメラも置かないし、合鍵も作らん……それに寝るまで傍に居てやるから寝ろ」
一番……大切な部分がごにょごにょして聞き取りづらかったがきっと、この返事であっているのだろう。
「……なら、いい」
多少無理をしていたのか、ロナルドはすぐに寝てしまった。寝息がすぐ近くで聞こえる。
ロナルドは"自分自身がどれだけ好かれているか"自覚が足りていない、言葉で伝えようにもどこか伝わっていない気がする。
「……1番に好きに決まっているだろうが、バカめ」
当の本人は寝ているためきっと聞こえていない、半田は小声で呟いた。