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    ntonto0101

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    ntonto0101

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    レイ穹未満
    当たり前のようにアベンチュリンが生きてる(一部しか登場しません)
    穹くんが暇を持て余してレイシオと通話してるだけ。
    書きたいところを書いたので、セリフ多め
    なんか適当に雰囲気で読んでください✌️

    #レイ穹

    レイ穹(未満)愛とは何かを話すだけ「それで、その時丹恒がさ『今日はお前に構ってやれない。』って言ったんだよ、俺のことなんだと思ってるのかな、子ども?赤ちゃん?それに追い出し方もひどくてさぁ、本気でお尻が割れるかと……。」
    『それは元からだ。』
     普段より柔らかい低音で耳元で響く。落ち着いている時の彼の声はこんなにも穏やかなのか、少し意外だった。
     俺は今、レイシオと通話している。特に用があるわけではない、他愛のない雑談をしているだけだ。
     最初はなんとなくの暇つぶしだった。特に何も予定がなく、ただ列車のロビーでぼーっと天井を眺めているだけの日。
     暇すぎる。誰か俺と遊んでくれないかな。
     周りを見回すと何か真剣な会話をしているだろう姫子とヴェルトに、忙しなく動き回るなのかとパム。そしてアーカイブ室に篭りっきりの丹恒。
     最終的に暇を持て余しすぎた結果、手元にある端末で手当たり次第友達に連絡して話し相手を探すことにしたのだ。
     しかし自分のように暇を持て余している人間はそうそう多くはないようで、大抵は返信が返ってこなかったり、自動返信だったりした。そんな中、唯一まともな返事が返ってきたのが今通話をしている相手であるレイシオだった。
     返信が返ってきてすぐに、端末の通話ボタンを押す。せっかく見つけた話し相手だ、逃すわけにはいかなかった。
     三コール目で応じてくれた彼は、なぜ突然通話をしてきたのかとても不思議だったようで『何か聞きたい事があるのか』だとか『なぜ僕なんだ。』だとかそんな風な言葉を呟いていた。
     俺としては暇で相手してくれるなら誰でもよかったのだが、それを彼に話すと呆れられて通話を切られるかもしれないと思い、「俺はただ、レイシオと話がしたかったんだ。」とまるで恋人や心の通った大親友のような理由を話した……気がする。
     とにかく、その後から俺たちは十数分の雑談に興じていた。内容のほとんどが列車のメンバーとの思い出や、各星の友達との出来事、難しい話は何もない。

     
    『レイシオ先生、今お時間よろしいでしょうか。』
     雑談の最中だった。突然電話の向こうから聞き覚えのない声が響いてきた。
     その声の高さ、話し方の雰囲気から若い女性だという事がすぐにわかった。そしてレイシオの事を先生と呼ぶ事から、恐らくは彼の教え子の女子学生といったところだろう。
    『……悪いが、今僕は大事な電話の最中だ。』
    「俺はいいから。話聞いてあげて。」
     最初は応じる気がなさそうなレイシオだったが、俺がそう伝えると渋々と言った様子で、端末を机に置いた。俺は無言で、端末が机に置かれるカタンという音を聞いていた。
     なぜかはわからないが、レイシオはミュートのボタンを押す事なく話を続けていた。
    『……それで、一体何の用だ?先に言っておくが、単位取得の話であるならば受け付けていない。あと何かの勧誘もお断りだ。』
     前者はともかく、後者は絶対に違うだろう。レイシオのことを何かに勧誘しようなんて事、アベンチュリンくらいしかやらないだろうし。
    『違うんです。その……私、実はレイシオ先生のことが好きなんです。よかったらお付き合いしてください。』
    「なん!」
     女学生の緊張で上擦った声と同じくらいのトーンで、驚きの声を思わずあげそうになる。その声が電話の向こうに聞こえては雰囲気を壊すどころではないので、急いで口を手で覆って声を抑える。
     レイシオって普段よく石膏を被ってるんだよね!?それに授業や講義も難しくて、レポートなんて死人が出るんじゃないかってくらい厳しいはず!そんなレイシオ相手に告白をしようなどという女学生がいるなんて、なんて度胸だ。正直、尊敬に値する
    『……。』
     レイシオは何か考えるように、ため息をついた。流石の彼も返答に困っているようだった。でも告白なんてされたら、考えちゃうよねどう返すか。
     もし告白されたのが俺なら。相手の事が好きなら「喜んで」だとか「俺も好きだよ。」と返すだろう。そこから更に愛の言葉を伝えた後に、手を繋いだり抱きしめあったりすると思う。
     じゃあ好きじゃない相手だったら……俺はきっと申し訳なさそうな顔をして謝罪の言葉を伝えたのち、変な雰囲気のままその場を離れるしかできないかもしれない。情けないけれど、相手に気を遣ったりできるほど俺は大人じゃないから。
     ただ相手はあのレイシオだ。愚鈍は病、アホバカマヌケと罵る彼は一体どのような返答を彼女にもたらすのだろう。「恋愛にうつつを抜かす暇があるなら、勉学に励むべきだ。その感情は愚かだ。」なんて言い出しらたどうしよう。
     そんな風に焦る俺をよそに、レイシオは十数秒の沈黙ののちようやく口を開いた。
    『ありがとう。』
    『は、はい。それで……!』
    『悪いが僕は君の気持ちには応えられない。』
     断るのは想定内、むしろ彼のような人間が学生に対して手を出すなんてそんなの考えられないからだ。
     問題はここから!さて、どう返すんだ?
    『しかし君は真面目で、周りを気遣う事のできる優しさを持っている。普段の様子を見ればよくわかる。これから先の君の人生において、君を理解してくれる人は必ず現れるだろう。その相手のためにも、僕のことはさっさと忘れるといい。』
     えっなんだ、思っていたより数倍、数倍優しいじゃないか。そして……ちょっと残酷だ。これならいっそ酷く振ってくれた方がマシだと思うほどに。
    『わ、わかりました……失礼します。』
     コツコツというヒールの微かな音が聞こえてくる。どうやら彼女は、どこかへ走り去っていったようだった。
    『すまない穹、待たせた。』
    「ううん、全然大丈夫。それにしても先生に恋する女学生なんて、少女漫画だけの世界だと思ってた。」
    『はぁ……そんな漫画を読んでいるのか?君はもう少し有意義な時間の使い方をした方がいい。』
    「そんな事いいの!ていうかなんか意外。正直もっと厳しい断り方をすると思ってた。恋だの愛だのは余計な感情だ、そんなものに振り回されるなんて君は愚かだ!とか言い出すかと。」
    『僕は別に恋やら愛やら、そのような感情を否定していない。』
    「じゃあさ、レイシオにとっての愛ってなに?」
    『僕は、愛とは言わば遺伝子が我々生命体に与えた生物学的な遺産だと思っている。』
    「というと?」
    『自覚があるかどうかは置いておいて、生命体というものは、全て自分の思うがままにしたいという暴力的な利己性をその胸に抱えているものだ。だがほとんどの人間はその利己性を抑えている。社会規範を守り、誰かの選択を尊び、危害を加える事を可能な限り避け、善行を行おうと努力しているんだ。共同体内の秩序を重んじ、追求することは生命体にとって愛であり、遺産だ。』
    「ふぅん。だからあんな返答なのか。」
     レイシオは自分に告白してきた女子学生を愛しているわけではない。だが彼は人間という生命体を愛している。だからその言動には優しさが滲み出るのだ。
     そういえばアベンチュリンが前こんな事を言っていたな。
    「抗えない程大きい知識欲に従いつつも、僕の悪運を最後まで信じていたんだあの男は。僕のピンチを招いた張本人であるにもかかわらず、だ。」
     その時は言っている意味がわからなかったけれど、今ならわかる。レイシオは時に、自分の知識欲に抗うことができないという強い利己性を持ち合わせている。人間という生命体を愛する気持ちと同等の、遺伝子レベルに組み込まれた欲。彼の中にあるその矛盾が、残酷ともいえる優しさに繋がっているのかもしれない。そして彼を天才ではなく凡人たらしめている理由も、そこにあるのかもしれない。
    「レイシオは面白いね。俺レイシオの事結構好きだよ。」
    『今なんて……』
    「あ、声に出しちゃった。」
     あはは、と笑うとレイシオは深いため息をついた。
    「穹、ヴェルトさんが呼んでる。行くぞ。」
     丁度良いタイミングでやってきた丹恒が肩ポンと叩く。どうやら皆の忙しさがひと段落し、ようやく俺にも仕事が回ってきたようだった。
    「ごめん、ちょっと用事。もう通話切らなきゃ。それじゃあ、また今度。」
    『待てきゅ――』
     レイシオの言葉を聞く前に、プツリと通話の終了ボタンを押す。
     何となく始めた暇つぶしの通話だったけど、結構面白かったな。またレイシオに連絡しよう。
     そう思って端末をズボンのポケットに突っ込んだ。

     数システム時間後、端末の通知欄はレイシオでいっぱいになり、本人が列車を物凄い形相で訪ねてくる事になるのはまた別の話である。
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    落書き

    DOODLEレイ穹 現パロ 後で推敲します
    続くかも
    止まり木を見つけた 腹の底をとろ火でぐつぐつ炙る茶を一杯、二杯、景気良く流し込んでいって、気付いたころには一人になっており、やたら肌触りの良い夜風を浴びながらどことも知れぬ路地裏を彷徨っていた。
     暫くすると胃が唐突に正気を取り戻し、主に理不尽を訴えた。穹は耐えきれず薄汚れた灰色の壁と向き合ってげえげえ吐く。送風機が送る生温かさは腐乱臭を伴っているようにも思えた。その悪臭の出処は足元だ。なまっちろい小さな湖を掻きまわす人工的な風、乳海攪拌ならぬ――やめておこう。天地は既に創造されている。知ったかぶりの神話になぞらえたところで、無知と傲慢を晒すだけである。自嘲を浮かべる。
     穹少年は、穹青年となっても、その類稀なる好奇心こそ失いこそはしなかったが、加齢と共に心は老朽化していくばかり。それでもって汚れも古さも一度慣れてしまうと周囲が引いてしまうぐらいにハードルが下がってしまうもので、己のこういった行いの良し悪しを客観的に評価できるだけの頭はまだ残っているというのに、なんだか他人事みたいに流してしまう。つまるところ、泥酔の末に吐瀉物を撒き散らす男なんて情けないしありえない、真剣にそう言えるくせに、それが自分のこととなると周囲の顰蹙を買うほどに要領を得ない返事と化すのである。
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