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    @810976_an

    急に消えるかもしれません

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    POIPOI 12

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    DOODLEレイ穹 現パロ 後で推敲します
    続くかも
    止まり木を見つけた 腹の底をとろ火でぐつぐつ炙る茶を一杯、二杯、景気良く流し込んでいって、気付いたころには一人になっており、やたら肌触りの良い夜風を浴びながらどことも知れぬ路地裏を彷徨っていた。
     暫くすると胃が唐突に正気を取り戻し、主に理不尽を訴えた。穹は耐えきれず薄汚れた灰色の壁と向き合ってげえげえ吐く。送風機が送る生温かさは腐乱臭を伴っているようにも思えた。その悪臭の出処は足元だ。なまっちろい小さな湖を掻きまわす人工的な風、乳海攪拌ならぬ――やめておこう。天地は既に創造されている。知ったかぶりの神話になぞらえたところで、無知と傲慢を晒すだけである。自嘲を浮かべる。
     穹少年は、穹青年となっても、その類稀なる好奇心こそ失いこそはしなかったが、加齢と共に心は老朽化していくばかり。それでもって汚れも古さも一度慣れてしまうと周囲が引いてしまうぐらいにハードルが下がってしまうもので、己のこういった行いの良し悪しを客観的に評価できるだけの頭はまだ残っているというのに、なんだか他人事みたいに流してしまう。つまるところ、泥酔の末に吐瀉物を撒き散らす男なんて情けないしありえない、真剣にそう言えるくせに、それが自分のこととなると周囲の顰蹙を買うほどに要領を得ない返事と化すのである。
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    DOODLE黑键博♂
    初歩的なコミュニケーション エーベンホルツの背は針金を通されたかのように座面に対して垂直に伸びていた。唇は固く引き結ばれ、よせばいいのに瞼を閉じるから、耳の裏を擽る癖毛の柔らかな感触と、それを梳く指の温度を殊更に意識する羽目になる。肩には必要以上に力が入り、物音一つにさえ神経が過敏になり、やがて疲労から呼吸すら弱々しくなっていくのだろうと思われた。端的に言って緊張している。それはもう、筆舌に尽くしがたいほどに。
     背凭れに自重を預ければ多少は楽になるのだろうが、それはただの板切れと化して用を成さぬ。「取って食いやしないよ」二本の角に絡まる髪を解いてやると、いっそ可哀想なぐらいに青年の煩悶が伝わってくるので、ドクターは哀れに思って一言断りを入れた。「嫌なら言ってくれ」強要するつもりは端から無く、用意した油の封を切らないままにこの青年に押し付けてしまうつもりだった。けれどもそうはならないことを薄々予感している。彼はただ、緊張しているだけだ。恐怖から身体を引き攣らせているわけではない。髪を梳くことを止めれば、事が終わるまで閉じたままかと思われた唇が僅かに開き、空気を吸い込んだ。
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    MOURNING极博♂ 統合戦略3が実装される前なので好き勝手しました
    灰の海のたびごころ 極東ではリコリスを指して彼岸花と呼ぶこともあるらしい。秋の夜長、暗闇の中にあってもはっきりとそうだと分かるほどに鮮やかな赤い花を咲かせ、夏に枯れる多年草である。害獣除けとして田の畦道に敷き詰めるように植える農家も少なくないとかで、秋めくにつれこれらが一斉に花開くさまは壮観の一言に尽きる。
    「君にも本物を見せてあげたかったな。本当に凄いんだよ。初めてあれを見たとき、ミノスの神話を思い出したもの。エリュシオン、死後の楽園、英雄の魂だけが逝ける場所」
     まったく縁起でもない。それとも冗談だろうか? ジョークのセンスがいいとは言えないだろう。そのうえ、
    「その話は前にも聞いた」
    「あれ? そうだっけ」
     ああでもやっぱり、惜しいなあ。茫然とした口ぶりで、それは前方に視線を投げた。この辺りは岩場も多く、街は遠く、輝く砂浜もなく、退屈な光景が広がっている。灰色の空を鏡に映し出したかのように水面は暗い。そこに揺蕩う水草たちはただ潮風に揺られるばかり。放射状に咲く花弁が波に呑み込まれては顔を出して、そのたび、生まれ変わったかのように白く洗われる。
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    MOURNING博♂←モブ
    何も起きません
    路傍の小石 検査のために取っ払われた装備の中から覗く、うねるように跳ねた毛先が気になるのは私だけなのだろうか。朝、定刻、ケルシー医師の冷めた声色、ペンが滑る音、静けさに雫を垂らすような淡々とした診察、その他数名の医療オペレーターからドクターへ注がれる視線。定期健診は何もかもいつも通り、滞りなく進んでいる。
     私の頭の中は二つの並列な思考に支配されていた。一つはこの健診を無事に終わらせるために医療機器を正確に操作すること。もう一つは彼の頭の爆発具合について。毛先が奔放に跳ねるさまはある種芸術的と言えるかも知れないが、社会人としては失格だ。と、一般論として私はそう考えている。このような注釈を入れるのは、この場に同席する他の医療オペレーターの誰一人としてそのことを指摘しないからだ。あのケルシー先生ですら何も言わない。この場に於いて一番の新参者である私だけが知らぬ、一種の決まりごとのようなものがあるのかもしれなかった。或いはとうの昔にドクターは身だしなみについて注意を受けたのかもしれない。改善の意思が見られない患者に、口酸っぱく同じことを言い含めるほどケルシー先生は愚鈍ではないし優しくもないだろう。我慢の限界に達すれば別の手段を取って有無を言わさず目的を達成する。私は日が浅いながらも、ケルシー先生と、先生のドクターに対する遠慮の無さをそういうふうに解釈していた。その距離感は彼らの信頼を表しているのかもしれないが、ドクターはケルシー先生に叱られることを恐れていて、頭が上がらないことも知っている。そういった小市民のような一面を持ち合わせているドクターに、私は少なからず親近感を覚えていた。
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