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    guri

    @guriguri_000222

    🈁🐶SS練習用。拗れきった二人が好き。

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    guri

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    序章の序章。
    書けなさすぎて一旦供養🙏

    #ココイヌ
    cocoInu

    ひとりよがり静かな部屋にインターホンの音が響き渡る。
    それがエントランスではなく玄関で鳴らされたものだという事は音の種類ですぐに分かった。読んでいた本をテーブルに伏せ、間接照明だけ残して主灯は全て消しておく。それからようやく玄関に向かう。ドアホンの確認はしない。どうせここに来るヤツなんてオレを除けばひとりしかいない。

    扉を開いて最初に目に入ったのは爪先が品良く揃えられたラウンドトゥの白いパンプスだった。そこから続く薄色のストッキングに覆われた踝の目立つ足首にすらりと長い脛。膝を隠すように前で持たれたバッグは少し大きめだけど靴に合わせた白色を選ぶところがオレ好みだなと思う。
    緊張しているのかバッグを持つ手にギュッと力が入る。革製のハンドルがグニャリと歪む。その殊勝な態度がブラフだと知っているのにそれすら可愛いと思うんだからオレも相当イカれている。

    青い血管が浮かぶ手首を取ってドアの内側に引き寄せた。ドアが閉まる。オートロックの施錠音がガチャンと重たい音を立てる。廊下の光が完全に遮断された玄関は薄暗い。触れられる距離にいるはずなのにお互いの表情すらぼんやりとしか分からない。
    不意にドサッと何かが落下した音が聞こえた。それがあの白いバッグの落ちた音だという事は首に回された長い腕の存在で気付くことができた。ギュッと力強く抱きしめられる。甘えるように擦り寄られると人工的な質感が耳を掠めるから擽ったい。少し高い位置にある形の良い後頭部を撫でながらオレは昔近所に住んでいたゴールデンレトリバーのことを思い出していた。自分のデカさを全く理解していない力任せの戯れ方がそっくりだなんて思う。

    そっと肩を押して距離をとれば物足りないのか拗ねたような顔をする。自分の方が背が高いくせに上目遣いで唇を尖らせるから軽く吸い付いて笑いかけてやる。濡れた瞳の奥に動揺の色が見える。こういう不意打ちに弱いことを十分すぎるくらい知っている。

    「ベッド、いく?」

    少しの逡巡のあと小さな頭がこくりと頷く。
    それを合図にバッグを拾い上げ、いつものように寝室まで手を引いてエスコートする。
    部屋の電気は点けない。そういう約束だからいつも寝室のカーテンは少しだけ開けている。地上から100メートルちかく離れても街の光が差し込む室内は玄関よりもいくらか明るい。
    適当な場所にバッグを置いて、アウターも脱がしハンガーにかける。それからようやくベッドに腰を下ろし、ドアの前で所在なさげに突っ立っている存在に声をかける。

    「おいで、イヌピー」

    そういうとイヌピーはゆっくりと足を進めて躊躇うことなくオレの太腿に跨った。ニット素材のワンピースが捲れて太腿が露わになってもイヌピーは何も気にしない。

    「イヌピーのえっち」

    捲れ上がった裾からゆっくり指を這わせながらわざと耳元で囁く。そこでようやく自分の格好に気が付いたのか、イヌピーは焦ったようにかぶりを振ってから『ちがう』と唇だけ動かした。

    「なんで? 違わないじゃん。イヌピーはえっちだし、オレはそんなえっちなイヌピーが大好きだし」

    ベェ、と舌を出して挑発する。
    オレを睨むイヌピーの目元が羞恥か怒りか、赤く染まる。
    その顔を見て、ああイヌピーだなと思う。

    綺麗な服を着てメイクで痣を消し、他所行きの表情を貼り付けてイヌピーは必死で "イヌピーじゃないなにか" になろうとする。オレはその度にワザとイヌピーがイヤがる事を言ったりやったりしてイヌピーが隠した "イヌピー" を無理矢理にでも引きずり出そうとする。
    お互いを傷つけて疲れ果てるだけの意味のない攻防戦だ。
    そんな不毛な事を、オレたちはもう12年以上繰り返している。

    オレが何もしてこないことに焦れたイヌピーが太腿の上でもぞもぞと動き出す。どれだけ成長しても待てが出来ない。変わらない所を再確認できると酷く安心できた。

    「イヌピー、キスして」

    そう言うと悔しそうに触れるだけのキスをする。それが合図となって、オレたちはまた今日も傷つけ合うためのセックスをはじめる。
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    mocha

    DONEお題「再会」です。
    梵天ココ×バイク屋イヌピー。

    ところで5/3スパコミ参加します。東4 か48bです。
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    再会とプロポーズ 九井一が逮捕されたことを聞いたのは、昔の仲間づてだった。
     長らく会っていなかった。龍宮寺堅とバイク屋を始めてからは、特に、そういった関係の人間と関わることもなくなっていた。ただ、九井の動向だけはどういうわけかときどき青宗の耳に入った。
     さすがにこまごまとした情報までは入ってこなかったが、ガサ入れが入ってしばらく身を隠しているらしいとか、派手な女を連れていたとか、そういう比較的どうでもいい近況はよく聞こえていた。
     だからどう、ということはない。周りが気を遣ってくれているのであろうことは分かっていたが、九井に会うつもりはなかった。
     子供の頃には、いつか大人になれば姉の面影も消えるだろうと思っていた自分の顔立ちだったが、まったくそんなことはなかった。二十も半ばを過ぎてすっかり大人になったというのに、髪を伸ばせば女のようにも見えるし、短くすれば赤音によく似た顔立ちがはっきりとわかる。そんな自分が九井の前に現れることは、古い傷をえぐることだ。わかっていたから、ずっと離れたままでいた。
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