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    ひぽぽぽ

    @happyhppp

    ルシアダ小説とか、ごくたまにイラストとか描きます。

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    ーーー注意ーーー
    この小説は、同じ出だしから始まる二つのルートのリレー小説です。
    書き手が変わる所には***のマークを置いています。
    ひぽぽぽ→とりいさん→茶筌さん→ひぽぽぽの順で書いています。
    では、どうぞ!
    ーーーーーーーー

    #ルシアダ

    甘い残り香(チョコ味)アダムはとっくに起きていたがベッドから起き上がれずにいた。
    体が痛いからとかそういう問題ではない。
    ルシファーとやってしまった精神的なダメージで自己嫌悪に陥って動くことができない。
    しかも思い返せば、酒の勢いにまかせてかなり自分からグイグイ行った。
    「うぐ、ゔうううう……!!!!」
    意味もないのに唸ってしまう。
    当然の如くルシファーはいないし、いたはずのところはひんやりと冷たい。
    ああせめて、せめて朝までいろ!
    一夜を共にした最低限のマナーじゃないか!?
    あまりしっかり覚えていないが致したはずだ、胸元に絶対にルシファーのものであろう歯形がくっきりついている。

    ***

    歯形を指で辿る。
    それだけで、ぞわぞわしたものが下腹から這い上がってきそうになって頭を振った。
    その時、ふわりと甘い香りがした。
    なんの匂いだろうと思うと、ただ甘いだけではないと気がつく。チョコレートケーキの匂いのような甘さはあるが、そこに煙特有の苦さが混じる。
    煙草の匂いだ。それがアダムに纏わりついていた。
    昨夜のことは薄っすらとしか覚えていないが、煙を吹き掛けられ、煙たくて咳き込んだのを断片的に思い出した。

    『こんなふうに、相手に煙を吹きかける意味を知っているか?』


    ホテルの者たちと飲みに行くというのは知っていたが、まさかルシファーが迎えに来させられるとは思っていなかった。
    アダムが酔い潰れてどうしようもないから、迎えに来て欲しいと頼まれたのだ。
    困っている娘の友人の為にルシファーは足を運んでやっただけで、アダムがどこの馬の骨とも分からない罪人が居るようなところに飲みに行くというのも面白くないくらいだったのだから、ルシファーの城にいるばかりでは息が詰まるというのも理解はしているが、嫌味の一つや二つは言ってやらなきゃやってられないと思うくらいには機嫌は傾いていた。
    やたらと重さのある扉を開き、耳障りな声や音楽、体臭や香水、食べ物のそれが混ざり合ったような臭いに眉を寄せながら店内を進む。
    暗い室内のチープな照明に照らされ、カラフルに見える場違いなモーニングコートを見た罪人達が、こんなところに居るはずないのない地獄の王を訝しげに見つめ、その小さな男のために身を避けた。
    立場を弁えずにルシファーを見ても態度を変えないものもいる。
    なるほど、思っていたよりもましなところらしい。
    混み合った店内の中で、ルシファーは案外早くにアダムを見つけることができた。
    エンジェルに渡された水をなにか文句を言いながら受け取って、口を付けてから突っ伏した。
    いつものローブ姿ではなくて、仮面もしていない姿が珍しくて、ルシファーは歩みをつい止めてしまう。
    いつも眼に煩い金色の羽は薄暗い店内に馴染むような濡羽色の羽根をして、普段は露出を嫌う癖にジーンズの上は素肌にライダースジャケットを羽織っただけで、首には喉仏を覆う為に黒いベルベットのチョーカーをしているだけという心許なさだった。
    そんなラフすぎる格好は、見まわした罪人たちの服装とそんなに遜色はなく、むしろ景色の一部のように違和感がない。
    だというのに、ルシファーが見つけられたのはアダムの雰囲気だった。アルコールが回り切っていることを隠しもしていない。
    柔い顔で機嫌良く笑んだかと思うと、瞼が重そうな眠そうなぼんやりとした顔をする。
    エンジェルもそんなアダムに笑い返しながら、少し困った顔をして、ハスクと顔を見合わせている。
    つまりはアダムは隙だらけで、はっきり言って格好の獲物という有様だった。
    他の罪人達は楽しそうにしながらも周りの警戒を怠ってはいない。他人を借用しないなんて当たり前だ。地獄を知っているということはそういうことなのだから。

    机に頬を擦り付けるようなだらしない姿勢のせいで引っ張られたジャケットから広背筋の逆三角が惜しげもなく晒されてさえいる。それがアルコールの影響で肌が色づいていて随分と美味そうだ。

    エンジェルがちょっと席を立とうものならその間に、あれよあれよとどこぞの馬の骨に連れて行かれるだろう。ルシファーでさえ、そこに黒い手を這わせる想像をしてしまう。
    ルシファーはぐんぐんと機嫌が傾いているのを感じていた。もちろん良い方にではない。

    ルシファーが来ないのを訝しがっているのかもしれない。
    ハスクにこの場をいったん任せて隣の席にいたエンジェルが離れたその一瞬の間に、一人の男の罪人がアダムに近づこうとするのが見えて、ルシファーは額にびきりと血管が浮いた。

    その罪人がアダムに声を掛けるより先に、その男の尻のポケットに入っていた紙煙草を手に取りながらアダムとの間に割り込んだ。
    「やぁ、これが好きなんて君。センスがあるな1?甘いけど、ちゃんとキックもあっていい!分かるよ。たまたま好きな銘柄の煙草なんだ!!一本貰えるかな?え?これごと?いいのに?そう?ありがとう」
    男は怯えて壊れた玩具のように頷いていただけだったが、一言も声を聞かずに会話が終わる。
    すぐに踵を返しルシファーが失せろも何も言わずとも逃げ出すように店から出て行くらしい。
    ルシファーの言葉に嘘はなかった。煙草といいアダムに目を付けるあたりセンスはいいんだろう。
    貰った煙草を一本取り火をつける。頭の上の炎で。

    振り返るとカウンターの机に頬をべったりとくっつけて、アダムがルシファーをぼんやりと見ていた。アルコールという名の神経毒が身体中に巡りきっているんだろう。
    頬は高揚していて、金色の瞳は蜂蜜のようにとろりとしていた。
    重そうな頭をゆっくりと持ち上げて、不思議そうに首を傾げる。ルシファーには高すぎる座席に飛び乗って、隣に座った。

    「……るしふぁ?」
    「お前が呼んだからだろう?」

    名前を呼ばれただけだがなんでルシファーがここに居る?という意味だと予測して口にする。
    近くに居たハスクに手を上げるだけの挨拶をして、手に持っていた煙草に口を付けた。煙を吸い込んで、未だ状況の分かっていないアダムに酔い覚ましの為に煙を吹きかけた。
    ルシファーの吐きた煙を吸い込んだアダムが咳き込む。ぼんやりとした表情にやっと眉を寄せるような変化が生まれて口角を上げる。
    なんとなく天国に行くような魂は百害あって一利もない煙草を好む者は少なそうだ。

    金色の瞳とちゃんと眼があって、それからアダムはくしゃっと笑った。
    それに見惚れてしまったのかもしれない。アダムがルシファーに緩慢に突っ込んできたのに避けられなかったからだ。
    ぎゅうぎゅうと酒臭い身体に纏わりつかれるように抱きつかれて、鬱陶しい。
    けれど腕の中いっぱいの温かい身体につい頬を緩めてしまいながら、ルシファーはため息をついた。

    「なぁ、私が誰だか…分かってるのか?酒を飲んだら誰にでも……こう、したりしてないだろうな……」
    「ルシファー!るしふぁー!ははは!」
    「……なんだ?何がそんなに楽しいんだ?」

    ふにゃふにゃした笑顔で名前を呼ばれると、もう参ってしまう。ルシファーはこの男の本当にたまにしか見れないこういう笑顔に弱いらしい。

    「ん~?なに?ふふ……お前が、わたしをむかえに来た!」
    「迎えくらいくるさ。何処にでも!」
    「あはは!うそつきだなお前!」
    「嘘なもんか」
    「いいや、はは!お前は嘘つきだ!!ばーか!あはは」
    酔っ払いの戯言を間に受けてムッとしかけるが、ルシファーが黙ると相変わらずご機嫌なアダムは、耐えきれないというようにまた、けらけら笑ってルシファーの額にキスをした。

    ***

    キスをしながらアダムがルシファーにぎゅっと抱きついた。酔っている姿は大変可愛らしいがどうにも会話が噛み合わない。その上声が大きいせいでより一層周囲の注目が集まっている。
    見るな!悪魔どもめ!神経を引きちぎるぞ。
    「ルシファーは大嘘つきの二枚舌だ!あはは!」
    「……どうして嘘つきなんですか?」
    「ははは~!それはな!」
    「はい(チョロ…)」

    頬に擦り付けられる肌から熱が伝わってくる。
    ルシファーは背中をポンポンと叩きながらヘルパーさんのように優しい声で話しかけた。
    もっとも、優しい声を出しただけでルシファーであることには変わりないのだが、酔っ払いは騙されているようでふにゃふにゃと話し始めた。

    「あいつは嘘つきだ!だって迎えになんて来なかったんだから!」

    カウンターチェアに座ったまま、アダムは足を引っ掛けてそれにしがみついた。それはギチギチと力を込めても頑丈で、熱った体を覚ますように冷たくて気持ちが良かった。

    「……迎えに来なかったというのは?」
    「あー?楽園の頃な~、あいつは私を置いて消えたんだ!私が望めばどこへだって迎えにいくって言ったのにい」
    「……どうして消えたのですか?」
    「はは!あいつは私のことが嫌いなんだよ!だから」
    「それは違うな」
    「んへ?」
    固く低い声が急に胸元から響いて、肩が飛び跳ねる。背中に薄らとかいた汗がレザーと擦れて気持ち悪かった。

    「…ッウ、」
    「ああ、いけない」

    ルシファーはアダムを両腕でしっかり支えると、脇からヒョコっと顔を出した。
    隣の席にハスクがいるのだ。彼は目をジトっとさせたままこちらを見つめている。ルシファーはウィンクしてからハスクと目で交渉を始めた。
    『5万でいいかな?』
    『いいや、あんたが来るまでお守りしてやったんだ。倍は貰わないとな』
    『倍だと?』
    『その坊ちゃんを放っておいても良かったんだぞ』
    『確かに。でも相手をしてくれたのは君じゃないだろ』
    ルシファーはモゾっと顔を動かして反対側の脇から顔を出した。そこにはクシャクシャにした蔦の塊を頭部に据えた店員がいた。
    『ブリオン?』
    『バーテンダーです!』
    『…ナルホド。なんでもいいが今日の会計は全て私が持とう。その代わり…』
    『はい!言われなくとも!』

    バーテンダーは親指を立てると前に突き出した。
    この悪魔に信用を置けるかはともかく交渉は成立したらしい。視線をずらせばハスクが新しい酒瓶をケースで注文していた。こちらもご納得いただけたようだ。

    「うっ、ぎもぢわるい…」
    「ああ。もうちょっと我慢してね」
    見上げればアダムは額に大粒の汗を浮かべていた。
    目はどこか虚で5秒後に吐く奴の顔をしている。
    ルシファーは無遠慮にレザーのジャケットに手を突っ込むと肋骨の下あたりに触れた。いくら可愛くても頭から吐かれたらたまらない。
    「ぐっ、あぇ………るしふぁー?」
    「ん。アダム、そのまま横になりなさい」
    「え?…あ!」
    小さい手に体を横に倒されてアダムの尻が座面から離れた。
    視界が180度回転する。
    高椅子から落とされ、衝撃に備えて身を固めたが、予想に反して痛みはいつまでも起こらなかった。
    ポスっと何かが頭に触れる。何が起きているのかわからないまま、アダムはゆっくりと目を開けた。

    「?」

    目を開けれぼ、そこには満天の星空が広がっていた。
    黒と青の境目の空に白く輝く星。しかしどの星ももう見ることのできない星座たちである。

    「これは…」
    「楽園だよ」
    「!」

    よくみれば自分の半身にルシファーがまたがっていた。あまりに軽すぎて気づけなかったのだ。そのせいで反応に出遅れる。
    「なあ。お前にとってあれは”おいて行かれた”なんだな」
    「や、……」
    「お前に悪いことをした」
    「もっと謝ることあるだろ」
    「酔いは大丈夫かい?」
    「!」

    ルシファーが手の甲をアダムの頬に当てる。
    小さい手は冷たくて、脳までアルコールの回った体に心地良い。

    「まだ熱いな」
    「やめろ、心配するフリなんか……」
    「勘違いしているようだけど、私はお前を嫌いじゃないよ」
    「……うそだな」
    「本当さ。お前のことを嫌いだと思ったことは一度もない」
    「わ、私はキライだ」
    「うーん…」

    ルシファーはアダムに跨ったまま、神妙な顔つきをした。頭に手を当ててアダムを見下ろしたり、ぶつぶつ独り言を言ったりしている。
    ガーネットの瞳が夜空に浮かぶ月のように輝いていてアダムはチラチラと盗み見ては、気まずくなって地面に顔を押し当てた。

    夜風が吹いて緑が香る。
    その間に混じって煙草の苦い匂いがした。
    ビターチョコレートの大人びた香り。それがアダムから香っている。誰のせいかと言えば自分のせいであるが、ルシファーは瞼をひくつかせた。

    「……え、なに」
    刺すような視線を感じてルシファーを見上げる。
    よく見れば薄く開いた唇から赤い煙が出ていた。
    「…、…?んぐっ、」
    フーッ、と細い煙が吹きかけられた。アダムは顔を逸らして息を止めたが、先に限界が来て一気に吸い込んでしまう。
    ケホッと咳き込んで、口を手で抑える。すると首の裏側から耐え難いほどの睡魔が襲ってきた。

    「ふっ…んあ…」
    「こんなふうに、相手に煙をかける意味を知っているか?」
    「ッ!し、知ら……ッ!!!」
    急にガブッと胸元に噛みつかれて、アダムは地面に爪を立てて背中を反らせた。鋭い歯をグジグジと動かされ目に涙が溜まる。
    すると、掴んでいたはずの土がシルクの柔らかな布に変わり、ブロンドの奥に見える空がワインレッドの天井へと変わり始めた。
    楽園の風景が上から塗り替えるように変わっていく。もしかしたら最初からベッドの上だったのかもしれない。

    「ゔあ、あぁ」
    「………うんうん」

    ルシファーは強く噛みついてから、溢れ出た血を舌で舐めとった。チウッと音を立てて肌を丁寧に吸う。はだけたジャケットからいくつもの跡が覗いている。
    中々の出来栄えに満足するとルシファーはアダムの隣に寝そべった。滲んだ金の瞳に見つめられたが、ポンポンと肩を叩いて寝かしつける。

    「なん、なんだ……」
    「なかったことにされたら困るからなぁ」

    目を閉じたり開けたりして睡魔に抵抗するアダムの額にキスをする。そうして真摯に瞳を見つめて。

    「遅れてすまない。迎えにきた」
    「あ、」

    トドメに唇へ煙を吹いた。
    起きた時に怠くないように回復の魔法を添えて。
    大天使の息吹とまではいかないが、愛子がスッキリと目覚められるように。
    「おねむり」
    この言葉を最後にアダムはガクッと意識を失ったのだ。噛み跡はビリビリと痛んでいたが、被さるような眠気の大波に意識が飲まれたのである。

    ***

    「ん〜〜…んん〜♪」
    翌朝、ルシファーは機嫌よく2人分の朝食を用意していた。
    飲んだ翌朝には重いかもしれないが、回復魔法もかけたし大丈夫だろう。
    それにしてもアダムが私に迎えに来て欲しかったとは。もしかしてエデンではずっと待っていたのだろうか?何百年もずっと……。
    「……ま、これから可愛がってやればいい!」
    せっかく自ら私の手の中に転がり込んで来たのだから!もはや急ぐ必要もない、落ち着いて、しっかりと大人の余裕を見せつけて……。

    「何が大人の余裕だ」
    「うおっ!?あ、アダム、起きたのか」
    どうやら口から出ていたらしい。
    キッチンの入り口でシーツを被ったアダムがフンと顎をあげている。仏頂面で怒ってますとアピールしながらも、頬が赤いし、朝食用の薄いパンケーキをチラリと眺めている。
    「持って行ってやるから、ベッドにいていいぞ」
    「……それが余裕というやつか?」
    「まぁそうだ」
    「ふん……なら戻らない、ここにいる」
    キッチンの中に入って来たアダムは、ルシファーを見下ろして、邪魔してやったとばかりに得意げな顔をする。

    「蜂蜜とメープルシロップはどっちがいい?ベーコンものせるか?」
    「じゃあ蜂蜜で、ベーコンもいる。……じゃないんだよ!お前!私の服をどこへやった!?」
    「あぁ、あんなハレンチな服は燃やした」
    「も、燃やした!?あのジャケットをか!?」
    貰い物の良いやつなのにと怒って弁償を迫る。どこの誰からの贈り物だと言うんだ、燃やして正解だ。
    「新しいのを買ってやるから安心しろ」
    「勝手に買うなよ、私に選ばせろ」
    ハイハイと適当にあしらいながらベーコンを焼きはじめると、アダムが何か言いたそうにソワソワしだした。
    「何だどうした?」
    「その、昨日の……」
    煙をかけた意味を聞きたいのだろうか?
    答えを知らんのであれば仕方ないが、朝食が出来上がる寸前に相応しい話題ではない。

    「どっちがどっちだったんだ…?どっちがボトムを…?」
    「んん……!?まさか、覚えていないのか?何も!?」
    「何もじゃない!少しは覚えてる!!仕方ないだろう、すごく飲んだんだ!久しぶりだったし!!」
    こいつ昨日のことをよく覚えてない上に、最後までヤッたと思い込んでいるのか!?
    「ぐ、っふふ、っふはは!!」


    同意も得ず酔っ払いに手を出すと思われているのは心外だが、行為そのものより上下が気になるなんて、ヤること自体は良いと言っているも同然だ。
    ならばここで決めてしまおう。
    「もちろんお前が下だ」
    「んなッ…、わ、私が、ボトム…!?まさか!こんなに体が何ともないことあるか!?」
    「私が回復魔法を使ってやったからな。それに、あんなに酔っていたら使い物にならん。私が上になるのが当然だろう?」
    「う、ぁ、そ、…それは、ほうだが……」
    アダムは信じられないという顔で視線を泳がせている。
    「忘れないように丁寧に噛んだのに、まさかそんなに抜けてしまうとはなぁ」
    「ほ、本当か……!?本当に私たち…」
    「嘘ついてどうなる、忘れてるのかもしれんが、お前から甘えて抱きついて、キスして来たぞ」
    「ゔーーーー!!?」
    「はははは!!!」
    アダムは悲鳴をあげてシーツで顔を隠すと、一目散にキッチンから逃げて行った。
    「はぁ〜、全く、アホが相手だと締らんなぁ」
    焼けたベーコンをアダムの分のパンケーキに乗せ、ルシファーは苦笑する。
    別に嘘はついていない。
    アダムが酔って甘えて、抱きついてキスしてきたのも真実だ。

    トレイに朝食を乗せて飲み物を準備し、逃げて隠れたアダムを迎えに行く。
    あの様子ではせっかく伝えた言葉もアダムの中にどれほど残ったのかは解らないが、こちらは詳細に覚えている。
    酔った柔い顔も、潤んだ目も、温かな体も、噛んだ感触もだ。
    「ん…?これは、もしかして私の方がやられてるのか……?」

    アダムが立ち去った後には、微かだがフワリと甘い煙の匂いがした。
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