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    @usamitu115

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    剣の人柱Ⅰの続きです。
    ⚠️ゼル伝時系列だとスカイウォードソード以前の神代の時代にあたるため、オリジナル設定しかありません。
    ⚠️そもそも剣の人柱自体、本編スカイウォードソードと似て非なる話という設定なのでなんでもありです。
    以上を踏まえ、大丈夫!という方のみご覧下さい。

    #ゼルダの伝説
    theLegendOfZelda
    #スカイウォードソード
    skywardSword

    剣の人柱Ⅱ私と、この世界に生きる全ての人間へ、戒めのために綴る。

    ***

    「また民が暴動を起こしました!」
    男が部屋で職務をこなしていると、一人の騎士がやってきてそう言った。
    「またか。どうせ今日も同じなんだろう?」
    男は大きくため息をついた。


    神主家が治めるハイリアの地は、ここ十年程で興された隣国ローレリアに時間をかけて脅かされていた。
    ローレリアとはある一人の男によって興された小国であり、その男の出自や国が出来上がった経緯、周囲を巻き込み成長していく力の源など、その殆どが謎に包まれていた。
    ローレリアは至って小国ではあるが、時間が経つ毎に着々と力を増していった。次々と隣国を巻き込み、少しづつではあるが大きく成長しているのである。もはや、未だ侵攻されていない国は周囲でハイリアだけという危険な状況に立たされていた。そのため神主家は民衆に税を課し、軍事費と防衛費の工面に当てているのである。
    しかし殆どのハイリア人はそのことに特別な危機感など感じていなかった。他国から侵害を受けそうになったことなど今までいくらでもあるのに、何故かいつも既のところで危機は去ってゆき、特別大きな被害を被ったことがないからである。
    ハイリアは昔からそうだ。周囲を他国に囲まれた内陸国であるにもかかわらず、民間でオーソドックスな歴史書に記されている原初の時代から今に至るまで、どの国にも攻め込まれず存続する世界最古の国である。そしてその特性故に外界から隔てられ、鎖国状態にあるのも特徴だ。
    そんな状況で外がどうなっているかも殆ど分からないのに、ハイリアの平和は建国以来途切れることなく続いてきた。
    この人智を超越した事象を、人々はそのまま神の御業のおかげであるとした。気づけばいつの間にか危機が去っているので、民の間では「神の加護があるから侵略の危険は無い」という考え方が当たり前のようにハイリア人の文化的な常識として根付いているのである。
    そのため、民は今回のローレリアによる侵略の危機からも逃れられると信じて疑わない。それに、そもそもなぜ今更軍事費や防衛費を要するのかという疑問や不満が募っていくばかりである。それほど此度の税収はイレギュラーなことであった。
    (いくら理由を言ったところで、お前たちには理解出来まいよ)
    男は心中で独りごちる。どうやらハイリアには、今までの当たり前を覆す何かが確実に迫って来ているようだった。


    男は部屋に入ってきた騎士に、民衆に対する愚痴を零した。まったく、何度も何度も飽きもせず良く続けられるものだと呆れた声をあげている。
    しかしその意に反して、騎士はどこか慌てた様子であった。
    「……それが、今回に限ってはそのように甘いものでは無いのです。一度に百人程の民衆が押しかけ、皆どこか支離滅裂で……何を言いたいのかさっぱりです。只今門前でインパ様が民衆を窘めていますが全然収まる気配がなく……レグロ様直々にご対応頂きたいとの事で参りました。」
    その言葉を聞き、レグロと呼ばれた男は眉をひそめつつも騎士に向かって言った。
    「……わかった。私もすぐそこに向かうから、お前は持ち場に戻りなさい。」

    嫌な予感が男の胸中を渦巻いた。

    ***

    レグロが屋敷の門前に到着すると、門の外では一目では数え切れないほど多くの民衆が蠢き、口々に好きなことを言い合っていた。
    その様子を傍目にしばらく待っていると、切れ長の目を顰めて険しい顔をした女が小走りに報告しに来た。褐色の肌をもち、長い白髪を頭の上でひと括りにしつつもそのまま後ろに流した髪型の女である。額にはシーカー族の象徴である涙を流した瞳のフェイスペイントが施されていた。

    「レグロだ、今どういう状況になっている。」
    彼が問うと女は焦った様子で答えた。
    「何やら『俺の娘がお前らに殺された』などと、訳の分からぬことを言っておりまして……」
    「なんだと?どういうことだ。」
    「いや、それがもう何が何だか分からず……ただ『お前らのような使いっ走りに用はない。神主家の当主を出せ』と、暴徒を束ねる男が言って聞きません。」
    その言葉を聞き、レグロは女に言った。
    「わかった。とりあえずインパ、お前は私の護衛をしろ。そのまま彼らの話を聞こうと思う。」
    「そんな!あまりにも危険です。門の格子の外から刺される可能性だってあります。」
    インパと呼ばれた女が焦って引き止めると、レグロは何を訳の分からんことをという顔をした。
    「何を言っている。それを阻止するためにお前がいるのだろう?だいたい、このような輩には何を言っても通用しないんだ。大人しく要件を聞き入れてしまうのが一番害がないし、場合によっては早くことが済むものだ。期待しているぞ。」
    彼はそう言うと、インパを置いて門の近くまで歩き出してしまった。何を言っても無駄だと悟ったインパは大人しく彼の後を追っていった。


    「皆の衆、鎮まりたまえ!ここにいらっしゃるは神主家当主、レグロ様である。そなたたちの願いを聞き入れるため、態々おいでなさったのだ!」
    インパが地を震わす大声で言うと、ざわめく民衆たちが一斉に静まり返った。
    しかし、つかの間の静けさを貫くように、先頭で門の格子を掴む中年の男がつんざく声で言った。
    「お前らの兵士が俺の娘を手篭めにして殺したんだ!」
    その言葉を聞いてレグロは腕を組む。
    「ふむ、それが本当なら大問題だな。神主家の信用問題に関わる。」
    レグロがそう言うと、中年の男は様々な感情が入り交じった声色で訴えた。
    「……そうだ。娘を殺されたことに関しては、心がはりさけそうなほど許し難い。今にも、そこでふんぞり返っているお前を殺してやりたいほどだ。」
    男がレグロに向かってそう放った途端、肌がジリジリと焼けるような気配が周囲を満たした。

    「…………言葉を訂正しろ。」

    レグロの横にいたインパが今にも男を突き刺しそうな殺気を放っているのである。
    「……まぁ、話を聞いてからにしようじゃないか。」
    そう言ってレグロが窘めると、彼女は格子の外の男に向かって渋々と言った。
    「……本来なら極刑だ!覚えておけ。」
    すると男はニヤリと笑った。
    「ふん、そうだ。そこの女が言う通り本来なら極刑なんだろうが、そんなのは気にすることはない。悔しいことに、そこにいるレグロとかいう男はそこらの犬と違って話が分かるからだ。」
    男が火に油を注ぐようなことを言うので、インパは今にも爆発しそうである。レグロは溜息をつきながら両者を嗜めた。
    「……御託は良い。それでそなた、娘を殺したという兵士の顔を覚えているのか?実際に殺されたところを見ているのか?殺した男は本当に神主家管轄の兵士だったのか?」
    「ああ、本当にそうだっだ!死に際に娘がそう言ったからだ!」
    「なるほど、では実際に見た訳では無いんだな?」
    レグロが言うと、男はぐっと押し黙ってしまった。
    「……確信が持てないのになぜ力に任せて押しかける。本当に娘を殺した犯人を探したいというのなら捜査に協力しようではないか。私の兵たちに限ってそんな人道に背くことを行うはずは無いのだからな。」
    「…………」
    男は何も言わない。少しくらい憎しみと苛立ちをぶつけることが出来ればと思う気持ちが少なからずあったのに、レグロに上手く諌められてしまったからなのかと隣にいたインパは思った。
    しばらくしてレグロは周りの民衆を見回した。
    「……それで、お前の周りに沢山いる彼らはなんなんだ?まさか全員が全員、娘の死に怒って集ったわけではなかろう?凡そ殆どが娘の事件に便乗していつものように押しかけてきた輩といったところか……。」
    レグロが問うが、民衆は何も言わない。ただ黙ってレグロのことを睨みつけている。

    おかしな雰囲気を感じとったところで、何かがレグロの背後に立ち回った。

    「……っ!」

    途端、バサり、何かが倒れる音がした。
    反射的に振り返ると、何故かそこにはインパが倒れ込んでいた。
    「インパ……!」
    ハッとしてレグロが駆け寄ると、インパは苦しそうに脇腹を抑えながらフラフラと立ち上がった。
    ……背中から矢が突き刺さっていた。しかも、胴体を貫通している。その場にいた全員が言葉を失った。
    そして不幸にも、この一瞬の隙が命取りとなってしまった。

    「今だ!一斉にかかれ!」

    門前に待ち構える中年の男がつんざく声をあげたのだ。
    途端、門の一番手前に居た人々が自ら足場になり、後ろに続く人々がそれを土台にして門の格子を上り始めたのである。殆どは登りきる前に手を滑らせて下に落ちてしまうが、中には登りきって門を飛び越えてくる者もいた。
    突然のことに驚いたレグロはすぐさま兵士たちに指示をかけた。五十人程いる近衛騎士の内、三十人は門側に、残りの二十人をレグロの背後に配置する。……先程後ろから不意を突かれたからだ。
    三十人の騎士たちは、レグロの指示通りすぐさま門の前に立ち塞がり、上から降ってくる民衆を抑えるため槍を構えた。
    レグロの背後にいる兵士たちも同じく槍や剣を構える。
    門を飛び越えてきた民衆は、下から突き出す槍を恐れて次々と兵士たちに捕まっていった。
    その様子を横目で見て、レグロは、はぁはぁと荒い息をしながら脂汗をうかべるインパの肩を支えた。
    「……ほら、私に捕まっていろ。」
    レグロが言うと、インパは慌てて彼を押し返した。
    「何をおっしゃいます……私のことは捨ておいて、早くお逃げ下さい!」
    インパが必死に抵抗すると、レグロは鬼の形相でインパを睨みつけた。

    「……いいから黙っていろ。」

    彼のあまりの気迫にインパは何も言えなくなってしまう。
    レグロはインパの背を支えながら、周囲で民と攻防を繰り広げる近衛騎士達に声をかけた。
    「何があっても民を敷地内に入れるな!お前たちならその後の危険性を理解しているはずだ。徹底して守り通せ!」
    その言葉に近衛騎士たちは剣や槍を振るいながらもよく通る声で返事をした。
    レグロはその様子を見届けた後、近くにいた近衛騎士数人に自分たちの周囲の護衛を任せ、インパに肩を貸して立ち上がった。どうやら彼はインパを連れて何処かへ向かおうとしているようだ。

    レグロは歩きながら、インパにしか聞こえぬ声で静かに言った。
    「いいか?背後から攻撃されたんだ。察しのいいお前ならこの意味を理解できるはずだ。」
    「…………」
    インパは何も言わない。喋るのも苦しいのだろう。レグロは気にせず続けた。
    「お前に傷を負わせるほどだ。相手は相当な手練だろう。そしてあの寸分の狂いもない正確な攻撃……この矢は確実に私を殺すために放ってきたものだ。お前の類まれなる反射神経が無ければ今頃私は殺されていたかもしれない。」
    そう言いながらレグロはインパの肩を抱え直した。
    「……私自身は自分の身を守る術など持ち合わせてはいない。お前は身を呈して私を護ってくれたが、最大の盾であるお前が満身創痍になってしまった時点でこの先私を殺す隙など幾らでも生まれてしまう。この状況が変わることはきっと無い。だから私はお前を見捨てるくらいなら、少しの危険を犯してでもお前が助かる道を選ぶ。」
    そう言って、レグロはチラリと屋敷の入口横にある監視塔を見た。
    「あの監視塔には有事の際に向けて簡易的な救急箱が用意されている。兵も必ず一人常駐している。彼に手当をしてもらうんだ。内側に鍵も着いているから、しっかりかけなさい。一旦お前はそこに身を隠して、体を休ませることに集中しろ。いいな。」
    インパに声をかけるが、彼女は返事をしてくれない。当たりどころが悪かったのか、矢じりに毒でも塗られていたか……
    頭に過ぎる不安を振り払い、レグロは暴動を起こす民衆を横目で見た。
    「……私はあの中に戻って騎士たちに指揮をとる必要がある。『アレ』が民衆に知れ渡ることになれば、取り返しがつかなくなるからな。……果たして上手くいくか分からんが、とにかく今は最善を尽くし、この状況を乗り切る。それまで待っていろ。」
    インパは苦しそうに浅い呼吸を繰り返しながらも、レグロの瞳を見つめてきた。彼の言うことをしっかり理解している瞳だった。生気はまだ失われていない。早く治療すれば間に合うだろう。

    レグロは監視塔に着くと、扉を叩いた。
    「何者だ!」
    中から兵士の声がする。
    「レグロだ。ここを開けてくれ。」
    そう言うと、兵士が慌てた様子で扉を開けてくれた。
    満身創痍のインパを支えるレグロを兵士が目にした途端、彼は慌てた様子でレグロたちを監視塔の中に招き入れた。
    「如何なされましたか!?」
    レグロは慌てて詰め寄る兵士を落ち着かせ、これまでの出来事を大まかに説明した。
    「……そういう経緯でインパが傷を負ってしまったのでな。応急処置をしてやってくれ。」
    「……かしこまりました。ですがレグロ様はこの後如何なされるのですか?」
    既に監視塔から出ようとしているレグロに兵士が問うと、彼は兵士に目配せしつつ答えた。
    「私はあの中に戻り騎士たちに指揮を執る。今は少しの間だからと近衛騎士たちに任せているが、すぐに戻って指示を出さねば後々統率が乱れることになりかねんからな。……とにかくお前はインパの手当に集中してくれればいい。頼んだぞ。」
    レグロは兵士の返事を待たず、人混みの中に消えていった。

    ***

    先程護衛を任せていた近衛騎士数人を連れて、慌てて戻ってきたはいいものの、状況は先程とあまり変わらないように見える。門の近くで守りを固める騎士の一人に状況を尋ねてみたが、やはりこれといって重大な事態には陥っていないようだった。
    息の詰まるような状況だが何とか危機は脱せそうだと、そこにいたレグロも騎士たちも皆思った。

    ───だがその油断が命取りとなってしまった。
    槍と槍の合間をくぐり抜け、一人の男が屋敷内に侵入してしまったのである。
    すぐさまレグロは背後に居る騎士の内、五人に指示を出した。
    「何をもたもたしている!やつが『あの場所』に入る前に必ず捕らえろ!必ずだ!」
    レグロが言い切る前に、洗練された騎士たちは奴を追っていった。
    (……果たして間に合うのか)
    レグロの中に、ある不安がよぎる。
    (神主家が神主家としてハイリアの覇権を握る理由───
    建国から今に至るまで、決して民には明かされることの無い永久の秘密……それだけは何としてでも死守しなければならない……!)

    少し離れた場所から歯噛みして騎士達の帰りを待つ。
    この間、彼にとって一分一秒が永遠にも感じられた。
    しばらく騎士たちと民衆がいがみ合って膠着状態が続く最中、やっと屋敷に侵入した男を追いかけていった五人の騎士が戻ってきた。男は騎士たちに引きづられてぐったりとしていた。
    レグロはすぐさま騎士たちに問いかけた。
    「間に合ったか」
    だが彼らの顔はどこか暗く重い。
    まさか……
    嫌な予感がどんどん膨れ上がっていく。
    「まさか、間に合わなかったのか」
    しばらく騎士たちの無言が続いた。皆が皆、苦虫を噛み潰したような顔をする。
    漸くその内の一人が呟いた。

    「……我々が辿り着いた頃には、既に聖地の中でした」

    レグロの思考は一瞬停止した。
    だが直ぐに立ち直り、騎士たちに指示をする。
    「……その男は牢に入れる。お前たちはこのままその男を連れて私と共に着いてこい。」
    次いで、レグロは門の方を見て言った。
    「門前にいる騎士たちよ、なんとしてでも民衆を抑えこめ。何を言っても歯向かってくる奴らにはどんな手を使っても構わん。いいな。……もう一度言う。“どんな手を使ってでも”民を屋敷の中に入れるな。」
    この時のレグロは、いついかなる場合も冷静に判断を下す彼らしくなかった。彼はどこか、取り乱していた。
    しかし今のレグロにはこれ以外の方法が見つからなかった。このように暴動を起こす民を相手にするのは今までもよくあったことだが、今回のように民衆が明らかな殺意を放ってくるものは初めてだった。しかもこれまでと違い、彼らには神主家との話し合いに応じるという気配がなかった。随分前から今回の暴動が計画的に勧められて来た気配がある。
    知性でものを言わす彼にとって、まさにこういう相手ほど恐ろしいものはなかった。こちらの話に耳を傾けようとしない相手は暴力で一方的に解決しようとする。残念なことに、そういう相手に自分の知性は通用しない。どちらが正しいとかそんなものは関係ない。いずれにしても、そこに物理的な力が働けば、どちらが負けるのかなど目に見えているのだ。ならばこちらも力でもって応戦するしかない。
    やられなければやられる。力で抑え込まなければ、こちらが守りたい『秘密』を守り通せなくなる。
    彼にとってこの決断は致し方ないものだった。

    ***

    レグロは五人の近衛騎士と捕らえた男を連れて、屋敷の地下に続く道を歩いていた。
    しばらくして目的の場所に辿り着く。
    二十四時間陽光も月光も差しこまぬ、罪人達の行き着く先がこの場所だ。
    レグロは三人の騎士に地下牢入口扉の手前で待機を命じ、残りの二人を連れて中に入っていった。
    彼は地下牢の最奥まで辿り着くと、二人の近衛騎士に言った。
    「……明日、こいつを内密に殺す。その仕事をお前たちに頼みたい。」
    レグロは重々しく呟いた。
    対して二人の騎士は無言で頷いた。
    「……お前たちにこのような汚れ仕事を押し付けてしまい、本当に申し訳なく思っている。だが……ハイリアの安寧ためだ。どうか手を貸してくれ。」
    レグロは二人の近衛騎士に頭を下げた。
    騎士たちはどこか悲しそうな顔をしながら、それでも笑って言ったのだ。
    「何をおっしゃいます。我らは命をハイリア国に捧げた身……。神の御加護の元にあるご当主様の命令とあらば、どんな汚れ仕事でも喜んで請け負います。」
    「……えぇ。ですからどうかお顔をおあげ下さい。」
    二人の近衛騎士がそう言うと、レグロは彼らに礼を言った。
    「リンク、オービル……ありがとうな。」
    そしてまた、ハイリアの安寧は保たれようとしていた。
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    ⚠️そもそも剣の人柱自体、本編スカイウォードソードと似て非なる話という設定なのでなんでもありです。
    以上を踏まえ、大丈夫!という方のみご覧下さい。
    剣の人柱Ⅱ私と、この世界に生きる全ての人間へ、戒めのために綴る。

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    「また民が暴動を起こしました!」
    男が部屋で職務をこなしていると、一人の騎士がやってきてそう言った。
    「またか。どうせ今日も同じなんだろう?」
    男は大きくため息をついた。


    神主家が治めるハイリアの地は、ここ十年程で興された隣国ローレリアに時間をかけて脅かされていた。
    ローレリアとはある一人の男によって興された小国であり、その男の出自や国が出来上がった経緯、周囲を巻き込み成長していく力の源など、その殆どが謎に包まれていた。
    ローレリアは至って小国ではあるが、時間が経つ毎に着々と力を増していった。次々と隣国を巻き込み、少しづつではあるが大きく成長しているのである。もはや、未だ侵攻されていない国は周囲でハイリアだけという危険な状況に立たされていた。そのため神主家は民衆に税を課し、軍事費と防衛費の工面に当てているのである。
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