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    nig

    @nessieisgreen

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    nig

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    🛸🤟が同棲していたらな日々の妄想。短編3つ(とても短い)。

    #Renkyotto
    Renkyotto<3

    今夜はチキンスープ1.
     キョウの髪の毛が好きだ。彼のきれいな水色の髪はいつもふわりとしていて、多分触ったらとっても心地良いんだ。彼の髪が目の前にあると猫じゃらしに飛びつく猫のように、思わず指で追いかけたくなってしまう。それに、キョウの髪の毛はいつも太陽みたいな匂いがする。太陽に当てたあとの、あの洗濯物のすてきな匂い。彼はちっとも外に出ないはずなのにとても不思議だ。彼の近くに座っていると温かい日差しに包まれているみたいで安心する。心地良さに思わずうたた寝して彼に呆れられてしまうこともあるのだけれど。
     今も目の前に彼の形の良い、丸っこい頭がちょこんとある。彼の可愛いつむじが見えて、思わず口づけそうになって、我慢する。俺はこんなにも好きなのに、彼は髪の毛を触られるのがあまり好きじゃないみたいだ。汚いからやめろよって言われるたび、可愛いのに、と言い返すけど、倍にして返されてしまうから最後には俺も諦める。俺が好きなキョウを、キョウも好きになってくれたらいいのに。でも、俺が好きなキョウを好きになってくれない、少しひねくれたキョウのことも好きだし、今俺の膝の間に座ってゲームをしているキョウのことも、たまに膝の上にごろんと猫のように居眠りしてしまうキョウのこともたまらなく好きなんだ。

    「おいレン、話聞いてた?」

     彼のやっぱりあたたかい髪の匂いでうとうととし始めていた俺を、気が付いたらキョウの拗ねたような表情が見つめていた。うん?と未だ夢見心地に応えると、大丈夫?疲れてる?と今度は気遣うような彼のさびしそうな声。本当は一緒に遊んでほしいと思いながらも優しくなってしまう彼のことが、やっぱり好きだ。

    「ううん、キョウのことが好きだなって」
    「・・はあ?」

     なんでそうなんの?本当お前ってやばいエイリアンだな、と口調は怒っているけど、本当は別に怒っているわけじゃない。その証拠に、さっさとゲームを再開しだした彼に、髪の毛触っていい?と聞いたら、少しだけ間を置いてから、5分で1000円な、と返って来たから。彼の柔らかい髪の毛を指で梳きながら、やっぱりキョウのことが好きだなあと思う。

    2.
     ぱち、という音に続いて、くそ、という悪態。読んでいた雑誌から顔をあげると、爪切りを手にしたキョウがいまいましげな表情で爪を見つめていた。

    「どうかしたの?」
    「爪切るのが下手すぎて変な形になった」

     そう言って見せてきた彼の爪は、確かにうまく円を描き切れなかったみたいに、先端が少しだけ歪な形を成していた。

    「確かにちょっとでこぼこしてるけど、そんなものじゃない?」
    「まあな・・でもなんか気になるんだよなあ」

     キョウの指が爪の先を撫でる。少しひっかかる感じが嫌なのかもしれない。

    「俺が切ろうか?」
    「ええ?いいけど、うまく切れるの?」
    「犬の爪なら上手に切ってるよ」
    「・・なんか余計不安になるんだけど」

     疑わしい表情を浮かべてきながらも、はい、とキョウが俺に手を差しだす。まかせてよ、と切りやすい位置まで彼に近づくと、地面に放っておかれた爪切りを手に取って、彼の親指をそっと掴んだ。彼の指は柔らかくて優しい感じがして好きだ。だから爪の先が尖ってしまっているのは、確かに彼の指にはもったいないかもしれない。爪切りの爪とぎの部分を親指の先に当てて、なだらかな線になるよう、研いでいく。さり、さり、と繊細な音が静かな部屋に鳴る。キョウはじっと、俺の手元を見つめている。

    「・・どう?」
    「うん、まぁ、いい感じ」

     俺が手を離すと、キョウは親指をまじまじと見つめて、合格点をくれた。他の指もやる?と聞くと、大変じゃなければ、ともう1度手を差しだしてくれる。大事なところを託してくれたことに嬉しくなる。今度は人差し指から初めて、それから中指へ。さり、さり、という音が子守歌のように心地よい。思わず鼻歌がもれてしまうと、キョウが笑う気配がした。薬指はまだ伸びたままだったから、ぱちん、と深爪にならないよう切りながら、爪とぎで形を整えていく。

    「・・なんか眠くなってきた」

     右手を終えて、左手の人差し指に差し掛かったところだった。顔をあげると、キョウの目は確かにとろんとしている。

    「切り終わったら寝る?」
    「うん」
    「なんか俺も眠くなってきちゃった」
    「・・いっしょにねる?」
    「うん」

     小さい子どもみたいな言い方が可愛くてつい笑ってしまう。キョウのあたたかい体温に触れて一緒に寝る時のおだやかな気持ちを思い出して、さっさと終わらせてしまおうと、今度は中指を手に取る。ぱちん、ぱちん、さり、さり、と眠気を誘う音。全部の手が終わるころには、キョウは目をつむってしまっていた。

    「終わったよ」
    「・・・うん」
    「立てる?」
    「・・・うん」

     そう言いながら、眠気に抗えずにぐらぐらと頭が揺れている。抱っこするよ、といつもなら拒否されてしまいそうな言葉にも、うぅん・・と言って素直に腕を伸ばしてくる。首の後ろに回った腕を確かめてから、彼を抱き上げる。月の力で大きくなってから体重も重くなったけど、こうしていると昔の小さくて生意気で可愛いキョウのままだと思う。すぐそばにあるベッドに彼をゆっくりと降ろして、タオルケットをかけると、自分も隣にもぐりこんだ。キョウの身体に腕を回してうなじに鼻をうずめると、一緒に使っている石鹸の匂いがした。彼の手に自分の手を重ねる。指の先に当たった、彼の丸くなった爪の先に幸せを感じながら、目を閉じた。

    3.
     レンが風邪をひいた。高い熱に顔を赤くしてげほげほと咳をしている姿はとてもかわいそうだった。いつも元気そのものでいてくれるから、弱っている姿を見ると、このまま一生元気にならないのではないかと怖くなる。解熱剤のストックがなくなっていたから、慌てて薬局に買いに行く。家に戻って水と一緒にレンに渡すと、ありがとう、と掠れた声が返ってきた。そうしたって何か変わるわけではないけど、そばにいる理由がほしくて、レンのおでこに手を当てて、汗で顔に張り付いた前髪をはらう。キョウの手、冷たくてきもちいい、とレンが犬みたいに目を細める。うん、としばらく髪を撫でてあげていると、レンがうとうとしはじめて、それからすぐに寝息が聞こえてきた。安心して、彼の穏やかな寝息を聞きながら俺も目を閉じる。
     次に目を開けた時、まず感じたのは腕や首の痛みだった。不自然な姿勢で寝てしまったのだから仕方ない。痛みに顔をしかめていると、おはよう、とレンの眠たそうな声がすぐそばで聞こえた。顔をあげるとレンも起きたばかりなのか、まぶたが重そうだった。

    「・・今起きたの?」
    「うん。・・キョウはずっとここにいたの?」
    「あー・・そうみたい。気づいたら寝ちゃってた」

     ははは、とレンのいつもの笑い声。まだだるそうではあるけど、いつものレンの楽しそうな声が聞けてなんだかほっとしてしまう。

    「そっかあ、キョウがいたからかなあ」
    「なに?」
    「なんか心地いい夢見た気がする。あったかくて優しい夢。もしかしたらキョウがずっと一緒にいてくれたからかなあって」
    「・・・うん」

     言葉にしなくても、彼の目がありがとう、とか好きだよ、とかそういった類のことを語りかけてきているのが分かって、切ない気持ちになる。それから、彼のことを好きになって良かったな、とも。早く元気になれよ、と彼の鼻をふざけてつまむと、うん、がんばる、とレンがにっこり目を細めた。しばらく見つめあいながら、彼の鼻の先や頬をなぞるとレンがくすぐったそうにする。外はもう暗い。お腹すいた?と聞くと、うん、と素直な返事。じゃあ何か作ってくる、と離れがたい気持ちにふんぎりをつけて立ち上がろうとしたけど、ふと思いついて、早く元気になりますようにと彼の熱くなったおでこにキスをした。

    「わあ、キョウ・・俺、本当にすぐに治る気がしてきた」

     唇を離すと、目を見開いて感激したような声。彼の反応が面白くて、熱が下がったらおでこじゃなくて口にしような、と追い打ちをかけると、わーお、俺今すぐ寝るよ、キョウと早くキスしたいから、と言って布団にもぐってしまった。俺は思わず大声を出して笑ってしまう。それから心底思う、この可愛いエイリアンが早く元気になって、たくさんキスできますようにと。
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    nig

    DONE🤟🛸inミッションスクールな話。長いのでいったん途中までですが載せておきます。
    3月11日:加筆修正、続き書きました。
    瓶の中、ふたりで この学校は変なやつばかりだ。例えば、今あそこで電子オルガンを弾いているやつ。一見すると普通の人間のようだが、頭には左右非対称の黒い角が生えていて、先端は水色に発光していた。学校から支給された白いブレザーを正しく身に着け、涼しげな顔で流れるようにすいすいと鍵盤を叩いている。もし彼を瓶に詰めてラベルを貼るとしたら何て書くだろう。“品性方向”“誠実”・・それから“王子様”といったところだろうか。“王子様”を思いついたところで、彼はいかにも白い馬に乗ってお姫様を助けに来そうだと思い、笑いそうになる。あるいは・・と“品性方向”と“誠実”に二重線を引き“ヤリチン”と書き直してみる。つまり、“ヤリチン”の“王子様”。清涼剤の匂いでもしそうな澄ました横顔が、下心を裏に隠した甘い表情で見知らぬ誰かを口説いている様を想像し、またも笑いがこみあげる。ありえなくもない。瓶のラベルには“品性方向で誠実だが、ヤリチンの王子様?”と書くのが良いだろう。生徒が全員着席し“ヤリチンの王子様”の伴奏が止まると、俺の思考もそこで霧散した。先生が壇上に立ち(今日は国語の教師だった)、“・・・の福音書26章41節を読みましょう・・”と真剣な表情で言と、あの独特の薄い紙をめくる音が、さざ波のように広がっていく。俺はてきとうにページを開いて膝の上に置くと、説教を始める先生ののっぺりとした声を子守歌にして目を閉じた。
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