「1号ズルい! 勝手に強くなってズルい!」
「仕方ないだろう、喚くな」
ズルい、ズルい。まるで鳴き声のように一つ覚えに繰り返す2号を、1号は呆れを隠すことなく顔に浮かべて見下ろしていた。
かすかに紫煙を上げる光線銃を下ろし、無駄のない動作で腰元のホルダーへと収める。そうして、少し浮いた位置から2号の立つ地面へ降りる間も尚、ズルい、と鳴き声は続いていた。
なんてことはない、光線銃の性能がやや上がったというだけのこと。試作品であるそのアップデート版を充てがわれたのが、番号の若い1号であったというだけのことだ。
「試作を二つも作るのは手間だということくらい分かるだろう。特に問題は無かったから、すぐにお前の分も出来上がる」
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