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    slekiss

    @slekiss

    QMA・YGO(GX未履修)・悠久・格ゲー(主にSNK系、初期のBB)・刀剣等。
    今描ける環境ほぼないので基本文字書きのひと。
    過去絵(主に描きかけて飽きたやつ)や駄文をぽいぽいと。

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    slekiss

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    某氏と自分を中心に、有志で企画されたQMA(初代基準)のコラボ小説たち。
    当時の教師たちから選ばれた面子(レオン、サンダース、アロエ+誰かひとり)で構成されたパーティで、様々なミッションをこなしていく……みたいなものを考えてたんだけど案の定頓挫したので、自分のパートの書いてたとこだけ載せてみる。因みに冒頭は全員共通。

    #QMA
    #企画ログ
    planningLog

    冒頭→カイル→セリオス→ルキアver.「ご決断を、老師」

     会議室にフランシスの声が響く。
     ロマノフは瞑っていた目を開き、フランシスを睨めつけた。
    「急くでない。まったく……お主のそういったところは学生の頃から変わらんな」
    「今は──」
     フランシスはロマノフの声を遮るように声を荒げた。
    「時が惜しいのです、老師」
     二人の間に空気が凝縮していく。ほかの教師はその光景を無言で見守っていた。
    「他に意見はないか」
    「はいはーい」
     その問いに、場違いとも思える舌足らずな少女の声が応えた。
     少女は手にした装飾過剰なステッキを振りながら、ロマノフとフランシスの間に入っていく。
    「その役目、一人じゃきついと思うのだ」
     少女──マロンはそう言いながら、ちらりとフランシスの顔を見上げた。
     フランシスはやれやれと言わんばかりに顔をしかめたが、彼女の視線に気付くと一変して笑顔を浮かべ、優雅に会釈した。
    「でしたら──」
     やわらかな声に全員が振り向く。
    「私を含めて、ロマノフ先生、マロン先生、そして、フランシス先生の四人でひとりずつ選びましょう」
     声の持ち主であるリディアが、そう言って微笑んだ。
    「判りました」
     フランシスは肩を竦めた。
    「決まりじゃな。ではひとりずつ、四人でことに当たって貰うとするかの」
     ロマノフがにやりと笑った。
    「仕方ありませんね。年長者の意見には従いましょう……あ」
     そこまで言って、自分が失言をしたことに気付いたフランシスが、恐る恐る女性陣の顔色を窺うように見下ろす。学生時代、彼が失態をした時によくやっていた仕草だ。
     もっとも、彼は既に成人しており、背丈も彼女たちを追い越してしまったのだけれど。
     その頃を思い出したのか、マロンとリディアは顔を見合わせてくすりと笑った。

     こうして、四人が選ばれたのである。


    【カイルver.】

     疾走する身体に感じられるのは、額を流れる汗と荒々しい息遣い。活路を求めて視線を彷徨わせた。
     刹那、螺旋を描いて襲いかかる炎を、身を翻して避けつつ、詠唱を始めた。
     隙を突くかのように、炎は続けざまに襲い掛かる。間一髪で、彼の身体の周りに巡らされた、見えない壁が爆炎を防ぐ。
     だが、その予想以上の威力に、彼──カイルは、絶望を感じ始めていた。


    「……という訳なんだ。一緒に行ってくんねーかな、カイル」
     レオンの説明に、カイルは一瞬考えこむような仕草を見せたが、やがてすぐに肯き返した。
    「わかりました。光栄です」
     穏和ながらも力強い声に、三人が顔を見合わせて喜んだのは言うまでもない。


    「随分登ったね……」
    「そうですね、ちょっと休みましょうか?」
     アロエの顔に浮かんだ疲労をいち早く見て取り、カイルはその旨を、先行のレオンとサンダースに告げた。
     確かに、幼く体力的に劣るアロエには、この山道はかなり厳しい。
     休憩と聞いて、思わず路傍に座り込む彼女に水筒を差し出しながら、カイルは穏やかに微笑みかけた。
    「疲れましたか?頑張りましょうね」
    「うん!わたし頑張るからねっ」
     しかし、サンダースが引き返してくるのに対し、レオンはそのまま山道を登っていってしまった。
    「おや、レオン君は?」
    「先の様子を見てくるそうだ。全く、あきれた体力だな」
    「まだ、遠いんですか?」
    「目的地まではもう少しだ」
     それを聞いて、カイルとアロエは微笑みあった。
    「たとえ日暮れ前に着けなくとも、夜間訓練と思えばどうという事はないがな」
     だが、サンダースの言葉にその笑顔が凍りつく。

     三人は休憩がてらレオンが戻るのを待っていたのだが、暫く経っても彼は戻ってこなかった。
    「……レオンちゃん遅いね」
    「行きましょうか。先に進み過ぎて待ってるのかもしれませんし」
     再び荷物を背負い、三人は山道を登り始めた。

    「あ、レオンちゃんだ」
     遥か先にレオンの姿を見つけたアロエが声を弾ませる。なにやら鬱蒼とした森の木々を見上げている様だった。
    「おーい!レオンちゃーん!」
     アロエが無邪気に手を振るが、反応はない。
    「あれ、きこえないのかな?おーい!」
     何度も声をかけてみたが、やはりレオンは微動だにしない。
     近づくにつれ、まるで泣いているかの様に、その背中が微かに震えているのが見えた。
    「どうしたのレオンちゃん。ないてるの?どっか、いたいの?」
     アロエが心配そうに問いかける。やはりレオンは反応を示さなかったが、身体の震えはますます強まっていく。
    「おい、レオン」
     異常を察知し、アロエとサンダースがその肩に手をかけた瞬間──

    「ぐおっ!」
    「きゃあぁっ!」

     迸る白光と悲鳴。手から伝わる凄まじい衝撃に弾き飛ばされ、もんどりうった二人の身体は、路を外れて崖下に飲み込まれていった。
    「アロエ!サンダース!!」
     半ば身を乗り出すようにして、カイルは眼下に広がる闇に向かって叫ぶ。
     しかし、返ってくるのは木霊ばかり。

     応えは、無かった。

    「何をするんですかっ!?」
     普段なら絶対に耳にする事のない、カイルの鋭い声。だが、レオンはそれに怯む様子もなく、芝居がかった動作でゆっくりと振り向いた。
     漸く見せたその顔に浮かぶのは…笑み。       
     しかし、いつもの人懐っこいそれとは全く無縁の、能面のような無機質な笑顔。
     そして、その目を見た瞬間、カイルは息を呑んだ。

     不吉に輝く、琥珀の瞳。

    「レオン……君?」
     カイルは逡巡した。確かに、そこにいるのはレオンである。しかしその目は、カイルの知っている紅髪の少年のものではない。
     カイルは、自分でも信じがたい、だがただ一つの可能性を口にした。

    「……あなたは、誰なんです?」
     レオンは──否、姿かたちはレオンであるものは、ほう、という顔でカイルの顔を見返した。その冷ややかな表情に、カイルは自分の直感が正しい事を確信する。
    「お前の仲間の身体は、中々に居心地がいい」
     レオンの声で返される、だが紛れもない別人の応え。

     カイルの背に冷たい汗が伝った。

    「一体、レオン君に何をしたんですか!」
     激しい口調で問い詰めながら、カイルはじりじりと位置を入れ替えていく。背後に崖を背負った状態では、不利は否めない。
    「そんな事より、自分の事を心配したらどうだ?」
     レオンの身体を借りた何者かが、冷たく言い放つ。カイルの狙いを見透かしたかのように、行く手に立ちはだかった。

     動きを止める二人。互いの胸中を探るべく、交錯する視線。

     風が梢を揺らす。

     それが合図であるかの様に、二人の魔術士の唇から詠唱が流れた。



    【セリオスver.】

     セリオスは、音楽室のドアを後ろ手に閉めた。
     そして、先ほどまでの演奏の余韻を楽しむかのように目を閉じる。シャロンとのアンサンブルは、なかなかに刺激的であった。
    「あぁ、こんな処にいたのか」
     背後からのレオンの声に、振り返る。
    「……何か用か?」


    「──という訳なんだよ」
     レオンの説明を歩きながら受ける。セリオスは少し考えた後に言った。
    「わかった。行こう」
    「よかったぁ」
     アロエが手を叩く。
    「お前達だけじゃ心配だから、お目付け役が必要ってことだろう?」
     セリオスは微かに、シニカルな笑みを浮かべた。


     汽車での長い移動が終わる。ホームに降り立ち、レオンがううんと伸びをした。潮風が鼻腔をくすぐり、海が近いことを教えてくれる。
    「随分のどかな町だなぁ」
     レオンが辺りを見廻して呟く。
    「……」
     サンダースは無言で改札に向かう。効率を求める彼にとって、雑談は非効率的なもののひとつだからだ。
    「おなかすいたぁ」
     アロエが音をあげるのをなだめながら、セリオスも続いた。

    「ようこそ!マジックアカデミーの皆さん!!」
     クラッカーが派手な音を立てて鳴り響く。呆気にとられる四人を、二十人程の人々が囲んでいた。
     人混みを掻き分けるように一人の中年の男が進み出て、サンダースの手を握った。
    「私がこの町の町長です。ようこそいらっしゃいました」
    「……うむ」
    「いやあ、生徒さんだけと聞いていましたが、まさか先生までお越しくださるとは!」
     ひきつった顔で町長を睨み付けるサンダースに、レオンとセリオスは互いを肘でつつきながら笑いを噛み殺した。


    「実は、お願いがありまして」
     豪勢な食事の後で町長は言った。
    「……何でしょう?」
     セリオスは居住まいを正し、町長に向き直る。
    「いえ、その……この町にはちょっとばかり、やっかい事がありましてね」
     レオンは「そらきた」とばかりにセリオスに目配せした。
    「やっかい事、ですか?それはどのような?」
     セリオスはレオンを無視して町長に尋ねる。
    「あの灯台なんですが...」
     町長は窓から、岬の灯台を指差した。夜だというのに灯りはともっていない。微かに見えるそのシルエットが、ひどく不吉な物にアロエには見えた。
    「数ヶ月前から、あそこに住み着いている魔法使いがいるのですよ」
     軽く咳払いをする。
    「そのこと自体は構わんのですが、明かりを灯す為に近づこうとすると、魔法で追い払われてしまうのです」
     ほとほと困った、という顔でため息をつきながら
    「夜の航海の安全の為にも、何とか交渉してもらえないでしょうか」
     町長はそう言って、セリオスの顔色を伺う様に汗を拭った。
     四人は顔を見合わせた。

     とりあえず旅の疲れを癒して欲しい、との町長の有難い言葉により、早々に寝室に案内される事になった。もちろんアロエだけは別室である。

    「さて」
     セリオスがレオンとサンダースの顔を見廻す。
    「どうする?」
    「皆困ってんだろ、やろうぜ」
    「──気に入らん。何か裏がありそうだ」 
     レオンの言葉にサンダースが異を唱える。
    「裏ぁ?」
    「数ヶ月前から魔法使いが住み着いていると町長は言ったな」
     サンダースの言葉に頷くレオン。
    「何の為に?」
    「は?」
     サンダースの言葉の意味を掴み損ねたレオンだったが、セリオスはサンダースの問いを正しく理解したらしい。なるほどと肯けば、サンダースも首肯で応える。
    「オイ、なに二人だけで判りあってんだよ!オレにも判るように言えっての!」
    「お前は灯台に住みたいと思うか?しかも数日ではない。数ヶ月だぞ。とても快適だとは思えんが」
    「……あ」
     セリオスの説明に、レオンが漸く理解を示す。 
    「そうするだけの理由がある、という事だ」
     セリオスの言葉に、うむ、とサンダースが続ける。
    「それも、私達には言いたくない理由が、な」
      
     その時、コンコン、とドアをノックする音がした。
    「……はい」
     三人の顔に緊張が走る。セリオスが扉の外に向かって返事をすると、微かに軋んだ音がして、ドアが開いた。
     現れたのは、寝間着姿で枕を抱えたアロエだった。
    「……アロエか。どうしたんだ?」
    「えっと、あのね、わたし、独りじゃさみしくって……それで……」
     照れた様に笑うアロエに、セリオスの顔が引き攣った。助けを求めるように振り返ると、レオンとサンダースは既にベッドの中に潜り込んでいた。
     ご丁寧に、わざとらしくいびきをかいている。
    「お、お前らっ!」 
     こんな時だけ察しがいいのかお前は!とレオンに怒鳴るが、ぎゅ、と服の裾をアロエに握られてしまう。
     もはや手遅れだった。

    「ごめんね、ベッド取っちゃって……」
    「気にするな」
     アロエに自分のベッドを明け渡したセリオスは、ひとりソファに寝転んで天井を見上げている。
     おやすみなさい、とアロエの声がする。ああ、と短く返して暫く経つと、三人分の安らかな寝息がきこえてきた。
     さて自分も寝てしまうか、と横になってはみたが、アカデミーのものとは違う、ごつごつとしたソファの感触辟易する。
     溜息を吐いて、セリオスは眠るのをあきらめた。バルコニーに通じる窓を開け、外に出る。
     微かに聞こえる波の音、満天に広がる星空に身を委ねるのは、悪い気分ではなかった。
    「……ん?」
     ふと違和感を覚え、その表情が曇る。件の灯台を見やると、いつからだろう、ぼうっと灯が燈っていた。慌てて目を凝らすと、人らしき姿がその灯に浮かび上がるのが見える。ふわりと旋律のようなものがセリオスの耳に届いた。
    「──」


    「レオンちゃん!起きてっ!」
     緊迫した声のアロエに揺り動かされ、レオンは目を覚ました。
    「な、なんだっ!?」
    「どうしたっ!」
     サンダースも跳ね起きる。夜は未だ明けていない。
    「セリオスが……セリオスがどこにもいないのっ!」
     レオンとサンダースが顔を見合わせる。
     開け放たれたままの窓から吹き込む風が、カーテンを揺らしていた。

     (To be continued.)


    【ルキアver.】

    「へ?アタシ?」
     ルキアは目を丸くして自分を指差した。
    「うんっ」
     その問いに、アロエが嬉々として肯く。
    「レオンちゃんも、ルキアちゃんに来て欲しいって」
    「お、おい!誰がそんな事言ったよ!」
     レオンが慌てて突っ込みを入れるが、ルキアはそれには応えず、うん、いいよーとアロエに笑いかけた。
    「やったぁ。ルキアちゃんと一緒だぁ」
    「てか行くって何処に?しかも何をしに行くワケ?」
    「……行き先は隊長に訊いてくれよ」
     皆に無視された形になったことに渋面をつくりながら、レオンが諦めたように言った。
    「隊長?」
     ルキアが訝しげに尋ねる。
    「そ。あいつ」
     そう言ってレオンの指差した先には、サンダースが居た。
    「我々の目的地はここだ」
     サンダースは机上に広げた地図を指差す。
    「ん?ここって港町じゃない」
     地図を見るなり地名を言い当てるルキア。
    「そうだ。今回の作戦の地になる場所である」
     
     

    「うわ、何だこれ」
     海岸を見たレオンが、げんなりとした顔で言った。
    「これは酷いわね……」
    「海、汚れちゃってるよう」
     ルキアとアロエも顔を曇らせる。海岸には、見渡す限りのゴミの山。海にも幾らか漂流してしまっているようだ。鉛色をした濁った水底には、生き物の気配はないように思えた。
    「なあ、ルキア」
     レオンが海をみながら言った。
    「ん?何?」
    「魔法って便利だけどさ。こういう事に使うのって、なんつーか、その」
    「うん。自分たちの力でやらなくっちゃ意味がない、ってことでしょ?」
    「そう、そうだよ!それが言いたかったんだ!」
    「隊長はこれ持って」
     アロエがにっこりと微笑みながらサンダースにプラカードを渡す。
     そこには、
    「ゴミを捨てる者は、即刻立ち去り給え!」 
    と書かれていた。


     四人の活動により美しい砂浜が帰ってきた。そんなある日
     砂浜に打ち上げられた一頭のイルカ
     四人のにわかへっぽこ獣医とイルカのひと夏のお話……になる予定だったんだよ、ほんとはな。


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