未知の世界 例えば…顔が好みだとか性格が好ましいとか、声が良い、匂いが好きっていうのも人を好きになる理由になるらしい。俺は、正直そういうの、全部わからない。だって俺は空っぽで無個性な人間だから。そんな俺からすると、判断基準なんてものはあって無いようなもので…良いも悪いも判別がつかないから。
それでも何故か俺についてくるお前らに、俺の方も…いつの間にか強く惹きつけられているのではないかと、最近考えるようになった。
「闇の騎士、私はあなたの…側にいたい」
全身を白と黒で構成された(こういう格好はゴス・ガールと呼ばれるらしい)ミカサの頬が赤く染まる。その色づいた頬を見つめる。
なんで、俺なんだ。
全然わからない……わからないのに、コイツらとつるむようになってから、俺の退屈で平凡な日常がどんどん覆っている。子どもみたいかもしれないが、それが俺はなんだかわくわくした。がっかり続きの俺の日常に飛び込んできたオタクとゴスガールは、俺を色鮮やかな未知の世界に巻き込んでくれる。
告白の言葉を口にしたミカサに、俺は何も答えられない。でも、俺の中に答えは出ている。
俺をまだ知らない世界に連れて行ってくれるお前たち…いやお前のことが。