目が覚めた瞬間、何やら喪失感を覚えた。
やり残した事がある訳でもない。約束をしている訳でもない。それなのに何か、大切な事を忘れている気がする。
私は念の為、携帯電話を取り出して今日の予定を確認した。だが、予定は空白だった。
何だろう、ぽっかりと胸に穴が空いてしまったかの様だ。
液晶画面の一部がボヤけてよく見えない。なるほど、あまり体調が良くないのかも知れない。私は再び布団に潜り直し眠る事にした。
着信音が鳴っている。
まただ。液晶画面がボヤけてしまっていた。
もしやこの携帯電話自体の故障かも知れない。昨今に於いて携帯電話がないと不便で仕方がない。
彼やカルナでさえも持ち歩いているのだ。
使いにくいまま放置して置くわけにもいかない。
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