独白 願い毎晩、日課にしている事がある。
「お帰りなさいテランス。今日も、祈って来たのね」
「ただいま。うん、遅くなってごめん」
それはメティアへ、愛する我が主の無事と帰還を祈る事。
「後は僕が片付けておくから、ゆっくりおやすみ」
「ありがとう。お休みなさい」
我が主ディオンより、前線からの離脱と、たった今寝室に入って行った少女・キエルの保護を言い渡されてから今日まで。長い様で短い日々を自治領から離れた閑静な土地で過ごした。
人々は敵襲に怯えながら、それでも必死にライフラインを整えつつ、しかし酷く消耗していた。
キエルを探し出す事については、ディオンが残したメモのおかげで割と早く事が進んだ。保護をした後は温かい寝床と食事を。その提供ができるかの設備確認は、これもまた、悲しい事にすぐにできた。寝床はあれど被る物は己の服のみ。台所はあれど、水はない。火は外で焚き火のみ。
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