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    Karen_gotoku

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    Karen_gotoku

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    どこまじシリーズ第八弾! ゾンビ真島

    西田は空気を読んで途中で帰りました。

    #腐が如く
    #真桐
    Makiri

    街中を歩いていると遠くからヘビ革ジャケットの姿が目に入る。彼の服はかなり目立つので遠目から見ても真島だとすぐ分かる。
    また喧嘩を吹っかけられそうだ、と踵を返そうとしたとき様子がおかしいことに気付いた。
    肌の色がいつもと違く、フラフラと覚束ない足取りで歩いていた。もしや、と眺めていると突然真島は桐生に向かって走り出した。

    「ちょっと、齧らせてぇや!!!」

    赤く光る目をギラギラと輝かせながら薄ら笑みを浮かべて襲ってくる姿はもはや恐怖。いくら恐怖にも耐性がある桐生とはいえ、今回の真島は本当にヤバイと脳が警報を鳴らす。
    踵を返すと一目散に逃げた。だが、真島が見逃してくれる筈もなく突如として命を掛けた鬼ごっこが始まる。

    「(くっそ…しつけぇ)」

    いつもは距離を離すと諦めてくれる真島だったが今回は諦めが悪いようでいつまでも追いかけてくる。
    必死に足を動かし、路地裏に回り込む。建物を挟んで壁に隠れると一息付いた。

    「はぁ…はぁ…」

    持久力に自信がある桐生でも流石に息が上がる。息が整ったと思うと立ち上がって辺りを見渡す。人影がいないと分かるとそろり、と静かに歩き出した。が…。

    「見〜〜つけた」

    背後から真島が現れ、驚きのあまり一瞬固まってしまった。だが、捕まってたまるかと再び走り出す。だが、路地裏はかなり入り組んでおり逃げようとしても元来た道が分からなくなってしまった。そして、目の前には壁。
    完全な行き止まりだった。

    「………チッ、」

    ひとつ舌打ちすると追ってきた真島を一瞥する。結局喧嘩する羽目になるのか、と拳を構えるが真島はニタニタと笑いを浮かべたまま。
    物凄く気味が悪かった。以前、ゾンビに扮した真島が喧嘩を吹っかけてきた事があった。あれは全部メイクだったから良かったものの今回は⸺。

    「な……!」

    一気に距離を詰められ構えていた腕をひねり取られる。両腕を壁に物凄い力で押し付けられ骨が折れるのではと思うくらい握られる。

    「……離せ!」

    身動きをしてもガッチリと抑えつけられ、ろくに抵抗が出来ない。
    真島は曝け出された首筋に顔を近付けると思いっきり噛み付いた。肉が引き裂かんばかりに犬歯が食い込み、痛みに顔を顰める。

    「……、…ッ」

    くっきりと歯型がついたそこからたらり、と1筋血が流れた。真島はそれを舐め取っていく。たまに歯型が付いた所を吸い取られると、じくじくと良くわからない感覚が生まれる。

    「く、……ッ、…ぅっ」

    真島の行動が理解できなかった。昔錦山と見たゾンビ映画ではゾンビが本能で人間を齧る事で仲間を増やそうとしたらしい。今の真島はそういう事なのだろうか、と考えた途端血の気が引いた。

    「(まさか…兄さんは…本当にゾンビになっちまった……?)」

    そうなったらもう自分ももはや手遅れなのでは、と思った瞬間真島は離れた。俯いていたが顔を上げると⸺⸺⸺思いっきり笑っていた。

    「ヒャーッッッッハハハハ!!!!!桐生ちゃん!!!今度こそ儂がホンマもんのゾンビになったと思ったんか!!!??ヒーヒヒッッッッ!!!アカン!オモロすぎて涙出てきたわ!!!!」

    膝をバシバシ叩いて爆笑する真島にポカン、とするしかない桐生。
    そして壁の上からいつの間にかカメラを構えた西田が居た。彼は必死に桐生に向かって頭を下げている。

    「前のなこっそり撮って編集した映像が人気やったんや。っちゅうわけで続編作ろ思っとったんやがいや〜我ながら迫真の演技やったで……って、桐生ちゃん?どないしたん?」

    後ろを向いて顔を手で覆い隠して震えている。どこか具合でも悪くしたのだろうかと心配になったがぽつりと呟いていた。

    「……た」

    「んん?」

    「兄さんが…本当にゾンビになっちまったのかと…心配、したじゃねぇか…」

    「き、桐生ちゃん……!」

    真島は嬉しさの反面桐生をだました罪悪感に苛まれる。後で詫びに酒でも奢ってやろうかと考えていると顔に衝撃が走った。

    「ふざけんな真島!!!!!!!」

    桐生の怒号と共に真島は吹っ飛び壁にめり込んだ。パラパラと破片が落ちる中真島のヒヒッと言う笑い声が聞こえる。

    「こんな目立つ所に跡付けやがって!!!」

    「ええやんか。儂のモンって証やん」

    「そういう問題じゃねぇ」

    「ほなら、目立たんとこやったら文句あらへん?」

    「それ、は……」

    嘘が下手な桐生は誤魔化そうとして口をモゴモゴさせる。素直に認めてしまっているのと同じことだ。
    頭から血が流れているのも、頬が殴られて腫れているのも気にせず桐生の腰に腕を回すとポンポンと軽く叩く。

    「桐生ちゃんにはスマン事したな。儂が酒奢ったるわ」

    「ちょっと待てゾンビの姿のまま行く気か?」

    「当たり前やろ。このメイク落とすのにごっつ時間掛かるんやで?」

    「……その時間を他のことに使えよ」

    呆れつつも真島に翻弄される事に喜びを感じている自分も居る。もはや絆されているのか、はたまた恋人だからなのか。
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