生き方の指標 正義って何だろうか。私の下した鉄槌の先は、硝煙の先は、同じ同胞だった。私が信じていたものは何だったのか。私は私の生き様が間違いだったのか。
「なら、また始めればいいだけだ」
なんのこともないように、この男は言う。私のほうは一瞥もくれず、黙々とナイフで果物を切り分ける手を止めずに続ける。
「マルコシアス、お前はまだ生きてる。ならやる事はなんだ?嘆くことだけが人生か?まぁ、それも生き方だ。俺は止める事はしないが、お前はそれで耐えられるのか」
俺にはそうは見えないが、と付け足して男は言う。相変わらず手元は動かしているらしく、シャリシャリと静かに皮を剥く音が聞こえた。
「私は……また間違えるかもしれないのに、」
「じゃあ考えることだ。間違わない為に、誰かに都合よく使われない為にもな。ほれ、剥けたぞ。食べるか」
差し出された林檎は、丁寧に切り分けられ灯りを受けて光っていたように見えた。アンドレアルフスは何でもない顔をしていだけれど、その何でもない、特別でもない、その行為と言葉にこそ、私は、