Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    みつみ|なつき

    @mitsumine_333

    一次創作の表に出せない話とか

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💪 🐞 🗽 🐣
    POIPOI 19

    みつみ|なつき

    ☆quiet follow

    疲れた青年×狐耳の男の子

    #創作BL
    creationOfBl
    #創作BL小説
    creativeBlNovels
    ##狐と雨と天気雨

    狐の嫁と天気雨 狐を保護した。
     怪我をして苦しそうだったオスの狐は、野生ではなく近所の神社で飼われていた個体だ。頬にハートの模様がある。どうやら、何者かに襲われたようだ。その者は、狐を無理矢理飼おうとしたのかもしれない。首輪は外され、無惨な姿になっていた。
    「大丈夫か、ちび。もう少し頑張れよ」
     そう声をかけると、耳が僅かに動く。うるうるとした瞳でこちらを見る狐は何かを訴えているかのようで、思わず頭を撫でた。

    ***

     動物病院で手当てをしてもらい、再び神社へと向かう。事態を知った神主が慌ててこちらに来て、狐の様子を伺ってきたため、重症ではないことを伝える。彼は安堵の表情を浮かべ、何度も礼を言ってくる。
     それに対し「大丈夫ですよ。また会わせて下さいね」と答え、また狐を撫でる。気持ちよさそうに目を細めるもふもふに心癒されながら、俺は神社を後にする。
     それが、二週間前のことだった。
    「おんがえし、させて下さい!」
    「…………はい?」
     天気雨が降る中、インターホンが鳴ったかと思うと、突然そう言われた。ピンと立った耳、頬にハートの模様。しかし顔は人間のそれで、これは夢なのではないかと頬を抓る。しかし、目の前のケモ耳青年が尻尾を振るものだから、俺はいよいよ諦めた。
    「おれ、あけび、言います! 二週間まえ、けが、助けてもらった。なゆたさん、おんがえし、する!」
    「ええ…………」
    「およめさん、なる!」
     たぶん、というか、絶対。彼はあのときの狐なのだろう。けれど、こんな現実があってたまるか。どうして俺の名前を知っているのかとか、どうして人間の姿なのかとか、どうして恩返しが嫁になることなのかとか、聞きたいことはたくさんある。それでも俺は、尋ねずにはいられなかった。
    「なあ、耳、本物?」
    「ほんもの! なゆたさん、さわる?」
    「ん、触る」
     もふもふ、もふもふ。現実逃避にあけびの耳を触りながら、俺は天気雨の別名を思い出す。
     狐の嫁入り。確か、そんな名前だったような気がする。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏❤🍜❤🐾🐾🍼🍼🍵🍵🍵👏👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    みつみ|なつき

    CAN’T MAKEラディムの眼帯とあれこれ
    ミカルが動きすぎたので無理矢理終わらせました
    柔らかくて、痛い ラディムが護衛になってから、退屈することが少なくなった。剣術の稽古のときも、王政について学ぶときも、その長身を部屋の隅にぴったりとくっつけ、葉巻を燻らす。メイドのように世話はしてくれないが、ただそこにいて輪を乱さず、食事の際も毒味をする。
     一度、銀の食器が役に立たなかったことがあった。致死量に満たないほんの僅かだが、遅行性の毒が入っていたのだ。犯人は今年入ってきたメイドだった。曰く、他の国の領主から俺を消すように言われたのだとか。その話を聞いたあと、父は地下にそのメイドを呼びつけていた。彼女は小さかったが、これからの将来がなくなったのはかわいそうだと思う。
    「オレは毒に慣れてるからな」そう返すラディムが、自然な手つきで俺の頭を撫でた。もう数え切れないほど触られたため、無礼だとかそういう感情はない。家族らは黙ってされるがままになっている俺が珍しいのか、はたまた護衛が王子に触れることが考えられないのか。俺が思うに、どちらともだ。家族よりもラディムと過ごす日の方が多いせいか失念しがちだったが、傍目には非常識に映ったのかもしれない。
    3219

    related works

    recommended works