初デート「……」
ウォロとシマボシは、互いになんとも言えない表情で向かい合っていた。
黒のビジネススーツに、淡い水色のYシャツ。鮮やかな青地に細い黄色の斜めストライプが入ったネクタイと、黒いプレーントゥのシューズのウォロ。
紺色のリクルートスーツに、清楚な白いYシャツ。飾り気のない黒のプレーンパンプスのシマボシ。
これを見て『初デート』という正解を導き出せる者は皆無であろう。
どこからどう見ても『営業部に入った新人を、先輩が外回りに連れて行く』というシチュエーションであった。
ミーンミンミンミー…ン……
ジーワジワジワジワ……
夏の盛。
すでに気温は三十度を越え、二人の額には大粒の汗が浮かび始めている。
「…とりあえず、涼しい所で何か飲みませんか?」
1990