終煙怪奇譚:「山笑」――自分は森や木々の中を歩くのが好きで、ふとした時に山を登り歩く事が多かったのです。
まぁ、本格的に登る人達のように、そう高い山を登る事は無いのですが。所謂ハイキングに近いのでしょうか。
基本的には低すぎず、それでいて高すぎない山へ向かい、森の中の空気を楽しむんです。
その日も知人と共に生きたい場所へ目星をつけ、森の中を進んでは景色を楽しんでいました。
ただ登りも半分を過ぎ、森深い中を知人から少し離れては進み、疲労を産み始めた身体を感じてはそろそろ沢が見えてくる筈なので、そこで休息を取ろうかと考えていたんです。
ふと辺りを見回しました。
淡い色の何かが木々に絡まっているのが見えたんです。
「何だろうか、自分の知らない植物でも絡んでいるのか」「ああ、絡まっているという事は蔦か何かなのだろうか?」と思いながらも後で知人とそれについて話したり、帰りがけにでもまた確認しながら行けばいいかと一先ず目的の場所まで向かう事にしました。
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