Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    69asuna18

    ジョチェ🛹

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 33

    69asuna18

    ☆quiet follow

    春コミの無配です。
    参加出来ていなかった、ワンドロのお題『お姫様』をおかりしました。

    君に夢中蛇の尻尾のような長い髪。どうやって手入れをしているのかと聞くと、はて、なんの事やらと言いたげな顔で踪玄は首を傾げるものだから。
    鈴蘭は大きな溜息をついて、初めての給料ですこし良いドライヤーを買ってあげた。
    元々それなりに綺麗な髪をしているのだから手入れをすればもっと綺麗になるはずだし、何より今の髪型が好きな鈴蘭からしてみれば、それを維持してほしいと言うのが本当の所だ。
    「鈴蘭殿のお給料なのですから、御自分の為に使ってください」
    一度はそう断られたものの。
    「僕が泊まりに来たとき用。んで、踪玄ちゃんも使っていいから……ね」
    お願い。と視線に込めれば、彼は潔く引いた。
    …のは良いが。泊まりに来て、一緒に風呂に入って。その度に、鈴蘭を足の間に座らせて。自分より先に鈴蘭の髪にドライヤーをかけて乾かすのだ。
    「踪玄ちゃんの方が長いんだからさ、先にかけなよ〜」
    「長いので、先にすると鈴蘭殿が風邪を引いてしまいます」
    額を撫で、頭を撫で、タオルを当てて櫛で梳かして。自分でするよと手を出すと、ドライヤーを持つ手を高く上げて。持たせないように意地悪をする。
    「小生にさせてください」
    このやり取りももう何回目か分からない。しっかりと乾くまで。丁寧に扱われて。
    「うん、いいでしょう」
    と、顳顬に口付けまで降ってくる。まるで手取り足取り世話をされるお姫様みたいだ。
    ……まぁ、それも悪くはないけど。髪を乾かしてくれて居るのはメイドさんじゃなくて王子様なんだよなぁ。なんて。

    ガラにもない事を思ったせいで、頬がじわりと熱くなる。
    「おや、すこし当てすぎましたか?」
    そう心配して顔を覗き込む踪玄の手から、ドライヤーを奪い取って。
    「交代っ!」
    と今度は鈴蘭が踪玄にドライヤーを当てる。その彼の肩は愉快そうに小さく震えていて。
    熱が引くまでこっちを見ないでと思いながら。ドライヤーの風の音で、彼の声が聞こえないのはやっぱり寂しいから。早く終わらせようと長い髪に指を通した。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    69asuna18

    MENU新刊『甘い香りに包まれて』

    前回のイベントでのコピー本『花の香りのする方へ』とその続きをまとめたものになります。
    (加筆修正有り)
    コピー本で出したものの、途中までをサンプルとしてアップします😊
    甘い香りに包まれて生を受けた世には、バース性と呼ばれる新たな性別が誕生していた。男女の性別とは別の第二の性。男と女とは別にα、β、Ωと三つの性別が存在し、全ての人間は六種類に分けられる。αはエリートが多く、βは一番多い所謂普通。そしてΩには発情期なるものが存在し、その体質が故に世間から冷遇されている。その為、性別による差別が目立ち、第二性がΩである人は悩みが尽きない。
    生まれ変わる前と違う事象が起きている事に、興味があった踪玄はバース性の研究に勤しんだ。しかし、調べれば調べるほど、その新たに備わった性別が、人間そのものに嫌悪を抱かせる。
    薬を飲み、体調を管理すれば、Ωであっても社会的に問題なく過ごせるはずなのに、理解が進んでない事もあり、定職につくのも難しく給料も少ない事の方が多い。働ける時に働きたいと思う人も多く、病院に定期的に通う人も少なくない。…出来るのは理解のある人間に囲まれていて、給料が安定している者だけ。そのせいで、発情期に倒れたり、身体に合わない安い薬を飲んで体調を崩す者も少なくない。
    13532

    recommended works