愛情込めて俺は普段からコーヒー派だったんだが、ゲゲ郎達と生活する様になってから日本茶派になってしまった。
何でかゲゲ郎が入れるお茶は美味い。
高い茶葉を使ってるか聞いても「御母堂の買い置きじゃ」と言う。
入れ方に拘ってるか聞くが「普通に入れてる」と言う。
取引先で出される良いお茶よりも美味く感じる訳だから、絶対何かあるはずなんだが。
分からぬまま今日もズズズとお茶を啜る。
テレビを付け新聞を開き。
特集なのか愛だの恋だのと言うテーマが次々出てくる。
『好きな人を思って愛を込めればどんな料理だって一流シェフ超え』
どーなんだろうか、このキャッチフレーズ。
いくら愛情込めたところで一流シェフには劣るだろうに。
口に湯呑みを付けながらゲゲ郎を伺うと、洗濯物を畳んでいたアイツは何故か洗濯物とキスしてた。
何?
それ鬼太郎のオムツ用サラシだろ?
いくら洗濯仕立ててでも辞めとけ?
お前さんチワワ以上にぷるぷるしとるが?
またテレビに視線を送る。
『愛情を込めればどんな料理でも』
あいじょうねぇ……
「……お前愛情込めて俺に毎日お茶入れてる?」
本格的に倒れふしたゲゲ郎に茶を啜りながら聞けば肩は震えて丸くなる。
なるほど、道理で美味いわけだ。
全く共感もてなかったあのキャッチフレーズがやっと腑に落ちた。
『愛情』があったんだなぁー
こいつは常に『愛情』を俺に注いでたわけだ。
ならばその『愛情』を『愛情』で返さないとだな。
「悪いがもう1回洗濯してくれ」