チェーン店で朝食を 街ですれ違う人の中にあの人を探した。けれど助房の耳には見知らぬ声ばかりが届く。
十二月の街はクリスマスに彩られていた。助房は賑やかさと慌ただしさを感じるこの時期が嫌いではなかったが、今は自分がそこに馴染んでいないように思えた。幸せそうな笑い声が耳をかすめるたび、胸の奥が音を立てて痛む。
ポケットが震えた。スマートフォンを取り出してみれば、メッセージアプリの通知が、今朝別れを告げた恋人からのメッセージを知らせていた。落ち着いて話し合おうという短い文面を見つめる。そこに焦りを見せない恋人の慣れた雰囲気に、今は悲しさばかりが募った。
助房は既読につけずにスマートフォンをポケットに戻した。恋人に申し訳ないと思いながら、溜め息が白くなって消えていくのを見ていた。
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