Halloween show カチャ、と扉の開く音がするのと同時に傍らに居たイウコトキカナイペンギンことアオがぴくりと顔を上げたから、佐竹は部屋に入って来たのが誰なのかを振り返る事なく理解した。
「お疲れ、勇。レストラン部門から新作の味見をしてくれって幾つか料理が届いているから、お前も味見して貰えるか?」
「はい。……でも、良くこちらを見ないで俺だって分かりましたね」
硬い長靴が床を叩く音を響かせながらゆっくりとやってきた勇が不思議そうに呟くのに、佐竹は苦笑交じりの笑みを浮かべて視線だけで傍らのペンギンをなぞった。
嬉しそうにぱたぱたとフリッパーを忙しなく動かすアオの視線は勇の肩の上のコツメカワウソの隊長を真っすぐに見上げている。
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