君との恋路の歩き方①告白編告白してきた黒羽に、え、でも男同士だし…なんて工藤は言ってしまった。まぁな一、と黒羽もはじめは笑うけどポーカーフェイスが徐々に崩れて「…でも好きになっちゃったんだよなぁ…」と、顔をくしゃくしゃにして無理矢理笑顔作ろうとする。それを見て工藤は雷を落とされた感覚を覚える。突然の出来事に工藤の頭は混乱している。
大学で再会した黒羽とも怪盗してた頃の彼とも違う、恋とか愛とかでいっぱいいっぱいになってる(しかもそれは自分に矢印が向いている)黒羽を見て、関係あるのかないのかわからない知識を急に話し出す恋愛ポンコツ太郎だけど、黒羽は話をそらされたことに気付いて、工藤の頭ぐしゃぐしゃ撫でて「…ごめんな、」のひとことを置いて、踵を返した。
立ち去ろうとした黒羽の手を掴んで、でもなんて言ったら良いかわからなくてもだもだする工藤に「大丈夫だよ、忘れて。明日からまた元に戻るし」と黒羽がへたくそに笑って言うから、工藤は思わず「オメーは傷ついたままだろ…?」と返す。黒羽は期待して良いのか諦めた方がいいのかわからなくなった。
告白されて振るなんて日常茶飯事な工藤が、なんで黒羽のことを引き止めてしまうのか自分でもわからない。
友達だから?秘密を共有する好敵手という特別な関係だったから?そもそも、でも男同士だし、って。男じゃなかったら付き合えた?性別のハードルさえとっぱらったら付き合えるって失礼じゃないか?そんなの乗り越えて告白してくれた黒羽は、これまでどれだけ悩んで苦しんだ?でもそれを考慮して返事するのは同情だし。
手を離せない。黒羽も振り解けない。期待したり、諦めようとしたりを何度も繰り返して、もう一度好きだと伝えたら意識は変化するだろうかと一縷の望みを抱いて顔を上げたら、突然工藤にキスされた。
驚愕する黒羽、驚愕する工藤。
「っっいや、なんでした側のオメーが驚いてんだよ!!」「だって!!」「だってじゃねえ!オメー探偵だろ、探偵ならオメーの今の行動を!詳らかにしやがれ!」黒羽は意味のわからないふっかけをするし(混乱中なので)、工藤は工藤で真っ赤な顔でクエスチョンマークを頭に乱舞させた。
「と、特別におもってるから…元に戻るって言いながらもう絶対腹のうちを見せてくれなくなるだろうことが耐えられない、から…?」「ハァ?!なんで疑問形!」「わかんねーんだよ!!!でも、オメーが傷ついてるのも嫌だし!オレが原因なのも嫌だし!元に戻るって言いながら戻れない場所にいるのもわかってるし!!...こんなに縋りついちまうなら好きってことじゃねえの?!オレも!!」「?!?!?!…だから、なんで、疑問形なんだよ!!!」
掴まれてた手を逆に引っ張って、頭を掴んでキスをする。はじめは体が硬直した工藤だけど少しずつ力が抜けて黒羽にからだを預けていく。
「もーいいよ、ゆっくりでいいから…好きって、自覚してってくれ…」抱きしめながら黒羽は言って。「お、おう…?」と、工藤は延々はっきりしないクエスチョンマークをつけ続ける。
新しい恋のはじまり。