紙飛行機明日が来てしまう前に紙飛行機を死んだような夜の空に向けて投げた。風の音と共に闇の中に吸い込まれていく。
医学部に進学した兄さんのテストの点数はいつも三桁だった。俺はいつもあと少しで三桁に届きそうな点数で頭を打っている。周囲からするとそれでもすごい事らしい。親も兄さんと比べずに褒めてくれる。その優しさが時折後ろめたく感じる。
全ては順調だ。先生も国立、私立問わず医学部は堅いと言っていた。俺はこのまま医学部に進学する。全て上手くいくんだ。数点の差なんて医学部に行ってしまえば関係ない。それでいいんだ。きっと、大丈夫だ。
途中式は完璧だったけれど最後の最後で間違えて減点された数学の答案用紙を見つめていた。完璧じゃないと意味が無いんだ。人の身体を開く人間に失敗は許されない。
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