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    natsume_genko

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    natsume_genko

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    ③暫定Aルート

    ②暫定Aルート

    ★:KP情報
    ◎:読み上げ描写
    △:描写とは別に渡すべきPL情報(探索場所、必要な技能の提示など)

    ---

    >015.聖の拠点

    ★翠と同じく、聖もクライン特製電車を拠点としている。
     彼も以前はクラインに在籍していたので、翠と同じものを与えられているのだ。
     一時は没収の話も出たものの、聖の「イス人に敵対しない。必要があればいつでも遊軍として動く」旨を聞き入れ、留め置きとなっている。なおこれは聖とクライン上層部のやり取りであり、翠は何も聞かされていない(そこまでの権利を与えられていないので)。



    ◎聖の手を取った瞬間、場の空気が一変した。
     状況の把握が追い付けば、より愕然とするかもしれない。
     空気、どころではなかった。
     場所そのものが、変わったのだ。
     翠のそれと同じような装飾、内装、部屋のつくり。
     かたん、かたん、と足元から伝わってくるわずかな揺れに確信を得るだろう。
     いったい如何なる手段による移動かは判然としないが──ここはもう、電車の中だ。



    ◎「なにか食べたいものはある?」

     聖は手を離すと、穏やかに話しかけてきた。

     「立ち話にするには、きっと長いやり取りになる。どうせなら、きみたちの好きなものを食べに行って、そこで話すのがいいと思うんだ。大事な話は、落ち着いた場所のほうがいいだろう?」
     ★サイゼリヤでも高級フレンチでも、探索者が望む場所に連れていってくれる。
     いますぐ話したい、と探索者が伝えるなら聖は「それもそうか」と応じる。



    ◎「そこまでは少し時間がかかる。私もやることがあるし、電車の中で好きに寛いでいてくれ。きみたちも、私を完全に信用したわけではないだろうしね?」
     ★聖の「やること」とはルルイエの盤の復元、および操作である。
     
     △探索場所:実験室 / 聖の部屋 / 休憩室





    >016-a.実験室

    ★聖がつづきの治療(実験)のために作った。
     ほとんど翠の実験室と同じだが、あちらと違い他の首輪付きは飼育していない。
     彼女の調整兼私室としての側面が大きい部屋である。



    ◎翠の電車と同じものがそっくりそのまま置かれていた。
     あちらと違う点は、カプセルの数と、その中にいる人数ぐらいか。
     こちらのカプセルは一つ。中に入っているのも、若い女性が一人きりだ。
     客の到来を感知したのか、そのまぶたがゆっくりと開いた。



    013-aを経由◎「……あれ、皆さん。こんにちは。また会いましたね」



    013-bを経由◎「……? どなたですか?」



    ◎ちなみに彼女は全裸である。
     ★つづきは幼少期からの入院生活により、医者や看護師に世話をされなければ生きていけない期間が長かったため、他者に裸を見られることにあまり抵抗がない。むしろ「みすぼらしくて申し訳ない……」ぐらいの感覚である。



    ◎「こんな格好ですみません。調整中はノイズが入らないようにしないといけなくて」


     Q.ノイズ?
     「あたし、首輪付きなんです。あ、首輪付きって分かります?」
     「分かるんですね、よかった。それで異常がないか、週に一回は検査しないといけなくて。病院でレントゲンを取るときに、ちゃんと映るように服を着替えるようなものです」
     
     Q.首輪付きならハンドラーはいるの?
     「はい。お父さんがあたしのハンドラーです。……あたしは要らないって言ったんですけど、聖さんが安全のためになってもらった方がいいって言うから、仕方なく……」
     「……もしかしなくても、そこのお兄さんも首輪付きですよね? だってその目隠しのひと、うん。間違いない。あっちの首輪付きはみんなそれを付けてるって聖さんが言ってました」
     
     Q.お父さんのこと好きじゃないの?
     「……まあ、あんまり……。あっ、もちろん感謝はしてますよ! 聖さんに会えたのだって、お父さんがバベッジ・インコーポレイテッドの社員だったおかげですし! ……でも、お母さんのことがあるので……」
     
     Q.お母さんのこと聞いてもいい?
     「……お母さん、あたしが子どもの頃に死んじゃったんです。詳しくは知りません。でも、お父さんは『俺のせいだ』の一点張りで……だから……そうなんだろうなって……」
     
     Q.病院にいたことがあるの?
     「ふふーん。あたしほど病院に詳しい奴はそういませんよ! 十六歳まで病院から一歩も出たことがなかった女とはあたしのことです! ……だからお母さんのお葬式にも行けなかったんですけど……」
     
     Q.聖とはどういう関係?
     「聖さんはあたしの恩人で、先生です! 聖さんはお医者さんとしてお父さんの会社に来たらしいんですけど、あたしには家庭教師みたいなこともしてくれて! だからダブルミーニングで先生、ってことですね!」
     
     Q.聖って医者なの?
     「うーん。正確には、あたしを元気にしてくれたこともそうですけど、そういうこともできるって感じっぽいですね。他にもいろいろできるみたいですけど、よく分かんないです」
     
     Q.いろいろ教えてくれるけど、そんなに教えてくれていいの?
     「あたしが知ってることなんて大したことじゃないんで!」
     
     Q.聖の目的とか知ってる?
     「聖さんは世界を救いたいんです。本当ですよ。あたし、噓とか見抜けるタイプなんで分かります」
     「あたしたちはそのお手伝いをしてる……お父さんはいつも渋々ですけどね」
     
     Q.聖のことどう思う?
     「大恩人で、大先生です! あ、もしかして聖さんのこと疑ってます? だったら大丈夫ですよ! 聖さんのことは、どーんと信じちゃってください!」
     
     Q.聖はなんで世界を救いたいの?
     「助けられるなら助けるのがひとの常なんじゃないですか?」
     「……とか言ってみちゃったりして。うーん、はぐらかす言い方しかできなくてごめんなさい。あたしもそこまで踏み込んだことは聞いたことないんです。聖さん、そういう話になるといつも悲しそうな顔をするから」
     ★聖は「世界を救いたい」のではなくて「HO3のせいで世界を滅ぼされることを防ぎたい」が正しいので。「HO3のために世界を救いたい」のである。HO3第一主義者。その話をするとHO3のせいで世界が危機に陥っているのがバレてしまうので、一親子相手でもあの手この手ではぐらかしている。
     
     Q.聖がHO3のことをどう思ってるか知ってる?
     「そんなの大好きに決まってます! 聖さんってば、HO3さんの話をするときがいちばん幸せそうなんですから! たぶん、HO3さんのためならなんでもできちゃうんじゃないかな」
     「……いいなあ。聖さんにそんなに思われるなんて、羨ましい」

     Q.部屋の中見ていい?
     「もちろん! 見ての通り、隠すものなんてありませんから!」
     ★全裸であることをかけた自虐ネタである。
     
     Q.資料を見せたらどうなる?
     「? これがどうかしましたか?」
     「あたしが人間じゃないなんて、当たり前のことじゃないですか」
     ★つづきは人生のほとんどを占める長い入院生活により、心の一部が壊れてしまっている。「あたしがこんなに辛いのは、あたしだけがこんなに苦しんでいるのは、あたしが人間じゃないからだ」「みんなは人間だから。あたしとは違うから。あんな風に笑えるのだろう」聖に会って恋を知るまで、彼女はずっと世を儚んで生きてきた。その後遺症みたいな認識がある。
     
     
     
     △探索場所:資料
     
     
     
     >>資料
     
    ★つづきは、真守やアルトとはまた違う首輪付きである。
     というのも彼女に使われたのはティンダロスではなくハスターリク。
     同じ構造だけど根底の部品が違う、みたいな。



    ◎表紙には「一 つづき」とある。研究資料というより、彼女に関わるものを適当にまとめたもの、という感じだ。
     
     「一 つづきの病状は名状しがたい。虚数由来の症状であることは間違いないが、詳しく調べるには、いまはあまりにも時間と道具が足らない。研究方針を転換する」

     「英雄醸成システムの流用、再現に成功。これにより、被験者である一 つづきの治療を続けることが可能となった」
     
     「ハスターリクは順調に彼女の細胞に置き換わっている。彼女はすっかり自分の手と口で食事を摂ることができるようになった。遠からず歩けるようにもなるだろう」
     
     「……順調過ぎる。虚数研究者の一端として、この凪は看過できない。安全策としてハンドラーを採用することにした。これで万が一の場合にも対処できる」
     
     「契約後、ハンドラー一 はじめより抗議があった。『娘を化け物にすると知っていれば、おまえなんかを頼ることはなかった』という。遺伝子情報が少し組み変わって、ホモ・サピエンスの枠から多少はみ出ただけなのに、実の娘を化け物呼ばわりとはなんて男だろう」





    >016-b.聖の部屋

    ◎一人暮らしのワンルームマンションを彷彿させる、決して広くない部屋だ。
     さっきそこから脱皮しました、みたいな状態でシーツが固まっているベッドの傍に、無数の本と紙が散らばっている。床は慎重に歩かなければ何を踏み抜くか分からない状態だ。ゴミ箱はとっくに中身があふれ返っており、前衛芸術みたいな有様になっている。
     
     △探索場所:日記 / ゴミ箱 / ベッド
     
     
     
     >日記
     
     ◎床に落ちている本の中に、HO3の部屋で見つけた日記と同じカバーを発見した。
     
     △日記を読む宣言
     だいたい十年前から始まっているようだ。
     
     ×月×日
     明日はHO3の誕生日だ。
     ぼくからは、ぼくとお揃いの日記をあげようと思う。
     翠はHO3がずっと欲しがっていた望遠鏡にするらしい。
     あの子がどっちも喜んでくれるといいな。
     
     ×月×日
     HO3はとても喜んでくれた!
     ……若干、ほんの若干、ぼくより、翠が望遠鏡をあげたときのほうが喜んでいた気がする。
     翠め、得意げな顔しやがって。次はぼくのほうがHO3を喜ばせてあげるんだから!
     
     ×月×日
     どうしてこうなったんだろう。
     HO3はただ天文台で星を見ていただけだ。
     それなのに、どうして、あんなものにみいられなければいけなかったの。
     ★「魅入られる」と「見射られる」をかけてますという作者メモ。
     
     ×月×日
     翠と話し合い、HO3には何も教えないことにした。
     きっとそれがいい。HO3は何も悪くないんだから、そのほうがいい。
     あの子は何も知らないまま、ぼくらがすべて終わらせよう。
     
     ×月×日
     翠が新しい星を見つけたらしい。
     天文台でネメシスについて調べていたはずだけど、思わぬ収穫だったようだ。
     こんなときに要らないのに、とぶつくさ言っていたのでHO3の名前を付けることを提案した。
     翠も少し考えたあとに同意してくれた。
     ぜんぶ終わったら、サプライズでHO3にあげよう。HO3の名前がついた、HO3だけの星だ。
     
     ×月×日
     英雄醸成システムが完成した。さすがぼくらだ!
     これでネメシスが引き起こす虚数事件に対抗するんだ。
     世界を救うんだ。HO3が、自分のせいにしてしまうまえに。
     
     ×月×日
     首輪付きの性能は設計通りだった。
     設計通り過ぎた。だめだ。想定以上にならないと。
     虚数存在はぼくらの想像を超えてくるのに。
     想定通りじゃダメなんだ。
     何が起こっても解決できる出力と計画を用意しないと、HO3を助けられない。
     
     ×月×日
     翠と別れた。翠はあくまでも首輪付きにこだわるようだ。
     それならそれでいい。こちらは別の計画で動くだけだ。
     ぼくらのどちらが正しいかなんてどうでもいい。
     HO3が助かるなら、なんでもいい。
     
     ×月×日
     ハスターと契約した際に、大勢を巻き込んでしまった。
     ごめんなさい。でもあなた達を無駄にはしない。
     私は記憶力がいいから彼らを忘れはしないだろうけど、万が一そうなったときに備えて、ここに記しておくことにした。
     
     (たくさんの名前が連ねられている。数はおおよそ千を下らないだろう)
     
     △≪目星≫
     HO1の名前を発見できる。



     ◎ ×月×日
     翠がミゼーアと契約したらしい。
     あちらも大勢を巻き込んでしまったらしい。
     いくら双子だからって、罪の数まで似なくていいのに。
     
     ×月×日
     偉大なる種族に電車を取り上げられかけたが、交渉の末に現状維持にしてもらえた。
     私の目的が彼らの害になることではないと分かってもらえたようだ。
     血を分けた片割れよりよほど話が通じる。
     
     ×月×日
     偉大なる種族とバベッジ・インコーポレイテッドの間で何らかの取引が交わされたらしい。
     私がハスターと契約していることもあり、あちらに在籍することになったようだ。
     そういうことは、本人同席のうえで取り決めてほしいけど。
     とはいえ、もう変更はきかない。
     新しいスポンサーが増えたとでも思おう。どうせ私のやることは変わらない。
     
     ×月×日
     珍しい病状を見つけた。
     彼女を研究すればなにかの役に立つかもしれない。
     HO3を助けるために、なんでもいい。手がかりが欲しい。
     
     ×月×日
     彼女は活用しきれないという結論が出たわけだが、いまさら投げ出すわけにもいかない。
     仕方なく、過去の英雄醸成システムを流用した。
     
     ×月×日
     ハンドラーにさせた父親から殴られた。
     避けることもできたが、そうすると後が面倒だろうと殴られておいた。
     なのに彼はますます激昂した。謎。
     
     ×月×日
     天文台の追放者を保護することと引き換えに退散の呪文を受け取る。
     ……は、いいものの。なんだこれ!
     読めるし理解もできるのに、どうしたって発音できない!
     これじゃ呪文として機能しないじゃないか!
     
     ×月×日
     落ち着いて解読してみると、あの退散の呪文はどうやら歌の符牒になっているようだ。
     しかも特別なつくりをしている虚数存在にしか発音できないらしい。要するに私のような人間には無理。魔術的アプローチとかも無意味。ゴミ。
     
     ×月×日
     翠が子飼いの首輪付きを増やしたらしい。
     それはいい。そのハンドラーが問題だ。
     どうしてHO1が生きている? 死んだはずだ。私が殺してしまったはずだ。
     
     ×月×日
     HO1について調べてみると、星辰に符号しない存在が浮き上がってきた。
     私の起こした大火災からHO1を助けたというHO2だ。
     あれは明らかにおかしい。HO2は本来ならあそこにいるはずのない存在だ。



     >ゴミ箱
     
     ◎触れるのも躊躇われる有様の、ゴミと化したゴミ箱だ。……これを調べるの? ホントに?
     
      △≪目星≫
      見たことのない文字が綴られた古紙を発見する。
      HO3だけがこれは楽譜だと理解できるし、望むのであれば口ずさむこともできる。



     >ベッド
     
     ◎小さな洞窟を形成しているシーツが特徴的。おそらく持ち主はここに潜り、這い出て、を日々繰り返しているものと思われる。たぶん、一度もまともに直したことはないだろう。
     
      △≪目星≫
      枕の下から一枚の写真を発見した。
      星空を背景に、三人の子どもが、こちらを向いて笑っている。
      幼さが色濃いけれど面影で人物を特定できた。聖と、翠と、HO3だ。
      裏面には「HO3の誕生日にまた撮ろう!」と子どもらしい字で書かれていた。





    >016-c.休憩室

    ★はじめがたばこ休憩をしている。
     彼はつづきの一件で聖が嫌いなので、探索者にも聖を警戒するよう促してくる。
     探索者がはじめの傍に近寄ろうとするなら、未成年者に受動喫煙させないように、慌てて吸っていたたばこを消すだろう。



    ◎自動販売機と、灰皿だけを閉じ込めた部屋だ。
     一帯は透明な壁で区切られており、たばこの煙が外に出ないようになっているらしい。
     その檻の中でたばこをくわえていた男性は、目を丸くしてこちらを見ている。



    013-aを経由◎「……よぉ。おじさん、また会うとは思わなかったぜ」



    013-bを経由◎「……新入りか?」



    ◎「おい、話があるならちょっと待て。たばこを消すから、そのあとにしろ」



    ◎「……で、何の用だ。ここにいるってことは、あの野郎に言いくるめられたんだろうによ」

     Q.あの野郎?
     「聖だよ。うちの娘にしたように、おまえさんらにもいいように言ったんだろう。クソ野郎だよ、あいつは。何を言われたか知らねえけど、おいそれと鵜吞みにはするんじゃねえぞ。絶対にな」
     
     Q.聖とはどういう関係?
     「あいつが上司、おじさんが部下だ。それ以上も以下もねえよ」
     
     Q.聖のこと嫌い?
     「世界でいちばん嫌いだね」
     
     Q.じゃあなんで聖に従ってるの?
     「娘のためだ。それだけだ」
     
     Q.娘って?
     「つづきだよ。なんだ、もう会ったんじゃねえのか?」
     「おまえさんらとは年のころが近そうだし、あいつも喜んで話すだろうに」
     
     Q.聖のこと信じないほうがいいの?
     「信じるな。絶対にだ。あいつはひとの娘を勝手に化け物にするようなクソ野郎だぞ」
     
     Q.聖の目的は知ってる?
     「世界を救うなんざほざいてるが、ありゃ噓っぱちだ。あいつは世界なんて、なんとも思ってねえ。……あいつはずっとどっかの誰か一人のことだけ見てやがる。そういう目をしてる奴を、おじさん毎朝鏡で見るもんでな。間違いねえよ」
     
     Q.その誰かって?
     「さあ。そこまでは知らねえよ。恋人とかじゃねえの」
     
     Q.つづきと仲いい?
     「……だったらよかったなあ」
     
     Q.つづきのお母さんってどうして死んだの?
     「……悪いな。それを聞いてくるってことは、おまえさんらにも相応の事情があるんだろうが……おじさん、その話だけは死んでも話さねえよ」
     
     Q.つづきが聖のこと好きっぽいけど、どう思う?
     「男の趣味が悪すぎると思う。いったい誰に似たんだ……」
     ★母親譲りという設定です。





    >017.聖と食事

    ★一通り探索したあと、アナウンスで呼び出される。
     聖と食事を摂りながら、改めて彼と組むかを問われる。



    ◎「お待たせしたね、諸君。話し合いの場に着いたよ」

     アナウンスに促されて電車を降りれば、もはや驚くことはない。
     指定の場所に到着している。
     聖は先に席に着いており、こちらにも座るよう促してくる。



    ◎「いろいろ聞きたいことがあるんじゃないかな。どうぞ。私に答えられる範囲で応じよう」

     Q.聖の目的は?
     「繰り返すが、世界平和だよ。これについては疑う余地はないと思うが?」
     
     Q.その方法は?
     「ネメシスによって引き起こされるクトゥルフの目覚めの阻止、ひいてはその打倒だね。私はそのためにハスターと契約している」
     
     Q.HO1が巻き込まれた大火災って聖のせいなの?
     「……ひとの日記を勝手に見たのか。いい趣味をしているね。……とはいえ、それを許したのも私か……」
     「嘘をついても仕方ない。端的に答えると、そうだ。あの大火災は、私とハスターの契約に伴うものだった」
     「申し訳ないと思っている。世界を救ったあとでよければ、この命をもって償うことさえ厭わないよ」
     「ところで、この大火災については、私からも質問があってね。HO2、きみにだ。きみはいったい何だ?」
     「星辰の符牒──俗にアカシックレコードとも呼ばれるそれを解くに、きみは『あそこにいない』存在だった。HO1を助けたのはきみだったようだが、そんなことはできるはずがないんだよ」
     「八年前、きみは決められた運命を捻じ曲げている。いったいどんな方法を使ったんだ?」
     ★いまのHO2には答えられない質問。HO2が答えられずにいると「……教えられないなら、いいよ」と聖は残念そうに引き下がる。
     
     Q.アカシックレコードって?
     「元始からのすべての事象、想念、感情が記録されているという世界記憶の概念だよ。……難しいかな。いままでも、これからも、世界のすべてがそこに記されている、と思ってもらえればいい。これを書き換えることができれば、世界そのものを一変させられるだろう。それができるものを、ひとは神と呼んでいる」
     
     Q.つづきをどうして首輪付きにしたの?
     「彼女を救うには何もかも足りなかった。そのとき取れる最良の手段がそれだっただけだよ」
     「……ああ、私の手伝いをしてくれているのは彼女の自由意思によるものだ。私がそれを強制したことはない」
     ★なお誘導した覚えはある
     
     Q.クトゥルフの打倒って可能なの?
     「勝算がなければ、こんな大言壮語は吐けないよ」
     
     ぱちん、聖が指を鳴らした。
     その直後には、全員が囲む卓上にルルイエの盤が並んでいた。
     50kgほどの金塊が、三つ。
     そのうちの一つの形には見覚えがある。大谷口キャンサーから奪取したものだ。
     
     「元々、ルルイエの盤のうち二つは私が回収してあったんだ。これでルルイエの座標──クトゥルフの居場所が判明した」
     ★大谷口キャンサーは二つの欠片を餌に聖に招き寄せられていた。
     
     「改めてお願いしよう。私と協力して、世界を救ってくれ」
     
     Q.どうやってクトゥルフを倒すの?
     「いまかの神は眠っている。目覚めるまえに奇襲するんだ。短時間で打倒できれば、世界に害は及ばない。ネメシスもクトゥルフの排除を悟れば、こちらに近づく意義を失うだろう」
     
     Q.ネメシスって近づいてきてるの?
     「うん。こうしているいまも、刻一刻とね。少なくとも十年前から、ネメシスはこの世界に滅びを引き起こさんと接近してきている。その道中にも、歌によってあらゆる災厄を起こしながら……」
     
     Q.ネメシスの接近って、十年前のHO3の天体観測と関係ある?
     「……いずれバレるとは分かっていたけど、ああ、嫌なものだね」
     「うん、関係がある。これについて、私と翠の見解は完全に一致している」
     「HO3。きみは覚えていないだろうけど、十年前のあの日、きみは星を見つけた。これは星辰の符牒にも記されている確定事項だった」
     「ただ、それが──ネメシスだったんだ」
     「きみはネメシスと目が合った。そのとき、かの星から澪標として定められた。ネメシスの子機と化したんだ。平たくいえば、ネメシスはきみを目印にして、いまもこの世界へ近づいてきている、ということだ」
     「……この件で、きみはたしかに発端ではあるが、きみに非はない。絶対にないんだ。あっちゃならないんだ、そんなこと。きみは……ただ、星が好きだっただけなんだから……」
     
     Q.HO3の能力について知ってることはある?
     「ある程度は。……澪標としての、ネメシスとのリンクによるものだろう」
     「HO3。きみは死ぬことができない。澪標が消えてしまっては困るから、ネメシスがそれを防ぐ措置として、きみに不死を与えている。回復能力は、きっとそこに由来しているだろう」
     「歌は……きみは人間には出せない音を出せるし、それによってさまざまな効果を引き出せるだろう。たぶん、ネメシスが奏でているものと、同じものだ」
     
     Q.ネメシス退散の呪文をHO3に使ったらどうなる?
     「……一定の効果はあるかもしれない。だがそうなったとき、HO3がどうなるか分からない。もしHO3に何かあったら……そのときは、私と翠が世界を滅ぼすレベルの自暴自棄を起こすだろうね」
     
     
     
     △聖に協力する / 聖に反対する
      ★聖に協力する →Aルート
      聖に反対する →Bルート




    017-x.Bルートへ

    ★Bルートへのワンクッション。
     このあと、Bルート032へ移行する。



    ◎反対意思を表明しようとした、そのときだ。
     聖の背後にある壁が壊された。
     崩れる瓦礫の雨の向こう側から知っている声が聞こえてくる。
     
     「やっと見つけた。きみたち、吞気にお食事なんて余裕だね」
     
     アルトだ。その傍らにはホタルの姿もある。
     
     「レッド。ボスが呼んでいる。撤退する」
     
     聖へ襲い掛かるアルトの脇を抜け、ホタルの誘導に従ってその場を後にする。
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