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    natsume_genko

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    natsume_genko

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    二話初稿 あと二話ある

    連ドラっぽくなればいいな【2話 1日目】

    ■HO1 イベント継続

     「だからHO2が殺したんだろ」
     
     「あいつは仲間殺しだよ」
     
     休憩スペースにいる者たちはまだ屯している。
     捕まえて話を聞くことができる。
     自販機の近くで向き合っていた二人は、あなたが現れると少しギョッとしながらも話に応じる。
     
     「な、なんだよおまえ……って、虚災対の班長やらされてる警察庁の奴か。明日は我が身かもしれないしな。気になることがあるなら聞けよ」
     
     
     >HO2が誰を殺した?
     「主唐 直那(ぬしから すぐな)。HO2が捜査一課にいたとき、アイツとコンビ組んでた後輩だよ」
     
     >どうしてHO2が主唐を殺す?
     「状況的にアイツしか考えられないし、なにより他に容疑者がいないってのがデカい」
     「主唐が殺されたのは状況的に明らかだ。だってよ、両足と左腕、それに背骨がなくなってたんだ。たしかに主唐は見つかったときに手斧を持ってた。だが百歩譲って両足と左腕をトチ狂って自分で切り落としたにしても、背骨を引き抜くのは自分じゃ無理だろ」
     「死因は失血死だった。主唐の遺体には縛られたあともなかったから、拘束されてた線もない。主唐は生きたまま切られたんだ。普通は抵抗する。そうだろ? でも乱暴を受けた跡もなかった」
     「考えられるのは、主唐がおとなしく切られた、しかない。そこでHO2だ。アイツは主唐の現場に駆け付けた第一発見者で、なにより主唐がアイツの命令なら何でもよく聞いたんだよ」
     「現場で見つかった主唐の携帯電話には、最後の通話履歴がHO2だって記録されてた。アイツはそれで呼び出されたって主張してるけど、どうだかな。それぐらいの偽装工作、刑事なら簡単に思いつく」
     「奇妙だった点も、まあ、なくはないが……」
     
     >奇妙だった点って何?
     「主唐が死ぬまえに暴行未遂事件を起こしてるんだよ。『おれは警察官の主唐直那だ』って被害者がばっちり聞くおまけ付きでな。HO2が主唐を騙ってるのかとも思ったが、そんなことをする意味もないだろうし、被害者も犯人の特徴は主唐に一致すると断言してる。これは未だによく分からん」
     
     >HO2に動機はあるのか?
     「まったく見当がつかねえ……ともいえん。俺たちだって好き好んで仲間を疑いたいわけじゃねえ」
     「主唐の事件が起こる少し前から、奇妙な失踪事件が相次いでてな。HO2と主唐はその捜査に当たってた。その事件が主唐が死んだあと、HO2によってとりあえず、いきなり解決した」
     「妙な話だろ? まるで手柄を独占したかったみたいじゃねえか」
     
     >“とりあえず”解決したって何? 【奇妙な死体たち】
     「……行方不明者は見つかったんだけどな。一人を除いて、全員死んでたんだよ。その死に様がまた妙で……いや、さすがにこっちはアンタには関係ないか」
     
     >【奇妙な死体たち】後に≪交渉技能≫
     「……そいつら全員、主唐みたいに背骨が抜かれてたんだよ。さすがに四肢は残ってたけどな。だが奇妙には違いねえ。そうだろ?」
     
     >背骨が抜かれる理由は分かっているのか?
     「それが分かってたら、もうHO2を捕まえてるよ。背骨を抜いた動機と、それをどういう方法でやったかが謎なんだ。アイツが人骨背脂ラーメンでも作ってりゃ話が早いんだがね」
     
     
     「『仲間殺し』ってのはそういうことだ。アンタもせいぜい気を付けな」
     
     捜査一課の刑事たちは肩を竦めて去っていく。
     遠ざかる足音は、あなたの心に反響するように長く、冷たいものだった。





    ■翌朝 虚災対

     今日もあなたたちは地下21.5階に出勤する。
     先日のような事態に備えて武器の手入れをするなり、まだ出しかねている報告書と向き合うなり、それぞれの朝を迎えているだろう。
     今現在、あなたたちを必要とする事件は発生していない。
     雑談する余裕ぐらいはあるだろう。



    ---
    【KP情報】
    HO1が「HO2に話を振りたい!」というときに活用するのを想定されているシーン。
    スムーズな情報共有のため、HO3、HO4もいるこの場で行われる方が今後の進行で望ましいだろう。
    ---





    ■イツカの登場

     そのとき、コンコン、とノック音がした。
     虚災対のドアが開き、来訪者をあなたたちの眼前へと招き入れる。
     
     「失礼します。警察庁刑事局長の使いで参りました。警察庁の二月イツカと申します」
     
     イツカはあなたたちを見回した。
     
     
     >HO2限定≪目星≫
     自分を見るイツカの目は、相変わらず妙に鋭く感じる。
     
     >HO2以外限定≪目星≫
     HO2の顔を見るとき、ほんの一瞬だけイツカの目が細まったように感じた。
     
     
     「最近確認されている連続失踪事件の資料をお持ちしました。こちらを虚災対で解決するように、と刑事局長から直々のご指名です」
     
     
     >HO2のこと嫌いなんですか?
     「何故そのような質問をされるのですか? 口を開くときは公私の区別をつけるようにしてください」
     
     >行方不明事件って、HO2が解決したものですか?
     「いえ。先日甲塔区の港で解決した事件とは別物です。ですが無関係かどうか断じるのは、ご自分たちで捜査なさってからにしてください」
     
     >警察庁刑事局長って誰ですか?
     「あなた方はご存知かと思っていました。雪星ぼたん刑事局長です。この虚数犯災対策部創設における立て役者ですよ」
     
     
     イツカは抱えていた資料の束を手近な机に置いたあと、あなたたちへ向き直る。
     
     「事件の概要を説明します。連続失踪事件と称されてこそいますが、個々の事件に本当に関係があるかどうかはまだ不明です。それも含めて捜査してください」
     
     「複数いる行方不明者の共通点は一つだけ。家出少年、ホームレス、海外からの技能実習生など……いずれも『いなくなっても騒がれにくいひとたち』ということだけです」
     
     「あなた方も同じ虚数として感じるものもあるでしょう。見落としのないよう、お願い致します」
     
     
     >≪知識≫
     虚数をこういったもんとして認識できている。二乗するとマイナスになる数。大小関係がなく、普通の数直線上には表せないもの。実数の範囲だけだと「解なし」になる答えに、別の解を生み出すもの。そこにあるが、そこにないもの。
     
     >同じ虚数ってどういうこと?
     「文字通りの意味ですが。警察官にわざわざ解説が必要な言葉とは思いません」
     
     
     「今回の捜査では基本的に、HO1とHO4、HO2とHO3のペアに分かれて行動してください」
     
     
     >どうして指定のペアに分かれる必要があるんですか?
     「効率のためです。それ以上でも以下でもありません」
     
     
     「用件は以上です。それでは失礼」
     
     イツカは颯爽と踵を返し、虚災対から去っていった。
     
     
     >HO2限定≪アイデア≫
     イツカからの去り際の一瞥が、あなたに「はやくHO3を殺せ」と急かしているように感じられた。





    ■探索開始

     >探索箇所提示
     捜査資料室 / 主唐の自宅 / 暴行未遂被害者の家 / 生存者の家 / 甲塔区の港 / トー横 / コンビニ



    ---
    【KP情報】
    2話の探索行動中、PLの任意のタイミングで秘匿行動とすることができることを伝える。
    これはHO2がHO3を殺害するイベントを挟みやすくするためである。
    情報は適宜共有できていたことにして構わない。
    とくに「生存者の家」で入手できるヴールの印(基本ルールブックp252)がないと、ドーの落とし子への対抗策が消える可能性がある。
    ---





    ■捜査資料室

     警視庁の捜査資料室。
     今昔さまざまな事件資料が集められている。
     
     
     >≪図書館≫もしくはPLからの直接的質問 【被害者:主唐直那】
     被害者は主唐直那。第一発見者はHO2。どちらも捜査一課の刑事である。
     被害者は手斧で左腕と両足を切断され、背骨を頭蓋骨の後ろから引き抜かれていた。
     拘束、抵抗の痕跡はない。
     不可解な点として、被害者が殺害される寸前に暴行未遂事件を起こしていることが挙げられる。
     
     >≪図書館≫もしくはPLからの直接的質問 【主唐の暴行未遂事件】
     被害者は多田増 加里須(たたまし かりす)。
     某日深夜、バイトからの帰り道で背後から主唐による体当たりを受け、転倒。軽傷を負う。
     主唐は被害者の目前で「おれは警察官のヌシカラスグナだ」と叫ぶなど奇行を見せたのちに逃亡している。
     
     >≪図書館≫もしくはPLからの直接的質問 【前の連続失踪事件】
     HO2により、被害者全員を甲塔区の港にあるコンテナ内で発見。
     ただし最後に失踪した一名以外、全員が背骨を抜かれて死亡していた。





    ■主唐の自宅

     安普請の賃貸アパート。
     主唐の部屋だった一帯にのみ、未だ立ち入り禁止のテープが貼られている。
     中は寝室を兼ねた居間、浴室、トイレぐらいしかない間取りだ。
     居間にもトイレにも目ぼしいものはない。
     はたして踏み込んだ浴室では、未だ色こい死の香りを五感すべてで感じられるだろう。
     
     浴槽内部にべっとりとついた血で、ここに死体があったのだと分かる。
     また、その近くにテープで作られた囲いがある。サイズや輪郭から手斧だと推測できた。
     
     
     >≪追跡≫
     浴室内は被害者のものと思われる血液や肉片、油で汚れている。
     その一連を確認したあと、刑事としての確信を抱くだろう。
     ここに立ち入ったのは、おそらく主唐と、第一発見者ぐらいだ、と。
     
     >≪アイデア≫
     部屋の中で、浴室以外に血の汚れはほとんど見当たらなかった。
     主唐を殺した人物は、これほどの惨劇を広げておきながら、どうやって返り血から自分を守ったのか、疑問に思ったあと、とある仮説を思いつく。
     ──たとえば自殺や事故なら、返り血を防ぐ必要が、そもそもなかったのではないか?



    ---
    【KP情報】
    もし周囲の住人に話を聞くのであれば、「主唐が部屋で騒いでいたこと」「不審者らしい不審者は見ていないこと」を伝えてもよい。
    ---





    ■暴行未遂被害者の家(多田増家)

     主唐による暴行未遂事件の被害者、多田増 加里須(たたまし かりす)は女子高生である。
     彼女は刑事の来訪に緊張しているようではあったが、渋ることなく話に応じてくれる。
     
     「えと……あの日はバイトの帰りで……夜十時半ぐらいだったかな。帰り道を歩いてたら、いきなり後ろからドンッってぶつかられたんです」
     
     「わたし、何が起こったのかすぐには分からなくて、顔から転んじゃって。わけわかんないまま振り返ったら、男のひとが頭を抱えて立ってたんです。あ、比喩表現じゃなくて、物理的に、こう頭を抱えてたんですよ」
     
     「そのひとがいきなり『おれは警察官のヌシカラスグナだ』って怒鳴ってきたんです。私、本当にわけわかんなくなっちゃって、怖くて動けなくて。でもそのひと、それだけでどっか行っちゃったんです」
     
     「同じような怖い思いをしなくていいようにって警察に相談したんですけど、まさか暴行未遂事件、でしたっけ? それなんかになっちゃうと思わなくて……あの、あの男のひと、本当に警察官だったんですか?」
     
     
     >≪心理学≫
     加里須が怖い思いをしたこと、そして一つも噓をついていないことが分かる。
     彼女は真実だけを話してくれている。





    ■生存者の家(今州家)

     甲塔区の港で保護された唯一の生存者、今州 子猫(います きてぃ)は炊き出しのボランティアなどの慈善活動に積極的に参加している主婦である。
     警察に何度も同じ話をしているのだろう。あなたたちの来訪に、ややうんざりした態度で応じる。
     
     「事件のことは、もう何回もお話しましたけど……」
     
     「気付いたらあのコンテナにいて、いつの間にか気を失っていたんです。本当ですってば。じゃなかったら二日も飲まず食わずの状態になりますか?」
     
     
     >≪心理学≫
     今州は嘘を言っていないが、あまりにも何度も同じ話をさせられたからだろう、意図的に一部の過程を省いて話していると感じる。
     
     >≪交渉技能≫
     今州はあなたたちの言を信じ、続きを話してくれる。
     
     
     「他に変わったことなんて……どうせ刑事さんたちには信じてもらえないでしょうけど、まあ、なくもないですよ」
     
     「私、あのコンテナ……知らないところにいるって気付いたとき、すごく怖い感じがしたんですよ。だから主婦の友達から習ったおまじないを、こう、使ったんです。これを使うと、見えないものが見えるようになるんですよ」
     
     そう言って、今州は指を組んでみせた。
     あなたたちは彼女の言動からスピリチュアルな印象を受けるだろう。
     
     
     >≪オカルト≫
     今州の見せた指の組み方が、いわゆる「狐の窓」と呼ばれるものだと知っている。
     狐の形にした両手を窓のように組んでから、「化生のものか、魔性のものか、正体をあらわせ」と三回唱えてから覗き込むと妖怪の正体を見破ることができる、といわれている。
     
     >それって「狐の窓」ですか?
     「狐の窓……? なんですか、それ? これはヴールの窓ですよ。変な呪文なんかいりません」
     
     
     「このおまじないを使ったら、私、へ、変なもの、み、見ちゃって」
     
     「単細胞生物みたいな、うにょうにょーってした……うう、なんて言えばいいんでしょう。そういう大きな化け物が突然見えて、私、怖くて必死に抵抗して……それで、気付いたら警察に保護されていました」
     
     「……なんて、信じないですよね。いままでのひとはみんな信じてくれませんでした。でも私、噓なんてついてないんです。どうせ噓をつくんだったら、もっと信じてもらえそうな話にしますよ」
     
     
     あなたたちは今州からヴールの印を教授してもらった。
     何に使えるかはともかく、事件資料の一つとして覚えておくべきだろう。


     >情報提示 【ヴールの印】
     コスト:1MPと1SAN
     効果:見えないものが見えるようになる。また、他の呪文を使用するとき成功率を5%上昇させる。



    ---
    【KP情報】
    今州は下の名前がコンプレックスのため、積極的に名乗りたがらない。
    今州からヴールの窓、もといヴールの印を教えておかないと、探索者はドーの落とし子を視認できない。必ず教えて共有させておくこと。
    ---





    ■甲塔区の港

     連続失踪事件が解決されたものの、少なからぬ謎が残されている場所。
     HO2が被害者たちを発見、保護されたコンテナを調べられる。
     遺体が見つかったらしい場所場所にテープが貼られていること以外、コンテナ内部に目に見えて変わったところはない。
     
     
     >≪聞き耳≫
     なんとなく、空気が油っぽい気がする。
     しかし周囲に油の気配を生み出すものはない。
     
     >≪アイデア≫
     ここで何かがあったのは確実なのだ。何としても手がかりを見つけたい。
     とはいえ、空を掴むような話だ。目に見えないものをどうやって見ろというのか……。
     
     >“ヴールの印”を使う
     あなたたちの視界が一変する。
     テープ以外に何もなかったコンテナの床に、大小さまざな巻きひげのようなものが無数に落ちていることに気付いてしまう。正気度ロールが発生する。
     
     >床の巻きひげに気付いたあと≪SANC≫ 0/1
     
     >巻きひげに対し、≪生物学≫/≪博物学≫ 【抜け毛】
     これが何らかの生物の身体から抜け落ちたものだと分かる。いわゆる抜け毛だ。
     しかし、あなたの知識にこれほどの抜け毛を所有している生き物はそういない。毛の長さから察するに、全長は人間よりよほど大きい可能性だって否定しきれないのだ。それも、これほど床を埋め尽くすほどの数となれば、背筋に冷たいものが走るだろう。
     
     >【抜け毛】提示後に≪アイデア≫
     抜け毛のおおよそは毛が生え変わるサイクルによるものだ。
     だとすれば、この生き物もそのサイクルの只中にあるのだろう。
     これほどの大きさのものが、ここに棲みつき、根を張っていたということに他ならない。
     そして、その生き物はまだ見つかっていないのだ。おそらく、誰にも。
     もし見つかっていても、事件に関係があると思われているかどうか怪しいだろう。



    ---
    【KP情報】
    本シナリオにおいて、ドーの落とし子には抜け毛の生態がある。あることにしている。
    脱皮を繰り返して大きくなる蛇のように、ドーの落とし子には抜け毛を繰り返して大きくなってもらう。つまり、いまもこの怪物は成長しているのである。
    ---





    ■トー横

     トー横とは、冠木町(かぶきちょう)にある高層ビル横一帯を指す言葉である。
     近くの路地裏にたむろする若者は「トー横キッズ」との俗称を受けており、今回の事件の被害者と目されている家出少女も、そのうちの一人だ。彼女が消息を絶ったことを警察に相談したのは、同じく家出少女らしい友人である。あなたたちはこの友人に話を聞きに訪れている。
     
     「ヤバ。ホントに刑事じゃん。ウケる。ね、ケーサツテチョー見せてよ。持ってんでしょ?」
     
     「そうそう、なんだっけ。あの子のこと聞きに来たんだよね。刑事さんたちが探してくれんの? なら教えてあげる」
     
     「トー横から誰かがいなくなるなんて日常茶飯事だし、あーしも気にしないけどさ。でもなんつーかな、あの子はちょっと様子が変だったっていうか……」
     
     「いなくなるちょっと前にさ、あーしを誘ってきたんよ。もう使われてない工場があるから一緒に行こう、おもしろいものがある、って。工場におもしろいもんなんてねーよ、って無視したんだけど」
     
     「ん……やー。それを気に病んで絶望、とかじゃないと思うんだけどさ。気にはなるじゃん? あーしら、一応よくつるんでたわけだし。だから刑事さんたちに見つけてほしいなって」
     
     あなたたちは彼女から、いなくなった少女が言っていたという工場の場所を教えてもらった。
     気になるのであれば、これでいつでも向かうことができる。


     >≪心理学≫
     彼女が本気で友人を案じていることが感じられる。








    ■コンビニ

     あなたたちは行方不明者の一人、海外からの技能実習生の、その友人に話を聞きに来た。
     コンビニは、行方不明者と、その友人共通のバイト先である。
     
     「アンタらがアイツを探してくれる刑事アルね。よろしく頼むアル。ボク、アイツに二万貸してるアル。今月の携帯代のために絶対回収したいアルよ」
     
     「アイツ、絶対夜逃げしたアル。いなくなる前に『いい場所が見つかった』とか言ってたアルからね。どっかの工場? とか言ってた気がするアル。どこだったかまでは知らないアル」
     
     「じゃ、ボクは仕事あるアルから。アンタら頼むアルよ」
     
     
     >≪心理学≫
     行方不明者本人より、自分の金銭面を心配しているようだ。





    ■ドーの落とし子による襲撃

     あなたたちは捜査を終え、ひとまず虚災対へ戻って情報をまとめることにした。
     そのときだ。
     HO1の視界が揺れる。
     正確には、頭の中身が揺らされているのだが、それを視界が揺れていると認識する。
     揺れる、揺れる、揺れる。
     天が、地が、世界が、宇宙すべてが揺らされて。
     自分という存在さえも揺らされる。
     自分は本当に自分なのか?
     頭の奥で何かがどろりと溶けるような感覚を拾う。
     自分はいったい何者なのか?
     あなたは頭をかきむしりたくなる衝動に襲われる。
     自分は自分だと言い聞かせなければ、気が狂ってしまいそうだ。
     
     >HO1限定 ≪POW25とのPOW対抗ロール≫
     
     >対抗ロール成功
     あなたは自分の名前を叫んだ。そのとき、はっきりと意識を取り戻す。
     傍らのHO4が驚いた顔で自分を見ているのが分かる。
     どうやら、HO4はあのおかしな感覚に襲われなかったようだ。
     もう、存在ごとすべてを揺さぶられる感覚は消えていた。
     
     >対抗ロール失敗
     あなたは自分の名前を叫んだ。
     傍らのHO4が驚いた顔で自分を見ているのが分かる。
     どうやら、HO4はあのおかしな感覚に襲われていないようだ。
     しかし、あなたの異常は変わらない。すべてはまだ揺れ続けている。
     理性が揺らぐ。常識が崩れそうになる。
     目の前のHO4を傷つけたくてたまらない衝動に駆られる。



    ---
    【KP情報】
    全探索後に発生する、HO1がドーの落とし子に襲われるイベント。
    ---





    ■上記の襲撃イベントでPOW対抗ロールに失敗したときの戦闘

     HO1はHO4を傷つけたくてたまらない。
     HO4はそんなHO1の異常に気付き、解明する必要がある。

     >HO1以外≪アイデア≫
     HO1の様子は明らかにおかしい。
     何かが取り憑いて、いきなり人が変わってしまったかのようだ。

     >“ヴールの印”を使う
     あなたは、それを見つけた。
     HO1に絡みつく長い触手。
     蛇のように巻き付いたその先端はHO1の後頭部を目指しているようだった。
     ドーの落とし子の巻きひげを目撃した。正気度ロールが発生する。
     
     >ドーの落とし子の巻きひげ ≪SANC≫0/1d3


     【ドーの落とし子】
     HP 38 / DEX 14 / 回避 本体でないため、なし
     攻撃方法
     ①触手を植え込む 15% HO1に任意の攻撃行動を取らせる


     【戦闘終了条件】
     ①ドーの落とし子のHPを半分以下にする
     ②戦闘開始前に取り決める1d10Rが経過する



    ---
    【KP情報】
    この戦闘におけるドーの落とし子は、HPが半分以下になったら逃亡する。
    また、HO1に完全に触手を植えつけているわけでもないので、1d10R経つと自動的に接続が切れ、戦闘終了となる。
    このときまでに必ず“ヴールの印”を共有させておくこと。
    HO1のHPを0にしてもHO1がロストするだけで戦闘は終われないので、必ず“ヴールの印”で可視化させたドーの落とし子を狙わせよう。
    PLが望むのであればHO2やHO3を合流させたり、ドーの落とし子による攻撃指示ロールが成功しない限りHO1に攻撃させなくても構わない。
    ---





    ■一日目終了

     全員が合流した後、この日の虚災対は業務終了となる。
     夜は各自、自由行動が取れる。
     ただし本日の当直はHO2、HO4であるため、二人は警視庁から出ることはできない。
     各々好きな行動を取ったのち、一日目は解散となる。



    ---
    【KP情報】
    PLが「主唐はドーの落とし子に襲われ、他人に迷惑をかけるまえに自死した」「行方不明者は失踪前に廃工場へ向かっていたかもしれない」「ドーの落とし子は廃工場に潜んでいる」あたりまで推測できればOK。
    ---





    ■一日目 夜 HO4限定イベント

     当直中、あなたの携帯電話にメールが届く。
     六曜からだ。
     
     『お疲れ様。最近は忙しい? 時間ができたら、また食事でもどうかな。考えておいてね』



    ---
    【KP情報】
    この六曜は、六曜のふりを続けている九曜からだ。
    HO4には明日の当直が自分でないことを伝えてもいい。
    ---





    ■一日目 夜 HO3限定イベント

     あなたは帰り道の薄暗がりで声を掛けられる。

     「すみません。道をお尋ねしたいんですが、いいですか?」

     暗く、近くに照明がなかったせいで、相手の顔はよく見えなかった。
     けれど、その声に敵意や悪意の類はまるで感じなかった。
     
     
     >≪アイデア≫
     その声は、どこかあなたの兄である六曜に似ていた。
     
     >兄に似ていると伝える
     「ふふ、そうですか。そんなこともあるんですね」
     
     
     「駅に行きたいんです。この道を右か左か、どちらに行けばいいでしょうか」
     
     「……ああ、なるほど。ありがとうございます、おまわりさん」
     
     「それでは失礼します。お仕事、頑張ってくださいね」
     
     
     相手は頭を下げたあと、あなたに背を向けて去っていった。
     その背中は角を曲がってすぐ見えなくなる。
     あなたも改めて帰路につくだろう。
     
     
     >≪目星≫
     ほんの一瞬だけ見えた相手の横顔が、六曜のそれと瓜二つだった気がする。
     
     
     そのとき、あなたの携帯電話が着信を告げる。
     あなたの兄である六曜からだ。
     
     
     『いま仕事が終わった。どこにいる』
     
     『家で飯を作るのが手間だ。食べて帰るが、おまえはどうする』



    ---
    【KP情報】
    声をかけてきたのは九曜である。
    六曜と合流後に九曜の話をしても、「世の中には似ている奴が三人いるというだろう」など知らないふりで誤魔化される。
    ---




    【2話 2日目】

    ■二日目開始

     虚災対への出勤。
     あなたたちは武器など準備を整えたうえで、廃工場へ向かう。





    ■廃工場

     トー横の少女から聞いた住所へと、あなたたちは向かう。
     そこは打ち捨てられて久しいと思われる朽ちた工場だ。
     一目で廃墟と分かる。人気はまったく感じない。
     こんなところにいったい何の用事があるのか、と首を傾げざるを得ないだろう。
     
     
     >探索箇所提示
     玄関ホール / 操作室 / 生産室
     
     
     


    ■玄関ホール
     広々とした、しかし各所が綻び朽ち果て、寂寥感漂う玄関ホール。
     床のカーペットは根こそぎ剥げて、調度品だったらしい家具はあちこちでゴミと化している。
     奥には幾つかの部屋があるようだが、展示されていた場内マップによると、あなたたちの興味を惹いたのは操作室と生産室だった。
     
     
     >≪追跡≫
     埃の積もり具合から、かすかに複数の足跡が読み取れた。
     どうやら、少なからぬひとが近日中に訪れているのは間違いない。
     足跡はすべて、生産室へと向かっている。
     
     
     


    ■操作室
     コンピューターをはじめ、多くの電子機器が詰め込まれた部屋。
     棚には新旧さまざまな、多くのマニュアルや資料が見受けられた。
     壁の一辺がガラス張りになっており、向こう側が覗けるつくりになっている。マップによれば、あのガラスを挟んだ向こう側が生産室になっているはずだ。
     
     
     >≪目星≫/≪追跡≫ 【誰かの痕跡】
     何者かが頻繫に出入りしていた痕跡を見つけた。
     ここで生活していたのではなく、何らかの用事があってここへ通っていたような印象を受ける。
     
     >【誰かの痕跡】提示後に≪人類学≫
     出入りしていた何者かは20~30代の男性が一人だけのようだ。
     彼は何か重量のあるものを持ち運んでいたのか、読み取れる足跡はわずかに固い。
     足跡は棚付近に集まっているのが分かる。
     
     
     >探索箇所提示
     コンピューター / 棚の資料 / ガラスの向こう側
     
     
     
     ■コンピューター
     思いきり殴りつけられでもしたのか、画面が壊れている。
     だが、まだ本体はぎりぎり生きているようだ。
     起動すると、いきなりテキストファイルが表示された。
     
     
     >情報提示 【ドーの落とし子】
     ドーの落とし子の召喚に成功。
     ×××での培養、××に成功。
     ×××××への干渉に成功。攻撃性強化に成功。
     一体が逃走。××で確認。放置。
     
     
     ぷつん、と急に画面が暗くなる。どうやら限界を迎えたようだ。
     しかし、もし修理できたら続きを確認できるかもしれない。
     
     
     >≪コンピューター≫/≪電気修理≫/≪機械修理≫
     通常、ドーの落とし子は肉眼では視認できない。
     ドーの落とし子は触手によって知覚生物を支配できる。
     触手を植え付けられた知覚生物は精神的な抵抗を完遂しない限り、ドーの落とし子に逆らえない。
     ドーの落とし子は支配した知覚生物との接触を断ち切るとき、植え付けていた巻きひげを回収するついでに、奴隷の背骨を引き抜いていく習性があるようだ。脊髄に興味関心があるのだろうか。
     
     
     ---
     【KP情報】
     九曜の残した実験記録。
     「ドーの落とし子の召喚に成功。
     電脳上での培養、繫殖に成功。
     遺伝子情報への干渉に成功。攻撃性強化に成功。
     一体が逃走。現実で確認。放置」というのが原文である。
     ---
     
     
     
     ■棚の資料
     棚には多くの紙類が詰め込まれているが、規則性は一切見当たらない。
     どうやらこの棚の利用者は、あまり几帳面な性格ではなかったようだ。
     
     
     >≪目星≫ 【6-2】
     棚の側面に「それに乗っている者は、弓を手に持っており、また冠を与えられて、勝利の上になお勝利を得ようとして出かけた。」と刻まれている。
     
     >【6-2】提示後に≪歴史≫
     ヨハネの黙示録の一節だと分かる。第六章第二節の“そして見ていると、見よ、白い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、弓を手に持っており、また冠を与えられて、勝利の上になお勝利を得ようとして出かけた。”から引用しているのだろう。
     
     >≪図書館≫ 【偉大なる種族】
     “イス”と背表紙に書かれたファイルを見つけた。
     「この偉大なる種族は時間というものを完全に征服している。
     彼らは自分の精神を、時空を超えたずっと先の時代へ、あるいは過去へと送ることができる。
     彼らのほとんどが社会主義的で、知性というものに何よりも高い価値を置いている。
     また、歴史に強い関心を持っていることが多い。
     彼らの時空転移は精神のみを目的対象と入れ替えることによって行われているが、クライン生命保険相互会社に属するものたちは異なる手段を得たようだ」
     
     >【偉大なる種族】提示後に≪アイデア≫ 【クライン生命保険相互会社】
     あなたはクライン生命保険相互会社に聞き覚えがある。
     アメリカのニューヨークに本部があるとされている保険会社だったはずだ。
     設立されたのは1920年代頃だったろうか。
     
     >【クライン生命保険相互会社】提示後に≪オカルト≫
     公にされていないが、クライン生命保険相互会社は2000年代初頭に紅機関に買収され、以降は下部組織として活動していると噂されている。
     
     >≪英語≫ 【紅機関/2】
     英語の資料を見つけ、解読した。
     「紅機関は2000年代初頭にクライン生命保険相互会社を買収。
     協定により、やってくるイス人に、その時代で動くには申し分ない肉の体を用意してやっている。
     また禁忌に触れようとしたり、任務を失敗したイス人やエージェントの処分も紅機関の仕事である。
     いかなる手段かは不明だが、イス人に任意の時間移動を封じる術があるようだ」
     
     >≪目星≫ 【グレート・オールド・ワン】
     本と本の間に挟まっていた手書きのメモを見つける。
     「この地に棲まう神格の総称。
     人間に崇拝されていることも多い。
     人間社会への干渉も多く、ほとんどの場合、人間に害悪をもたらしている」
     という文章を塗りつぶすようにNemesisと油性ペンで大きく上書きされている。
     
     >【グレート・オールド・ワン】提示後に≪天文学≫ 【ネメシス】
     ギリシャ神話にネメシスという女神がおり、その名を冠された仮説上の恒星があることをあなたは知っている。
     1984年に約2600万年周期で頻繫に発生する大量絶滅を説明するために仮定された。
     だが、NASAにより、ネメシスのような天体が存在する確証はないとも記録されている。
     
     >【ネメシス】提示後にHO2、HO3限定≪アイデア≫ 【15年前】
     15年前の2月5日に、実高市の国立天文台で開かれた天体観望会のキャッチコピーは「あのネメシスを発見しよう!」だったことを思い出した。たしか、自分たちは家族と共にそのイベントに参加していた。
     
     
     
     ■ガラスの向こう側
     この工場では珍しくひび割れていないガラス。
     ところどころ曇ってはいるが、まだまだ透明といって差し支えない。
     この操作室より何倍も広い向こう側の生産室に、何名もの人影を発見できる。
     あなたたちが探していた行方不明者たちだ。
     彼らは全員床に倒れており、ぴくりとも動かない。
     
     
     >≪目星≫
     倒れている彼らの輪郭に違和感がある。背骨がある生き物の形をしていないのだ。
     
     >“ヴールの印”を使って向こう側を見る。
     倒れている彼らの上部、天井近くに揺蕩っているそれを見る。
     見ようとしたわけではなくても、手中の窓を覗いた瞬間に目に入るだろう。
     なにせ、それは異様なほど大きかった。
     あなたたちが以前目撃した怪物よりも、さらに二、三倍はあるだろう。
     幾層にも折り重なって蠢く触手たちは、この工場の生産ラインよりはるかに多く、長い。
     あなたたちはその触手に見覚えがある。
     あるときは甲塔区のコンテナに、あるときはHO1に巻き付いていたものと、同じものだ。
     あの怪物こそ、一連の事件を引き起こした原因であると確信する。
     同時に、いまから自分たちが対処しなければならない脅威に戦慄するだろう。正気度ロールが発生する。
     
     >HO1以外≪SANC≫ 1d3/1d20
     
     >HO1のみ≪SANC≫ 1/1d10
     
     >≪SANC≫後、HO1に情報提示
     あなたには、それもヒトである。
     何故かくも怪物がヒトとして映るのか、分からない。
     あるいは、仲間と同じように戦慄できない自分こそが怪物なのか。
     だとしても、あなたは自らの死を身近に感じていることに安堵する。
     命は死と共に終わる。
     終わるからこそ、ヒト足りえる時がある。
     いま、あなたの隣には死がある。
     だから、あなたはどうしようもなく、ちっぽけな人間でしかなかった。
     そんな脆い人間だからこそ、あんな怪物(ヒト)は、自分と同じものではないと強く思うだろう。





    ■生産室

     あなたたちが踏み入った、そのとき。
     倒れていた者たちが、起き上がり始める。
     血と肉を撒き散らしながら、糸の切れた人形のように歪な動きで立ち上がった。
     彼らは一斉にあなたたちを見やる。
     その目に、もはや命の輝きはない。
     死を迎えてなお、彼らの尊厳は凌辱され続けているのだと、あなたたちは悟った。
     正気度ロールが発生する。
     
     >≪SANC≫ 0/1d6





    ■ドーの落とし子と、その奴隷たちとの戦闘

     ドーの落とし子と、その奴隷たちとの戦闘になる。
     戦闘開始時、奴隷の数は1d3+1で決定する。
     逃亡は可能だが、日を増すごとに奴隷の数が増えていく。
     
     ドーの落とし子に攻撃するためには“ヴールの印”で可視化させる必要がある。
     これは操作室で使っていても構わない。とにかく≪SANC≫が発生していればOK。
     
     
     【ドーの落とし子】
     HP 38 / POW 25 / DEX 15 / 回避 30
     攻撃方法
     ①触手を植え込む 15% 1d4で決めた対象に、仲間へ攻撃行動を取らせる。このとき、ドーの落とし子の攻撃対象となったものはPOW対抗ロールに成功することで、触手による支配を拒むことができる。
     
     
     【ドーの落とし子の奴隷たち】
     HP 10 / 回避 なし
     攻撃方法 1d2
     ①こぶし 50% ダメージ1d3
     ②キック 25% ダメージ1d6
     特徴
     ドーの落とし子が盤面にいる限り、HPが0になっても戦闘を継続する。
     
     
     >HO1限定提示
     あなたの視界はドーの落とし子をも、人体として捉えている。
     目や首といった人体の急所を狙えば、あの怪物にとっても十分な有効打になるだろう。
     あなたはそれらの急所を意図的に狙うことができる。
     あなたの攻撃がドーの落とし子に成功したとき、ダメージを二倍にしてもよい。
     
     
     >HO4限定提示
     目の前には二種類の怪物がいる。
     強大な怪物と、その奴隷となった動く死体たち。
     どちらにもあなたの目は有効打となるだろう。
     だが、あなたの目は一対しかない。
     どちらか一方だけならともかく、上下の怪物と同時に目を合わせるのは不可能だろう。
     加えて、上の怪物はどこに目があるかを理解する必要がある。
     その問題さえ解決できれば前回同様、≪目星≫に成功することで対象に狂気をもたらせる。



    ---
    【KP情報】
    ドーの落とし子の詳細はマレウス・モンストロルムp159に記載されている。
    HO4が≪目星≫を振るためには、HO1から目に当たる部位を教えてもらう必要がある。
    HO4による≪目星≫がクールパンガに成功したときの一時的狂気は10の緊張症で固定。
    戦闘において1d2ラウンドのスタンとする。このスタン状態では≪回避≫もできない。
    前回と違う点は、一度にHO4の≪目星≫の対象にできるのは、ドーの落とし子本体か、その奴隷たち(複数形)のどちらかだけであること。どちらも1Rで同時にスタンさせることはできない。なお≪目星≫のラウンドが別ならスタン期間が被ることは可能である。
    ---





    ■戦闘敗北

     あなたたちは怪物の支配から逃れることはできなかった。
     全身が底のない恐怖に包み込まれていくだろう。
     けれどすぐに何も感じなくなる。
     だってもう、あなたたちは自我なんて必要ないのだから。



    ---
    【KP情報】
    探索者ロストエンド。
    ---





    ■戦闘終了

     >HO1限定提示
     あなたは仲間たちと、またも強大な存在を討ち果たした。
     横たわる死体が、しかしあなたにはやはりヒトに見える。
     自分は正義を成した。この討伐により、多くの命を救ったのだ。
     ……そう、いくら己に言い聞かせても、あなたの良識は冷徹な裁定を下すだろう。
     故に、自分は殺人者なのだ、と。
     正気度ロールが発生する。
     
     >HO1限定≪SANC≫ 1/1d3+1
     
     >HO2限定提示
     あなたは主唐の仇を取った。
     その胸に去来する感情は、あなたにしか分からない。
     
     
     不可視の怪物も、不死の怪物たちも、もはや動かない。
     あなたたちは勝利の興奮と、生存の安堵を噛みしめるだろう。
     その余韻が去ったあと、またも報告書に書きづらい内容しかないことに、頭を抱えるかもしれない。





    ■事件のおわり

     怪物による連続失踪事件は終わりを迎えた。
     それとは関係のないところで、日本全国における年間行方不明者数は何万もあることを、あなたたちは刑事として知っている。
     
     たかが数人、見つかっただけ。
     されど数人、誰かにとっての大切なひとが見つかった。
     日常とはきっと、そのように守られていくもの。
     
     誇るべき救済を成したことを、あなたたちだけが知らないだろう。





    ■二日目終了

     夜の自由時間となる。
     当直はHO1とHO3のため、この二人は警視庁から出ることができない。





    ■二日目 夜 HO3限定イベント

     あなたは夢を見ている。
     これが夢だと自覚できている。
     だから、何もおかしくはない。
     
     あなたは子どもの姿で、天体観測会に参加している。
     あなたは誰かと誰かの間に挟まっていて、両手はそれぞれ彼らに繋がれていた。
     彼らはどちらも同じ顔をしている。
     兄──六曜の顔だ。
     これは夢だから、兄が二人いることだってあるだろう、とあなたは気にしない。
     気にしない、はずだった。
     ふと、引っかかりを覚える。
     いいえ。
     いいえ。
     夢でなくても、兄は二人いたはずだ。
     なのにどうして、いま自分の手は六曜としか繋がっていないのだろう。
     
     あなたは夢を見ている。
     これは夢だと自覚できている。
     だから、もう一人の兄の名を思い出せない。





    ■二日目 夜 HO4限定イベント

     帰路につこうとしたあなたの携帯電話にメールが届く。
     雪星からだ。
     
     『しばらく忙しくなり、家に戻れない。HO1にも伝えておいてくれ』
     
     それに返事をするより先に、まるで上書きのように新しいメールが届く。
     今度は六曜からだった。
     
     『今日は時間あるかな? ここで待ってる。よかったら来て』
     
     位置情報も付属している。六曜はどうやらジャンクフードのチェーン店にいるようだ。





    ■HO4と九曜

     HO4が店に向かえば、カウンター席で外を眺めていた六曜はすぐにあなたの到着に気付き、顔を明るくするだろう。彼はドリンクだけで時間を過ごしていたようで、フード類は一切見当たらなかった。
     
     「来てくれて嬉しいよ。すっぽかされたらどうしようかと思っていたんだ」
     
     「……急に呼び出してごめんね。きみと話がしたくてさ。いまを逃したら、もう話す時間はないだろうと思ったから」
     
     「ねえ、HO4。ぜんぶ噓だったら、きみはどうする?」
     
     「……もし、私が悪い人間だったら、きみは怒ってくれるかな?」



    ---
    【KP情報】
    HO4の答えを聞く前に、九曜のセリフで締めると連ドラっぽくなればいいな。
    繰り返すが、これは六曜のふりをしている九曜である。
    九曜はこの時点で、雪星の仲間たち紅機関のエージェントを排除することに成功している。
    雪星の仕事が忙しくなっているのはそのせいである。
    もうすぐ自分が世界を終わらせる日が来ることを知っている九曜は、HO4との友人関係を清算することと、HO4から拒絶と断罪をされることを求めている。
    ---





    ■二話終了

    HPとMPを全回復
    SAN回復 1d20
    任意の技能を一つ成長 +1d10
    クトゥルフ神話技能 +3
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