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    masasi9991

    @masasi9991

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    寝起きのデググラ

    ##デググラ

    寝袋の中


     ここはいったいどこだろうな? ふ、と考えてすぐにわかった。ここは家のベッドの上ではないぞ。家の中と山の上ではやはり空気が違うのだ。それにテントで迎える朝は目を閉じていてもとっても眩しい。布地の向こうから朝の太陽がはりきっておはよう! と言っている。
     お布団の中のぬくもりは、いつもとそんなに変わりはしないが。今日もぬくぬくだ。外に出たらちょっぴり寒そうだが。
     でも朝が来たからには起きなければ。
    「よし!」
     気合を入れて、ぐわっと目を開く。うっ、眩しい。朝陽の眩しさで目がシュパシュパする。山の上で迎える朝は、村で迎える朝より眩しいような気もする。太陽に近いからだろうか。
     両目をこすって目を開かせるつもりで手を動かしたら、動かない。おれの両手はお布団の中でなにか重たいものを抱えているらしい。重たいしあたたかいし、柔らかい。いつもとおんなじだ。しかしこう狭いと、ベッドの上と違って全く身動きが取れないぞ。お布団じゃなくて、寝袋の中だからな。
     こうして採掘の途中で野宿をして迎える朝は、悪くない。今朝は天気もいいらしいからなおさらだ。少し肌寒いのも、寝袋の中のぬくもりがかえってありがたく、いいものだ。
    「うーん……」
     グランツがおれの腕の中でみじろぎをした。寝袋の中でもある。
    「起きたか? おはよう! いい目覚めだな!」
     朝はもちろん挨拶が大切だ。大きな声でグランツに話しかけると、ちょっと大きすぎてテントを超えて山の中にまで響いてしまった。
     グランツがもぞもぞ動いているのを腕の中に感じると、元気いっぱい、力が湧いてきてしまったのだ。もうおれの両目はパッチリ開いている。
    「ンン、もう少し、二度寝を……」
     腕の中を覗き込めばグランツの青い髪がふさふさと、朝陽を浴びてキラキラしている。喋ってみじろぎするたびにフワフワ揺れる。しかし当の本人は眠たそうで、おれの胸に額を押し付けたまま顔を見せてくれない。
    「あまり眠れなかったか? ハッ!? もしかして寝袋が狭すぎて寝苦しかったか!?」
    「いや、ただ眠いだけだ……」
    「しかしこれ以上大きい寝袋は三人用になってしまうからな……」
    「ふふっ、キミのサイズに合わせたら、そうなってしまうだろうな」
    「でも三人用を買っておくのもいいかもしれん。ナイスアイディアだ! 三人用ならロックが一緒の時にも使えるぞ!」
    「ん、あははっ。その時には四人用が必要じゃないか?」
    「四人用があればロッタナも一緒に入れる! それもまたナイスアイディア!」
    「みんなで入るなら、五人用以上じゃないと」
    「そうだそうだ、五人用も必要だ。ええと? つまり必要なのは、三人用と四人用と五人用の寝袋……」
    「ぷっ、あはははは!」
    「ようし、目が覚めたな! 今日も元気にがんばりましょう!」
    「あっはっはっはっは。今の冗談はキミの作戦か?」
    「冗談?」
     冗談なんか、いつ言ったっけか? 首を傾げて少し考えてみたが、それよりおれの腕の中でおれを見上げるグランツのピカピカの青い目の方が気になった。思わずじっと見つめてしまう。
     腹を抱えて笑っていたグランツが、ふっと一瞬はにかんだような笑顔を見せる。
    「むふん」
     思わず続きで、鼻歌が。
    「ずいぶんご機嫌だな」
    「うん。おれは結構、野宿とかが好きだからな!」
     もちろん家のお布団も大好きだが。
     おれは鼻歌、グランツは大笑い。そういうわけでテントの中は賑やかで、しかも眩しい。
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