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    Rahen_0323

    @Rahen_0323

    kktbtとかppとか▲とかの小説を置くかもしれない場所です。まだお試し中

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    Rahen_0323

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    合意誘拐監禁モブツバその2。まだモブ→ツバで監禁意識は低め。
    kktbtが精神崩壊寸前で情緒不安定です。捏造妄想自己解釈、原作改変となんでも許せる方向け。体調不良表現もあります。
    モブツバなのでオリジナルのモブがメインキャラとして出ます。多分続く。

    氷獄の外へと 2不意に眠りから覚めて意識が浮上する。
    ただ目は開かず、相変わらず頭はふわふわしてて浮いているみたいで、ぼんやりして。
    なんだかあつい。身体がじっとり湿ってる気がする。寝苦しくて、空調が壊れてるのかと思った。
    ……ん?いや、空調?ちがう、おいらは学園から飛び出して。それで、えっと

    あれ?暑い?なんでこんなに暑いんだ?さっきまで……

    「カキツバタくん?大丈夫?」
    「…………ぁ」
    なんとか重たい瞼を開くと、あのドーム部員とポケモン達に覗き込まれていた。
    皆何故か心配そうに顔を歪めている。
    「ちょっとごめんね」
    「んぅ……」
    額に触れられて、そのひんやりした手に驚いて呻く。
    「やっぱり……熱が出てるみたいですね」
    ねつ。熱?発熱してるってこと?なんで?
    「どうしよう……お医者さんを呼ぶわけにもいかないし。とにかく、風邪薬と解熱剤持って来るね」
    なんでと言っても彼にも分かるわけがなかったが、子供を慰めるようにゆったり撫でられ思わず目を細める。回らない頭とボロボロな心は勝手に多幸感を認識していた。
    しかし手は直ぐに離れて、彼は部屋を出て行く。本当に、なんでおれなんかの為にあんなに必死になれるんだろう。助かるには助かるけど、なんの見返りも渡せないのに……
    「うぅー…………」
    熱の所為か、それとも最近の生活の所為か変わらず体調はあまり良くなかった。
    凄く痛くて苦しくてちょっと泣きたい。でも泣いてしまったら皆を困らせるだろうから、なんとか我慢した。強がっても自分の首を絞めるだけだって体験済みなのに、癖というのは中々抜けない。
    荒く呼吸をして耐え忍んでいれば、そのうちアイツが戻って来た。彼は薬のケースと水と小さな鍋をトレーに載せて運んでいる。おまけにその後ろにはドーブルが居て、小さな身体で氷枕とタオルを抱えていた。
    「カキツバタくん。とりあえずご飯とか必要そうな物持って来たけど……なにか食べられそう?」
    ……そういえば、少しお腹が空いたような気が、するような、しないような。
    ここ暫くは精神的な余裕が無かったから空腹感を覚えること自体減っていた。食欲だってずっと無くて。
    だから正直自信は無いけれど、少し感情を発散したのと学園を離れた為に僅かに元気は戻ったのかもしれない。とりあえず口にしてみる、と頷いた。
    彼はホッとしたようにサイドチェストへトレーを置き、鍋の蓋を開ける。まだ冷めていないのか湯気が立ち昇った。角度によって中身はよく見えないのに既に美味そうだ。
    「起き上がれる?難しい?」
    「んんー……じゅかいん……」
    自力で起きれるか分からなかったから、ジュカインに支えてもらってなんとか上体を持ち上げる。それだけで大分疲れたけど、でもやっぱり折角作ってくれたんだ。ご飯は食べたい。
    息が落ち着いた頃に、ずっと静かに待っていた彼はスプーンを手に取った。
    彼が作ったのは、どうやらオカユってやつらしい。溶けて柔らかくなった米が掬われる。
    「ふー、ふー……はい、あーん」
    「え……いや、じぶんで、くえる……」
    「そんなフラフラでなに言ってるんだ。遠慮なく甘えていいんですから、とにかく食べて」
    「…………あーん」
    冷まして食べさせられて、なんだかむず痒い。恥ずかしくなりながらオカユを口に含んだ。
    あまり咀嚼しなくても飲み込めて、それでもゆっくり口と喉を動かした。
    「どう?美味しい、ですか?」
    「……うん。やわらかいし、あまくて、あったかい」
    あまり馴染みの無い料理だが、甘い味で美味しくて、食べやすいと正直な感想を伝える。
    ……温かい作り立ての手料理を食べたのは、いつ以来だろう。スグリがチャンピオンになる前のアカマツ飯が最後だったかな。学園の食堂はメニューがあんなんだし……
    「おいしい。おいしいよ、ホントに……っ、」
    本当に美味いのになんだか急に悲しくなってきて、涙が溢れて目元を擦る。
    自分でも意味が分からないくらい情緒が安定していない。泣くところじゃないと理解してる筈なのに。さっきは我慢出来たのに。
    それでもドーム部員は呆れることも怒ることもせず、ただ背をさすって宥めてくれた。
    「ぅえ、うぅ……」
    「大丈夫。ゆっくり落ち着こう。キミのペースでいいからね」
    なんで、なんでそんなに優しいんだ。『好き』とか言ってたけど、やっぱりおれなんてどうしようもなくて、好かれる資格も無いのに。
    ひとりにしてくれ。もうひとりはいやだ。真逆の感情が同時に湧いてしまって益々混乱した。
    彼とポケモン達が抱きしめ、頭を撫でてくれる。余計涙腺が馬鹿になってしまった。
    「っっ、ううっ、ぐす、」
    「辛いね。悲しいんだね。いいんだよ、隠さなくても、強がらなくてもいいんだ。泣きたい時はいっぱい泣いていいんだよ」
    自分でも困ってたのに、やはりそんな風に受け止めてくれるから。
    鍋の中の食事が冷めてしまうのも気にせず、暫く嗚咽を繰り返した。
    ……なけなしの理性が、大声を出すことだけは止めていた。きっと裏切られるのが怖かったんだ。





    段々少し落ち着いて、ちょっと名残惜しくなりながら『もう大丈夫』と腕を弱く叩いた。皆は気を遣いながらゆっくり離れる。
    「本当にいいの……?無理してない?」
    コクリと頷けば、彼の眉が下がる。なんでアンタまで寂しそうなんだ……
    今更ながら声が出せるようにはなっていたが、今ので疲労が溜まったようでまたぼんやりしてきた。眠い。声帯が上手く動かない。
    「眠いのにごめんね、もう少しだけ食べられないかな?温め直した方がいい?」
    あと二、三口くらいならいけるかもしれない。もう一度首肯すると、再びスプーンが近づく。
    「無理はしないでね。食べ切れなかったらうちの子にあげるから」
    「ん……」
    吐いてしまわないか危惧しつつ、数口食べさせてもらって。
    案の定直ぐに満足してしまった為、もういいと首を横に振った。完食出来なかったのに彼は嬉しそうで、安心した様子だった。……お人好しだなあ。
    「薬も飲もうね。はい」
    「んー………」
    差し出された錠剤と水を受け取り、なんとか飲む。
    それから促され、ベッドに横たわった。ドーブルが敷いてくれた氷枕のお陰で若干頭が楽になる。
    「これでもし下がらなかったらどうしよう……いや、大丈夫だよね」
    「………………」
    「うん、大丈夫だよカキツバタくん。きっと疲れの所為だから。薬も飲んだし、暖かくしていっぱい寝てれば直ぐに良くなるよ!」
    無理矢理明るく振る舞って安心させようとしてくる彼は、心配で不安で仕方ありませんと顔に書いてある。
    まだ信じるのは怖いけれど、何処までも良いヤツなんだなあと頬を緩めた。
    すると男は真っ赤になる。あまり上手く表情を作れてなかったのに、分かりやすいな。
    「チルット、おいで」
    それからふとチルットを二匹繰り出し、おれの傍に下ろす。ふわふわもこもこして気持ちいい。例の如く目が閉じそうになってきた。
    「よしよし……沢山寝ようね。時間は幾らでもあるからね。キミはなーんにも気にしないでいいんだよ」
    じかんは、いくらでも。なにも、きにしない。
    撫でられながら咀嚼していたら、眠気が強まっていく。寝たい時に寝れるってこんなにも楽だったんだ。
    ……休んで、早く元気になろう。誰の為とか、よくわかんないけど……元気になって、皆とはなしたい。
    「おやすみなさい。良い夢を……」
    チルットのふわふわに埋もれて、そのトレーナーの彼に微笑まれて。
    身体の力が抜けていき、そっと目を閉じた。熱による苦しさはとうに何処かへ消えていた。















    物音によって意識が戻り、しかしまた目を開くのに時間が掛かってしまった。瞼を押し上げられた頃にはドーム部員は居らず代わりにドーブルが傍に立っていて、ちょっと戸惑う。
    ドーブルは鳴き声を上げながら体温計を突き出す。熱を測れということだろう。
    そういえば身体が大分楽になった気がする。暑さも感じないし、痛みも無いし、体力も戻ったような。それをちゃんと証明する為にも起き上がり、小さな機械を受け取る。
    ……測定したところ、すっかり平熱に戻っていた。
    見せてやれば、おれの周りに居たポケモン達は『よかった』とばかりに脱力する。急な高熱だったので当たり前と言えばそうだけど、随分心配させてしまったらしい。申し訳ない。
    ドーブルは体温計を回収して、それからサイドチェストを指差してぽてぽてと退室した。
    「……なんか、あんのかな」
    独り言を呟きながら示された所を見る。置き手紙と、切り分けられ皿に載ったリンゴがあった。
    ……りんご……食べていい……って、ことなのかな?
    いいんだろうけど、なんだか確認しないのもとそわそわしてしまい、とりあえず手紙から読むことにした。まだ少し重たい手を伸ばして掴む。
    『体調が悪いのにごめんなさい。ボクは少しリモート授業に参加してきます。部屋の中は自由に歩いていいし、食べられそうだったら置いてあるリンゴもどうぞ。なるべく静かにしてもらえると助かりますが、もしものことがあれば遠慮なく内線で連絡をしてください』
    未だに目が滑る感覚がして、しかしどうにか頑張って読み終えた。
    「そっか、授業……」
    彼の為を思えば欠席するわけにもいかないだろうし、仕方ない………
    って、あれ?今何月何日なんだ?学園出てからどれくらい経った?ずっと寝てたし時計もスマホも無いから分からないな?
    「…………………………まあいっか」
    ふと疑問が湧いたものの、どうせ知ってても知らなくても同じなので直ぐにどうでもよくなった。
    もうなにもしたくないんだ。なんにも。少なくとも今の自分にとっては日付や時間の流れなどノイズでしかなくて。
    なにもかも忘れ、リンゴを一切れ取った。口に含むと小気味良い音がして優しい甘さが広がる。どうしてかまた泣きたくなってきた。
    ……大分良くなったとはいえまだまだ本調子ではないらしく、二切れ食べたところで胃が熱くなって食欲が無くなってしまう。後で食べるか、それも無理ならアイツに謝ろうと決め、またベッドに潜り込んだ。
    経過した時は分からないが、流石に寝過ぎたようでもう眠気はあまり無かった。それでも動くのが億劫で起きる気になれない。
    どうしよう、とぼんやり天井を見つめていたら、カイリューが大きな手で撫でてくれた。他の手持ちやアイツのチルットも穏やかな眼差しで見守って寄り添ってくれる。
    ああ、ふわふわする。気持ちいい。こういうのを癒されるっていうのかな。
    「あいつと、おまえらは、やさしいねぃ………」
    ポカポカして段々眠くなってくる。もう少しだけ休んでいいだろうか。汗もかいたし、シャワーを浴びたほうがいいんだろうけど、でもあと少しだけ。
    誰にでもなく懇願しながら瞼を下ろす。よく知らない場所なのに、どうしようもなくあんしんしていた。
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    Replies from the creator

    Rahen_0323

    DOODLE完結したシリーズの補完話という名のおまけです。全て幻覚。
    学園に戻って来た時のカキツバタの話、姉弟が戻って来た時のちょっとした話、カキツバタとスグリの和解っぽい話の三本立てです。あんまりしっかり書くとまた長くなりそうだったので全部短い。
    手持ちとの話とかお義姉様との話とかまだまだ書きたい話はありますが、構想固まり切ってないので書かないかもしれない。
    地獄の沙汰もバトル次第 おまけ「たでーま戻りやしたー!」
    退院したオイラがそう部室のドアを潜ると、室内に居た全員が一斉にこちらに注目して。
    座っていた部員は全員立ち上がり、他の皆と一緒に震える。
    「かっ、カキツバタぜんばいいいっっ!!!!」
    「カキツバタ!!!!」
    「ツバっさーん!!!」
    「うおおおっ」
    かと思えばアカマツが号泣しながら突撃してきて、タロやネリネ、ハルト、他後輩達も集った。
    「うわーん!!!帰って来てくれて良かったぁ!!!おかえりぃいーー!!!!」
    「シャガさんや、アイリスさん来て、っ、スグリくんもゼイユさんも休学して……っうう、カキツバタ、もう戻って来ないのかと……!」
    「ネリネも不安でした……怪我も回復したようでなにより」
    「おかえりー!!」
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    Rahen_0323

    DONEスグリ対策考えてたカキツバタif、最終話です。全て幻覚。
    怪我の描写とか色々好き勝手してるのでなんでも許せる方向け。1〜8話と過去作の「お前を殺す夢を見た」を先に読むことを推奨します。
    一応今回で終わりです。お付き合いいただきありがとうございました。書きたいシーンがまだあったりするので補完話も書く……かも……?って感じですね。既に大分満足してるので分かりませんが書きたい気持ちだけはあります。
    地獄の沙汰もバトル次第 9(終)検査が「異常無し」ということで終わり、僅かに負った擦り傷の処置をされた後。
    エリアゼロは一応パルデアにあったので、僕はオレンジアカデミーの先生や保護者であるママを呼ばれてそれはもう心配されてしまった。大穴に入ったのはアカデミー理事長でもあるオモダカさんの許可の上とはいえ、クラベル校長やジニア先生はとても怒っていて。校長なんて「私の方から理事長に抗議します!」とまで言っていた。
    ママもぎゅうぎゅうと僕を抱き締めて凄く叱ってきた。「冒険するのはいいけど、そういう場所に行くならせめて事前に伝えて」と。以前無断で侵入したのもより不安を加速させてしまったのだろう。それについては何度目か深く反省した。
    「とにかく、手当ては済んだのでしょう。理事長への報告などもブライア先生からされると聞きました。今日のところはアカデミーなりご実家なり、落ち着ける場所でお休みを……」
    7405

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