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    Rahen_0323

    @Rahen_0323

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    Rahen_0323

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    スグリ対策考えてたカキツバタif、四話目です。全て幻覚。
    追い詰めつつあるスグリvs作戦勝ちを繰り返すカキツバタです。
    かなり好き勝手してるのでなんでも許せる方向け。1〜3話と過去作の「お前を殺す夢を見た」を先に読むことを推奨します。
    次はバトル要素薄くなりそうです。そろそろカキツバタが負けるかもしれない。

    地獄の沙汰もバトル次第 4オイラがブルベリーグチャンピオンの座を奪還してから、一週間と数日。
    現在四天王のスグリはその期間中、ほぼ毎日のようにチャンピオン戦を仕掛けてきた。羽休めさせてくれたのは最初の二日だけで、それ以降は本当に日を跨ぐごとに公式戦を申し込んだのだ。
    酷い時には一日に複数回バトルする時もあった。日毎に強くなるスグリの姿はもう見ていられないほどやつれていて、オイラもただでさえ多忙なのに何度も付き合わされ正直疲れていて。
    三天王やゼイユの制止は意味を成さず、ただ時間だけが経ち心身が擦り減らされていく。

    そして今日、この日の勝負。

    スグリは現在の大将であるユキノオーとカミツオロチで粘り、とうとうオイラも最後の二匹を引き摺り出される展開となった。

    「はぁっ、はぁ、やっとだ、やっとここまで来た……!!勝てる、勝つ、今度こそ勝つ……!!」
    フィールドに居てひんしにされたボーマンダとフライゴンを戻しながら、大きく息を吐く。
    繰り出す順番と技と持ち物の変更を続けてどうにか持ち堪えていたが、とうとうここまで追い詰められるようになったか。
    こっちも鍛錬を怠っていたわけじゃないが、流石にずっとは持たないよな、そりゃあ。だってスグリは、やり方はともかく確かに努力して強くなり続けている。
    「ヒリつくなあ……そんな顔さえしてくれてなきゃあべらぼうに楽しかったのによ」
    口角を無理矢理上げ、最後のボール二個を握る。
    観客席で観戦していたタロが、祈るように両手を握って頷いた。二天王もゼイユも他の皆も、緊張している面持ちで。

    「な、なんか全然ついていけてないんだけど、もしかして先輩ちょっとピンチなんじゃ……?」
    「そんな、またスグリが部長に戻るなんて嫌だよ……!」
    「まだチャンピオンが戻ってから一週間くらいしか経ってないのに……!」
    「落ち着け皆、スグリのユキノオーとカミツオロチは少なからずダメージを負ってる。カキツバタならきっと勝てる筈だ」

    期待だとか希望だとか、色々な感情が伸し掛かる。
    知らず垂れていた汗を拭い、腹を括った。

    「さあ来い!!カキツバタ!!今度こそ……今度こそ俺が勝つんだ!!」

    ユキノオーは通常状態。雪も降っていない。持ち物はハッキリとは分からないが、ここまでの戦いからして恐らくこうげきかとくこう、もしくは両方を上げる系統の物……

    カミツオロチはかくとうテラスタル。こちらも持ち物は絶対そうだとは言えないが、いつものように"とつげきチョッキ"を持たせてる可能性が高そうだ。

    勝算はある。負け戦なんざじゃねえ筈だ。だから戦え、チャンピオン!!

    片足を大きく持ち上げ、右腕を振りかぶってモンスターボールを投げた。

    「頼んだぜ、リザードン!!!ブリジュラス!!!」

    「…………!!」
    「リザードンとブリジュラス……!?」
    登場させたのは、元から大将の立ち位置だった頼れる相棒ブリジュラス。
    そして誰にだって見せたことの無い新たな仲間、リザードンだった。
    「クソ、クソッ……このっ……!!やっぱりまだ隠してるヤツが居たか……!!」
    「とっておきの切り札ってやつよ。手の内はなるべく見せない方がやりやすいんでね!」
    スグリは苛立ち、ギャラリー達は固唾を飲む。
    オイラまで手汗が酷くなってきたが、しかし構わず声を張った。

    「滾れ、竜の血!!支配者が誰か教えてやれ!!」

    「!!」
    オイラはテラスタルオーブを取り出し、突き出した。ここ最近のバトルでは使っていなかったそれを久々に起動する。
    風圧と共にテラスタルエネルギーが収束した。……いつもの笑顔を浮かべる余裕は、あまり無くて。
    「ユキノオー!!カミツオロチ!!ブリジュラスに"れいとうパンチ"と"きまぐレーザー"!!」
    テラスタルオーブを投げたタイミングで、ブリジュラスにドラゴンテラスをするのだろうと推測したらしいスグリが指示を飛ばした。
    だが、オーブの結晶に包まれたのは、

    リザードンの方だった。

    「えっ」
    「「「は!?」」」

    それだけでなく、テラスタイプはドラゴンではなくほのお。

    騒然とする場で、オイラは指示を飛ばした。

    「リザードン、"ねっぷう"!!!ブリジュラス……"りゅうせいぐん"!!!」

    一秒でも早い決着を望み張り上げた声に、二匹は従う。
    彼らは相手より上回るすばやさを見せ、熱風が吹き荒れ空から群星が降り注ぎ、ユキノオーとカミツオロチに直撃した。
    「っ………!!ユキノオー!!カミツオロチ!!」
    オイラは腕を下ろして肩の力を抜く。
    スグリの手持ちの大将達は、同時に強力な技を一身に受けひんし状態となっていた。
    「しょ、勝負アリ!!勝者、チャンピオンカキツバタ!!ブルベリーグチャンピオン、防衛成功です!!」
    あー、焦ったぁ……正直なところ、こんな早くリザードンまで引っ張り出されるたぁ想定外だった。
    だがすばやさで勝っていたお陰で直ぐに倒せた。そもそもスグリはほのおタイプ持ちが来ることを想定してなかったんだろう。今後も通用するかは難しいところだろうが、どうにか勝ててよかったよかった。
    ……いつの間にか『勝利』に拘り出している自分に腹が立って、落ち着こうとゆっくり瞬きをする。
    「……スグリ」
    「…………、………」
    それから今回も目の前の挑戦者に声を掛けようと近づく。

    「確かにタマゴグループはドラゴンだが、まさかリザードンが来るなんて……それさえ分かっていればユキノオーは入れなかったのに……だがこれで六匹全員が出た、手の内は分かった。なら対策として他のポケモンやみずタイプの技を……すばやさも必要だ、カイリューを入れ直して"おいかぜ"を覚えさせるか……?それともいっそテラスタイプを変えて……」

    だが、例の如く彼はこちらに興味を示さずぶつぶつ独り言を呟きながら勝つ方法を考えていた。
    ここまで来るとむしろ凄えわ。そうまでして強くなって勝利したとして、本当にコイツの望むモノは手に入るのだろうか?
    なにも知らない身でありながら疑問だった。『アイツ』とやらに勝ちたいだか見返したいだかって口にしてたが。ソイツは果たしてこんな姿になったスグリを認めるのだろうか?「強くなったね」と喜ぶのだろうか?お前はそんな心の無いヤツに魅せられてしまったのか?

    「次こそ……次は勝てる……!カキツバタに勝って、それで……!!」

    …………オイラも、対策考えないとな。

    なにか言いたかったが、ぶっちゃけたところもう言葉は出尽くしてしまった。どう声を掛けても無駄だったんだ。
    どうにかこうにかまた考えないとな、考えたところで結局響く気はしないが諦めたくはない、と思いながら踵を返した。どちらにしても負けるわけにもいかないのだから、また諸々を見直さなければ。
    「あ……カキツバタ……」
    思えばスグリより先にオイラが立ち去るのは初めてだった。
    何処か打ち拉がれるように、縋るようにゼイユに呼ばれたけれど、振り向いて愛想笑いだけしてそのまま校舎内へと戻ったのだった。





    チャンピオン戦の後だろうとなんだろうと学校での生活は変わらず続く。もう知っている知識ばかり並べられる授業を程よーくテキトーーに受けて、その後オイラは自室へと帰った。
    「ハァーッ」
    とうにヨレてボロボロなノートや教科書を雑に放り投げ、椅子に腰を下ろす。
    「……シャーペン……参考書何処にやったか……」
    そのまま面倒に思いながら、授業用とは別のバトル用ノートを掴み開いた。所謂さっきのチャンピオン戦の反省会ってやつだ。
    「分かっちゃいたが、限界状態でもスグリは学習してる……天候を雪にするようになったし、もう戦略に慣れてきやがった上に段々こおりとフェアリー以外も組み込むようになった……とにかく厄介なのは雪だな。いっそ"にほんばれ"でも仕込むか……?晴れパはやったこと無いことも無いし、リザードンが居るからイジり過ぎなくても恩恵はあるし、こおり状態にならないのも有難えから……」
    一人で整理しながら別のノートを取り出す。随分前に……確か一年生くらいの頃に使っていたものだ。記憶が正しければこれに晴れパについての戦略を記していた気がする。
    ポケモン勝負に関してはいつだってそこそこ全力で取り組んできたつもりだ。ただ、"無敗のチャンピオン"となってしまい『学園内で負けることは無いのかもしれない』と驕っていた部分も、今となっては否定し切れなくて。
    だからスグリに負けたのだ。楽をするのが板についてしまったから。
    けれど、楽をしていなかった自分も確かにここには居た。知識は今のオイラには劣るだろうが……参考程度にはなるかもしれない。
    「うわっ、字ぃ汚ねえ」
    つーか見づれえ。そう顔を顰めながらページを捲っていく。

    そのタイミングで、スマホロトムから通知音が。

    どうにもメッセージが届いたようだ。ゼイユか三天王の誰かかな、と一度顔を上げてスマホ画面を叩いた。
    『アイリス』という文字が目に映る。彼女は悪くないが、思わず苦い顔をしてしまった。

    スグリに勝ったと報告したあの後。義姉である彼女は翌日に返信を寄越してくれた。『凄いよ!頑張ったね!』と。

    でも、短いメッセージ一つだけで顔も見せてないのに、上手くは行かなかったと察したらしく。『カキツバタは本当に頑張ったよ』『貴方は悪くないから気に病まないでね』『またいつでもお姉ちゃんに連絡して!おじーちゃんにもね!』等々、励ましや労いやいつも通り言葉を送ってくれた。天真爛漫だがなんだかんだ人の機微に敏感な義姉らしかった。

    そんな姉とは正反対な自分はなんと返せばいいか分からず、結局送ったのは『うん』の一言だけ。我ながら酷いとは思った。

    それ以来偶に『ご飯食べてる?寝てる?』『無理してない?』『いつでも帰ってきていいんだからね』といったようにお叱りや質問が飛んでくる。今回もそれだった。
    開いたメッセージアプリに、『今日のご飯はなに食べたの?』という文言が現れる。飯の心配なんて、まるで子供扱いだ。……まあ実際疎かにしがちなので気まずいんだけど。言っても不摂生は元からだし。無罪とさせて欲しい。
    とりあえず『後輩が作ってくれた辛い麺』なんて若干伝わりづらそうな返信をして、『悪い、やんなきゃいけないことあるから』と続けそれから通知を切った。
    ……もう彼女を巻き込むわけにはいかない。詳細も話さず急に手伝いを望んでおいて、冷たいだろうが。でもこれ以上迷惑は掛けたくなかった。
    それにきっと相談しても、更に強くしてもらっても…………
    「……………………」
    余計な気苦労を背負う必要なんて無いんだ、あの人は。
    スマホを置き、改めてノートを開いた。眠気や疲労と格闘しながらペンを走らせる。

    「んー、次はこれで行くかぁ。やれそうかぃ?リザードン、ジュカイン?」

    これこそ付け焼き刃に近いが、今のままでは負ける可能性がある。

    リザードンとジュカインにわざマシンを差し出すと、二匹は喜んで受け取ってくれた。















    「ちょっとアンタら!!またチャンピオン戦!?カキツバタもいい加減断っていいのよ!?」
    「まーまーそう怒鳴るなよゼイユ」
    「ねーちゃんは黙っててって何度も言わせないでよ」
    翌朝。いつもより早めの時間に挑戦状を叩きつけられたオイラは、例の如くスグリとのチャンピオン戦を始めることにした。
    ただあまりにも短期間で回数を積んでいるので、流石に審判も事務員も険しい顔になっている。オイラとスグリの顔色にも気付いているのだろう。スグリを「また明日にしないか」と説得しようとしていた。
    けれどやはり横暴な少年は聞こうとしない。むしろ「ルールはルールだろ。先生がルールから外れようなんて、大人としてどうなの?」と嘲る始末だ。大人としてどうなのかという部分に関してはフォロー出来ないが、それは少し可哀想だぜ元チャンピオンよ……
    彼としては一秒でも早くチャンピオンに勝って自分は強いのだと実感したいのだろう。敗北の屈辱を払いたいのだろう。だからこうして急いている。
    その目的は『チャンピオン』という称号じゃない。『最強』という名だ。
    「でもねスグリくん……キミは今ブルベリーグ暫定二位なのだから、チャンピオン戦はいつでも出来るんだよ」
    「いつでも出来るなら早い方がいい」
    「しかしね。そう焦らなくても、スグリくんならチャンピオンに戻ることはきっと」
    「黙れよ。俺はチャンピオンになりたいんじゃなくてカキツバタを倒したいんだ。もう黙ってくれる?」
    オイラはどちらでもよかったので静観した。助けを求めるような目を教師に向けられるが、オイラにだって説得は不可能なのだからそんな視線を寄越されても困る。
    むしろもう早く終わって欲しいので始めるならとっとと始めてくれ、くらいの気分で。

    結局情けないことに教師陣の方が折れ、チャンピオン戦が開始された。

    「カイリュー、ラプラス!!」
    「頼むぞリザードン、ジュカイン!!」

    最早お互いの手持ちの順番、構成に突っ込むことも無い。観客席は変わらず騒然、どころか少々引いていたが。

    「カイリュー"おいかぜ"!!ラプラスは"ゆきげしき"!!」
    先制を取ったのはスグリのカイリュー。追い風が吹き、向こうのすばやさが上昇する。
    間髪入れずにラプラスが雪を降らせた。それを読んでいたオイラは口を開く。

    「リザードン、"にほんばれ"!!」

    「なっ!?」
    リザードンが雄叫びを上げ、辺りが暑いくらいの日差しに包まれる。
    続けてオイラはジュカインに指示を下した。
    「ジュカイン!!ラプラスに"ソーラービーム"!!!」
    「しまっ、避けろラプラス!!」
    慌てるスグリとラプラスに構わず、ジュカインは日光を浴びてエネルギーを溜め。
    一気に高威力の"ソーラービーム"を放った。
    モロに食らったラプラスは倒れる。近頃はきあいのタスキを持たせていなかったのでそれに賭けていたが、どうやら大当たりらしい。
    「チッ、"おいかぜ"を逆手に……!!でもなんでジュカインよりリザードンの方が先に動くんだ!?」
    ここで種明かしをする程オイラは優しくない。ただニコッと微笑んで受け流した。

    とはいえ、すばやさの種族値が高いジュカインよりリザードンの方が早く行動した理由は単純。ジュカインに『こうこうのしっぽ』を持たせていたからだ。

    こうこうのしっぽは持っているポケモンが後から行動するようになってしまう、側から見ればデメリットアイテム。使い方としては"トリック"だとかそういった技で相手に押し付けるヤツが多いが。

    今回オイラはスグリが"おいかぜ"と"ゆきげしき"を初手で放つと読んでこういった構成にした。大分博打に出てしまったが、上手く行ってなによりだ。

    先に行動してくれたお陰で雪も取っ払えた。この調子でガンガン行かせていただこう。

    「さあ、次のポケモンを出しなスグリ。追い風はまだ止んでねえぜぃ」
    「…………晴れのままだとリザードンの攻撃が痛い……その上ジュカインは"ソーラービーム"まで持ってる………だが"おいかぜ"の所為で俺はほぼ必ず先攻だ……!!"ゆきげしき"を使ってももし向こうが"にほんばれ"を使ってくれば水の泡どころじゃない……!!クソッ、カキツバタのクセに心理戦なんて……!!」
    完全に調子を崩された様子だ。追い打ちを掛けてしまおうか悩んで、決断した。
    「カミツオロチ!!」
    結局天候を変えるのは諦めたのか、スグリはカミツオロチを繰り出した。
    ジュカインから落とすつもりなのかもしれないな。今度はそう推察し、モンスターボールを取り出した。

    「戻れジュカイン!!」

    「!?」
    「行けっ、ブリジュラス!!そんでもって……」
    行動は止まってしまうが、ジュカインの役目は大体終えた。ブリジュラスのとくせいは"じきゅうりょく"な為、狙われてもきっと耐えてくれると信じて交代する。

    続けてオイラはテラスタルオーブを手に握った。

    「はちゃめちゃにぶっ放す!!滾ったままじゃ帰さねえよ?」

    「なっ、にを……!?」

    そのままオーブを起動して、リザードンをテラスタルした。

    「はあ!?なんでここでテラスタル!?」
    「早過ぎですよ!!」
    「本当は塩送るみたいなんで控えたかったんだがねぃ。別に『テラスタルは最後のポケモン以外に使ってはいけない』なんてルールは無えのさ!!」
    いつでもテラスタルを使える。それを示せばスグリは、絶望と学習を同時に感じたようだった。

    最後の一匹以外にもテラスタルを使うとなれば、行動やタイプのパターンは一気に倍以上に増えると言っても過言ではない。勉強家でオイラと比べれば実戦経験が浅いスグリからしたらまー最悪だろうな。

    まあ、学ばれて同じ手を使われる可能性も考えられるので、オイラにとってもヤベーけど。ここでスグリを止める為にゃ形振り構ってられないんでね!!

    「さあ行くぜぃ!!リザードン、"ねっぷう"!!」
    「っ!!カイリュー、カミツオロチ!!リザードンを動かせるな!!」
    カイリューが"かみなり"を繰り出し、運の良いことに見事当てるが。
    それが悪手だとスグリは気付かなかったようだ。

    オイラのリザードンのとくせいは"もうか"。途端に彼の炎の威力が増し、カイリューと行動の遅いカミツオロチを薙ぎ倒した。

    「えっ、………え……?」
    「カイリューは"マルチスケイル"のお陰で耐えたかあ。まあ一筋縄では行かねえよな」

    "もうか"は体力が三分の一以下に陥った時、ほのおタイプの技の威力が増すというとくせい。

    それに"にほんばれ"とテラスタルも加われば、まあ耐えるのは簡単じゃねえだろうなあ?

    「っ、クソ、クソッ……!!こんな、ペースに乗せられて……!!お前!!なんなんだよ!!」
    「ブルベリーグチャンピオンのカキツバタでーす」
    「テラスタルまで、なんでっ、まるで『アイツ』みたいな動きばっか…………!!余裕ぶった態度まで同じだ……!!なんでなんでなんで……っ!!」
    また『アイツ』か。顔も名前も知らない元凶と思われる輩と重ねられるのは良い気分じゃない。

    とはいえ、いっそ重ねてくれてもいいさ。そうしてオイラを捌け口にして、絶望も焦燥も憎悪もなにもかもぶつけてくれりゃいい。

    それでお前が満足するのであれば、の話だが。

    「まだ行けるよなカイリュー!?お前も行け、アシレーヌ!!」
    「さぁ!!暴れてやれ、リザードン、ブリジュラス!!」

    こんな構図でなければ、オイラ達も楽しく切磋琢磨して健全に互いを強くするライバルになれたかもしれないのに。

    密かにそこも残念に思いながら、しかし迷いは持たずに技の指示を叫んだ。

    連日のバトルの所為で、オイラもスグリも喉が枯れかけていた。



    そして、その日のバトルは最初からペースを乱されたスグリの敗北で終わった。

    いつになったらこの地獄が終わるのだろう。ポケモン達をボールに戻しながら漠然と感じた。
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