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    setsuen98

    @setsuen98

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    setsuen98

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    雪の日の🔗🔮。短い。
    いつもの通り中身は特にないインスタントさにうき。

    #violisko

     オーナー自慢のアミューズに舌鼓を打ち、グラスを満たすドリンクで流し込む。心と腹を満たす、ごきげんな夜。
     アルコールを楽しむ浮奇の身体が心地好く火照り、口調もふわふわとし始めた頃合いにふとサニーと目が合えば、言葉無くとも互いの求めることが伝わる。
     浮奇が華奢な身体をすっぽりと包む込むお気に入りのカシミアのコートに袖を通し、サニーはチェックを済ませる。何をいうでもなく自然に動くのは、二人で過ごした時の長さを感じさせた。
    恙無くチェックを終え戻ってきたパートナーにお礼と共に上着を手渡し、長い腕を袖に通すのを待てば、差し出された腕へと手を添え、それを支えに二人寄り添い店外へ続く階段を登る。
     最初はこちらのことなどお構いなしに遠くへと伸びていた長い脚も、今では誂えたかのように浮奇の歩調に寄り添う。
     そんなひとつひとつに幸せを噛みしめながら、今日のデートのためにおろしたヒールで階段を打ち鳴らし登った、その先。

    「「うわーぉ…」」

     異口同音に、思わず、と行った様子で零れたそれは、辟易としたもので。
    それもそのはず。
     二人の眼前に広がるのは、白銀の世界。入店時には見ることのなかった景色だった。
    さらにぽっぽっと絶え間なく降り続ける大粒の雪が、一層世界を白く染めていく。

    「最悪…一気に醒めた」
    「俺も最悪だと思ってたけど、浮奇の酔いが消え去ったのは朗報かも」
    「ちょっと」

     眉根を寄せ美しい顔を歪ませる恋人の横から、サニーが一歩踏み出す。
    そのまま浮奇の前にしゃがみ、街灯に照らされ妖しく輝く瞳を振り返り見上げると、眩しげに双眸を細め促した。

    「サニー…?」
    「乗って。ここにいても寒いだけだし、早く帰ろう。どうせ靴が濡れるのやだな、とか思ってたんでしょ」
    「すごい、これは俺の教育の賜物?それとも、浮気でもしてどっかの女に仕込まれた?」
    「素直に褒めるとか、可愛く喜ぶとか、そういうのできないわけ?」
    「素直じゃなくて可愛げのない俺を大好きなのは?」
    「…はいはい、俺です」

     わざとらしく驚いたり疑ったりしてみせたかと思えば、楽しそうに喉奥を震わせ笑うご機嫌なお姫様。まだ酔いが残っていることを悟ると、思わず零れたサニーのため息は雪に吸われ音もなく消えていった。
     少し勢いよく飛び乗るしなやかな体躯を後ろ手に支え、ブレること無く軽々と立ち上がる姿は、彼の職業を知る人ならば流石、の一言だろう。

    「サニーが見てる世界って、やっぱり俺のと少し違うね」

     視界が高くなった事に嬉しそうにピカピカに磨き上げられた爪先が踊るのを見て、新品でも先ずは丁寧に靴を磨くべきだと浮奇が説いていた理由が、今はよく分かる。
     揺蕩う爪先が視界の隅でゆら、ゆら、と煌めくのを捉えながら、一度揺らすようにして浮奇の身体をしっかりと背負い直せば、まだ誰も触れていない白の絨毯を深く溝が刻まれた靴底で踏みしめ、一人分の足跡を大きな歩幅で残していく。

    「ねぇ、転ばないでね?」
    「そんなヤワじゃないから。ちゃんと城までお連れしますよ」
    「任務完了したらご褒美あげる」
    「当たり前だろ?俺がボランティアでやるわけないじゃん」
    「そこは愛おしい恋人の為に、じゃないの?」
    「愛おしい恋人を思う存分抱く為に、疲れたとか言わせないよう体力温存させてるんだよ。あとは靴が濡れたからってご機嫌ななめになられても困るし」
    「喜ぶべきか恐れるべきか分からなくなること言わないで」

     くすくす、くすくす、と、どちらとも無く笑い出せば、その波は次第に大きくなり、声を上げたかと思えば音にもならない程に深く笑う。
    最早何が楽しいのかも分からなくなるが、笑いは止まることなく、夜の静寂に白く浮いては消えていった。
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    setsuen98

    MOURNING🦁👟みたいな何か。付き合ってません。
     ほぼ満席状態の店内。二人掛けのテーブルにルカと向かい合って座ってから、なんとも言えない無言の時間が過ぎていく。と言っても実際には大した時間は経っていないけど、黙り込んだまま相手が口火を切るのをただ待つ時間は何倍にも長く感じられる。だからと言って、いつもの快活とした姿とは異なり神妙な顔でテーブルを見つめるルカに「話って何?」なんて無遠慮に本題へ切り込むことなんて出来なくて、手持ち無沙汰にカップに口をつけブラックコーヒーをちびちびと啜るしか出来ず、日差しが降り注ぐ外をいい天気だなぁ…なんて現実逃避まがいに眺めていた。
     「シュウに相談したいことがある」と改まって連絡がきた時は、一体何事かと身構えてしまった。まさかルカの身に何か深刻な問題でも起きているのかと心配になり即座に了承の返信を打てば、カフェでお茶でもしながら聞いて欲しいとの思いのほかゆったりとした回答に、勝手な杞憂だったのかと胸を撫で下ろしたのが数日前のこと。ただ実際に顔を合わせてみるとこんな風に一切読めない様子で、大きな問題でないことを願う最中、突然ルカが顔を上げ僕の方を見つめたかと思えば、また直ぐに視線を落とし何度か口をモゴモゴとさせてようやく口を開いた。
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