書きたいやつのネタメモ 大学生の与一は、虚弱体質なせいで就職が決まらずに腐っていた。
大学のヒーロー同好会に所属している与一は、その延長でヒーロー解説チャンネルを開いているが、閲覧数も伸びない。そんなことを同好会でぼやいていると、いま流行りのVチューバーはどうかと言われる。顔出しはしたくない与一だが、やはり視聴者的には“誰が”話しているかも重要だとなり、知り合いの伝でVを作ってもらう。
出来上がってきたのは、女子アバター。銀髪にに青いメッシュの入った、元気系のキャラだ。服装もジャケットにカーゴパンツと、まさに与一とは逆のイメージ。
声は地声で行くことになった。興奮した与一はつい早口になる癖があり、それに音声変換プログラムがついていかれないためだ。
見事なまでにオトコの娘が出来上がってしまい、困惑する与一だが、同好会のメンバーは大丈夫と他人事だ。
出来上がってしまったものは仕方ないと、与一はその日からVチューバーとなった。
ヒーロー解説チャンネル・イチ。そこに登場したVの“チイちゃん”。
なんの捻りも変哲もないが、与一に考えられる精一杯だったので、それで行くことにした。
意識しているわけではないが、Vの姿に引っ張られるのか普段の自分よりも幾分元気で勢いのある感じに喋るようになった。
可愛らしい元気なキャラに、男としては高めの声は良くあった。ヒーローの特徴や得意な分野の解説も的確でしっかりとしている。が、時々はいる自分ならこう使ってみたいという妄想なども面白いということで登録者数が少しずつ上向いてきた。
表情豊かな『チイちゃん』も人気となり始め投げ銭も僅かながらしてくれる視聴者も増えてきた。
私生活を知りたがる視聴者も増えてきたが、与一は個人情報だからと笑うだけ。
なぜなら、彼の兄はひどく過保護だったからだ。
双子でありながら、栄養が片方に偏ってしまったとのことで、兄の全と与一は歳の離れた兄弟と間違われるくらいに体格に差がある。
そのせいか兄は与一に対してひどく過保護である。就職の決まっていない現状に、「家事手伝いでいいだろう」などと言いだす始末だ。そんな兄への反発もあって始めたVチューバーだったが、これもありかもしれないと与一は思い始めていた。