「イルマ様、新しい魔茶はいかがですか?」
「花みたいな香りがして、すごく美味しいです」
至福の朝食の時間、オペラに問われてイルマはティーカップの中で揺れる琥珀色の魔茶を飲み干した。おかわりを注ぎながらオペラは珍しく柔らかく瞳を細める。
「では、バラム君にお礼を言わなければなりませんね」
「バラム先生に?」
首を傾げたイルマはオムライスが乗ったスプーンを口に運ぶ手を止めて、オペラを見上げた。
「その魔茶は大手魔食品企業のものですが、魔茶栽培のための巨大プラントの土壌作り、幼木園の管理、摘採方法や発酵のための湿度温度管理など、バラム君の研究データが基になっています。美味しい魔茶が飲めるのはバラム君のおかげですね」
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