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    tsuyuirium

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    tsuyuirium

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    4621の狂聡です。
    大学卒業のお祝いと称してさとみくんをいちご狩りに連れ出したきょうじさんが、さとみくんとのお別れを試みるお話です。
    ハッピーエンドになる予定なので頑張って続きを書きたい。

    キャッチャー・イン・ザ・ストロベリー「なに? いちご狩り?」
    「うん。いちご狩り」
     生クリームの上、まさしくその名前の通りバランスも造形も完璧なはずだった。全ての頂点に座していた紅い実は今、聡実くんが手にしたフォークによって容赦なくブッ刺され、白くて甘い、柔らかな玉座を転がり落ちていく。危ない、と手を伸ばしかけたギリギリのところで、容器のガラスの縁が間一髪に押し止めた。緊張が走った一瞬が過ぎ去れば、午後の喧騒とおしゃべりに包まれた喫茶店の音が次第に元通りに耳に届き始める。
    「これ? いちご狩り?」
    「そう。いちご狩り」
     よほどこちらの発言が信じられないのか、普段よりも気持ち力の込められた瞼によって、丸く整形された瞳には自分が映る。手元のいちごを指差して、何度も確認するように首を上下に揺らす聡実くんのその姿に、似ている人形があったような、と、どうでもいい思考が脳を掠めた。
    「なんか久々に聞いた単語や」
    「懐かしない? 聡実くんはあれ以来行ったん?」
     あれ以来。その言葉を聞いた瞬間面白いほどにぴたりと聡実くんの動きが止まる。あの時は結局、自分のせいでサボらせてしまったいちご狩りのことを近頃はよく思い出していた。
     あの時のいちご狩りに関しての清算は既に済んでいる。結局この子は、あのいちごを食べたのだろうか。なんてことのない確認のはずが、どうしてか質問するのが憚られる。
    「……さあ。どうやろ」
    「なんそれ。まあええわ。ど? 行かへん?」
     なんで、と聡実くんが疑問を挟む余地を与えないよう、テーブルに身を乗り出してもう一押し、声をかけた。
    「ひとつめの学校卒業祝いってことで。いやー、この前入学したばっかや思てたのに、もう卒業なんやな」
    「なんやそれ……お祝いとか、別に、いいですけど。でも連れてってくれるなら、まぁ……」
     氷細工のようにぴたりと固まって動かなかったフォークを握る指先は、すっかり温かさを思い出したようで再び生クリームの山を掘り進める。宝探しを進めるみたいに奥深くの底までを、早急な手つきで暴き立てていく。ぐいぐいと吸い込まれていくグラスの中身に呼応するように、聡実くんの了承の返事を逃すまいとしてこちらも急いでこの話をまとめにかかる。
    「ほんなら決まり。ええとこ見つけとくから」
    「はあ。ありがとうございます」
     相変わらず心がこもっているのかいないのか、イマイチ判断が難しい。別に聡実くんからの感謝が欲しいわけではないので、何がどういうこともないけれど。再会から四年の月日が経ってもなお分からないことばかりが増えていく。企みを明かすべく、じっとこちらを見つめる陽だまりにある瞳に悟られぬよう、にっこりと笑みを浮かべてみせて、すっかりぬるくなった机上のコーヒーを誤魔化しながら飲み干した。



     春を迎えれば聡実くんは大学を卒業する。留まることも滞りもなく、ストレートに四年をかけて、学舎を巣立っていく。四年前のあの日、空港での再会から思い返せば、その月日は長くもあり短かくもある不思議な時間だった。
     この四年間は聡実くんのおかげで、それなりに楽しく過ごすことができたように思う。まずもって一緒にご飯を食べるような関係になるとは思わなかったし、そこからさらに聡実くんがもう一つ踏み込んで求めてくれた結果、名前はなくとも新しい関係にも発展した。
     もう会わないほうがいいと直接言われたことも、今となっては懐かしい。聡実くんは考えて、物凄くたくさんのことを考えてあの時、自分に向き合ってくれた結果、今もこうして変わらず顔を合わせることができている。
     それでもまた、いつ普通の大人になるためにもう会わないと、告げられてもいいように、覚悟と建前はすぐに取り出せる場所に準備していた。いつだって突拍子もない彼のことだから、会うたびに今日がその日になるかもしれないと思い続けていた。そうしてそんな日を積み重ねてきた結果が、卒業を控えた今日この日にまで続いている。
     覚悟していた日は、ついぞ来なかった。
     いつか来るはずだと信じて疑わなかった傍で、その日は来なかった今が、救いになるかと言われると正直よく分からない。手放しに喜べるものではないとよく分かっていたからだ。
     このままずっとこの泥濘のような道行を続ければ、いつかきっとどちらかが、あるいは二人ともが足をとられて歩けなくなってしまうだろうことは明白だった。
    「それではただいまよりいちご食べ放題スタートです! どうぞお楽しみください!」
     だからもう、終わりにしよう。
     今日を最後に、聡実くんにそう言おうと覚悟している今、いつも通りの笑顔を浮かべられているだろうか。確かめるまでもなく幸いなことか悲しむべきことか、取り繕うのには慣れているのでそんなことは無用の心配だった。
     係の人によるいちご狩りのシステム説明が一通り終わり、いよいよ食べ放題のメインタイムが始まる。今どきのいちご狩りはずいぶんと、システマティックに進化しているようだった。
     ビニールハウス内に押し込められた中は家族連れや友人グループ、カップルで賑わっている。子供たちが喜び勇んで駆け回る声がハウス内のそこかしこから聞こえてきて、確かに自分たちと同じ空間にいるはずなのに、あまりのテンションの違いに次元が違うような気を起こさせる。
    「いちごってどんだけ食えるもんなんやろか」
    「それを今から検証するんでしょ」
    「お、やる気やねえ」
    「やるからには元とりたいと思ってしまうことないですか」
    「せやな。聡実くんが関西の心を忘れとらんで嬉しいわ」
     なんやそれ。吹きこぼすように聡実くんは小さく呟く。
    「はよ行きましょ」
     伸ばされた手をとるのが当たり前と信じて疑わない、同じくらいに真っ直ぐこちらに向けられる瞳を見ていると、今この時は肯定的なことしか口にできなくなってしまう。
     これで終わりにしなければ。聡実くんの顔を見るたびに込み上げてくる言葉を飲み下して、開かれた真っ白な手のひらを握り返した。
     ハウス内にはいくつかの異なる品種が栽培されており、食べ比べができるのがここのウリの一つだった。自分も聡実くんも、いちごの品種にそれほど詳しいわけではなく、今は聡実くんに手を引かれるままに苗床を品定めしながら歩いている。
     生い茂る蔓と葉をかき分けた先には、つやつやとひかり輝くいちごが、誰にも見つからないことを祈るように実っている。聡実くんも同じところに目をつけたようで、立ち止まりしゃがみ込む。
     いちごはヘタまで赤くなっているものを。摘むときはヘタを下に向け、茎を指で挟み軽く引っ張る。ぷつん、と小気味のよい音を立てて簡単に摘みとれたいちごを、聡実くんはしげしげと眺めていた。
    「とれた」
    「うまいやん。たこ焼きもぐもぐ学部の次はいちごプチプチ学部やな」
    「もう学費払うお金ないです」
    「お兄さん優秀やからタダでええよ〜」
    「ふ。怪しすぎやろ」
     あ、笑った。笑顔というにはあまりにささやかで口角が上がるだけの小さな変化だが、確かに聡実くんが笑った。昔に比べると見かける頻度は増えている気がするけれど、依然としてあまりお目にかかることのない聡実くんの笑顔に、まさか今日という日に出会えるなんて。
     上手に摘み取ったいちごを見つめるだけの聡実くんに、食べへんの、と声をかける。聡実くんは少しだけ首を傾げて、目の高さと同じ位置にぶら下げていたいちごを鼻先にまで下ろす。その先端にすん、と鼻先を寄せる仕草はまるで、蜜に誘われる小動物のようだった。
     ハウス内に充満しているものよりももっと濃密な、甘酸っぱい香りを堪能した後にそっと口を開き、真っ赤な口内にいちごの実が取り込まれていく。生え揃った白い歯が思うがままにかぶりつけば、断面からはまるでいちご自身も今切り離されたことに気がついたみたいに、遅れてぱたりと果汁が落ちてくる。
    「甘い」
    「ほんま? 当たりやな」
    「こっちのやつ狂児さんも食べ」
    「ん、ありがとう」
     すっかりコツを掴んだ手つきでまだまだ実るいちごをプツプツと手際よく取り去っていく。食べ放題とは言えどんだけ食うんや。これまでも彼の気持ちいいほどの食べっぷりは散々見てきており、そんな心配は杞憂だとしてもその勢いにはやはり圧倒される。五個にひとつほどの割合で、こちらの取り皿にも放り込まれるいちごは心なしか聡実くんの取り分よりも大きいものが多いように見えて、彼なりの心遣いが心地よかった。



    「もう向こう一年ぶんくらいのいちご食べた気ぃする」
    「いや分かってたけどすごいわ。百個くらいいったんちゃう?」
    「意外と食えるもんですね」
     長いようであっという間だった六十分間はつつがなく過ぎ去った。いちご農園しかない場所に長く留まる理由もなく、次の予定も特に定めておらず、かと言ってこれだけで解散するにはまだ早い時間を持て余す。あれだけいちごを食べたにも関わらず、しょっぱいものならいけるかも、という信じがたい聡実くんの発言により、それならばと軽く茶をしばくという行程に落ちついた。
     結局、いちご狩りでもそのあとに立ち寄った喫茶店でも、当たり障りのないことばかりしか話せなかった。もう終わりにしようなんて、出会い頭に言うことでもないし、食事を楽しんでいる最中に水をさしてまで言うことでもないかと、ずるずると自分にも聡実くんにも向き合えないまま、ゆっくりと日が傾き始めた帰路での車内を迎える。
     助手席に座る聡実くんは、農園から持ち帰った箱詰めにしたいちごを膝の上に大事そうに抱えている。後ろに置いといたら、と一応提案はしてみたけれど、持ってます、ときっぱりと断られている。言われてみればこの子は、中学生時分の頃からこうして助手席に座っていた時はいつだって、自分の荷物を手放すことはなかったのを思い出す。肩を強張らせ首を竦めて、縮こまってしまった今よりも幼い聡実くんの姿を脳裏に浮かべれば、自然と口から小さく笑みがこぼれた。
    「ふ」
    「なんですか」
    「いや、なんも。聡実くんは変わらんな」
     訝しむ目つきに眉間に寄せられた皺が、どんな言葉よりも彼の心を表している。聡実くんは意外と色々なことが表情に漏れ出ることがあって、そしてきっと本人はそのことに気がついていない。変わらんな、と溢れてしまったのは、これからも変わらないでと身勝手に捧げる祈りと同義だった。
     会話と会話の途切れた点。しん、と突如訪れた静寂に、そわりと心が浮き立つ。
    「なぁ、あの家って引き払ってまうん?」
     今このタイミングだと確信を持てたわけじゃなかった。その証拠に、核心をつくことのない腰の引けた奇妙な質問は、一番聞きたいことでもなんでもない。
     動いては止まってを繰り返していた車はようやく渋滞を抜けて、青に変わった信号に促されるがままにアクセルを踏み込む。エンジン音が響きだすのと引き換えに、聡実くんの小さな呼吸音はかき消えてしまう。しかし雑音の中、静かだった聡実くんがまるで先ほど自分がやったように、ふ、と小さく笑いをこぼしたのを確かに聞いた。それはどこか、嘲るみたいな色をのせた笑い声だった。
    「聞いてどうするん。今日で最後のつもりなんでしょ」
     声を聞いて脳に届けるまでの回路を凍りつかせる、冷えきった声。耳にしたことがない温度のそれは、むしろ普段から聡実くんと関わりがないこちら側でよく聞く類のものに似ている。縁がないとばかり思っていた聡実くんから発せられたその言葉をうまく処理できないまま、再び赤になった信号にしたがって、動きを止める車体に弾かれるように、助手席に向き直る。
     聡実くんもまた、じっとこちらを見つめていた。声色に釣り合わない、いつもと変わらない暖かい色をした視線にまた頭が混乱する。春の陽だまりを思わせる聡実くんの瞳が、こちらに降り積もる万年雪に注がれて、訪れるはずもない雪解けを待っている。
    「なん、で」
    「分かりますよ。四年て結構な間一緒にいさせてもらってたんやから。でも、なんで?」
     何故。理由を淡々と求める姿をやはり上手く受け入れられない。回答するまで終わらないであろう沈黙に、耐えきれなくてようやく声が出た。何故、そう聞かれないために立ち回ってきたのは、自分のことも聡実くんのことも、納得させられる最もらしい理由が分からないから。
    「もう充分やろ。聡実くん、社会に出て働くようなったら、大人になったんやったら、それはもうほんまに一緒になんかおったらあかんやろ。前に聡実くんも言ってたやん」
     ずるい言い訳だ。悪手なのは分かりきっている。以前に聡実くんも使っていた言い分を再び持ち出して、けれどそれはもう既に一度、聡実くんによって否定されている。にも関わらず、こう言えばきっと聡実くんは納得してくれる。いや、納得してほしいと思っていた。
    「違うやろ、なあ、狂児さん」
     けれど抱いていたそんな都合のいい願望は、当然の帰結として聡実くんに打ち壊される。落ちつき払った起伏のない聡実くんの声を、美しいとは思っても、恐ろしいとまで思ったのは初めてだった。
    「僕じゃなくて狂児さんが、僕とおるの辛いんじゃないですか」
     ぴしゃりとにべもなく、否定されたことにまた目の前がチカチカと瞬いた。酸素を回せと脳が出す命令に、ハンドルを握る指先が戦慄く。なんとか胸いっぱいに空気を取り込もうと息を吸い込めば、車内に充満するいちごの煮詰まった甘い匂いで痺れがまわり、何も考えることができなくなった。
    「なんで、そんなこと言うん」
    「だって本当のことじゃないんですか? って僕は感じてるだけですけど」
     十四の僕の存在が、ずっと狂児さんのこと苦しめてないですか。
     次から次に提示される可能性が、鳴り止まない雷鳴のようにガンガンと音を立て頭を駆け巡る。過ぎ去ることを願うしかない嵐の中、それでも聡実くんは、ただ頭を抱えてじっとやり過ごすだけなんてことを許してくれない。
    「でも、そっか。分かってなかったんですね。ごめんなさい。狂児さん」
    「なんで、謝ることなんか」
    「僕ほんまはずっと分かってたんです。蒲田きて最初の一年のときウダウダ色々考えて、もう会わんとか言ってたのにやっぱりそれやめて一緒におってほしいとか。めちゃくちゃ言って困らせたでしょ」
     ぎゅっと寄せられた眉根の皺と窄められた目元は、聡実くんが涙を我慢しているように見えた。一番見たくないと思ったものと、一番見たかった笑顔を一日でどちらも見てしまうことを、喜ぶべきか悲しむべきか。
    「なんでか、狂児さん僕には優しいから僕に付き合ってくれて。でもなんか辛そうやなって分かってました」
     なんでか。そう強調された言葉に、こめかみがズキリと痛む。知らないうちに力が入って噛み締めていた奥歯も連鎖するように、ズキズキと痛み出した。
    「ねえ、もし本当にそうなんやったら、僕やって狂児さんに辛い思いしてほしいわけやないから考えます。でもくだらん嘘つかれんのだけは無理やねん」
     先ほどまでとは変わって、氷河のようだった声色は少しばかりか陽だまりの暖かさを思い出したみたいに和らぐ。
     ふわりと揺れた、車内の空気がぶつかったのは、痛むこめかみを遠慮がちに撫でてくれる、ほのかに温かい聡実くんの指先だった。
    「嘘で納得とかしたないし、出来ひんから。やから、僕とどうなりたいか、僕のことどう思ってんのか、今度は狂児さんが考えて。僕はもうあの時考えたから」
    「え」
    「前に狂児さんも僕にチャンスくれたでしょ。だから今度は狂児さんの番。一年くらい、じっくり考えてもええんやないですか」
     は、とほぼ息継ぎのように漏れた声を聞いて、聡実くんはふわりと手を離す。触れた部分からじわじわと痛みだけを取り去ってしまうみたいに、不思議な余韻が残された。
     あの日いつかの四畳半の部屋で、過ごしていた記憶が呼び起こされる。どうなりたいか。あの時とは逆の立場で、今度は自分に跳ね返ってくることを予測できただろうか。
    「ほんならまた。連絡待ってますね。いちご、これ狂児さんのぶんのお土産やから」
     いつの間にか車は聡実くんの自宅最寄りにまで辿り着いていて、なんの未練も感じさせない軽やかさで聡実くんは車から降りてしまう。
     振り返りもせずにスタスタと歩いていく背中に声もかけられず、ただ呆然と眺めるしかできなかった。もしこれが映画やドラマの世界なら、ここで飛び出して捕まえてしまうのが正しい展開なのかもしれない。けれどここは自分たちの現実で、聡実くんはきっとそんなこの場凌ぎのことを望んではいない。
     先ほどまで聡実くんがいた助手席には、彼に大事に抱えられていたいちごの箱だけが、まるで聡実くんの変わり身のようにぽつりと残されている。深呼吸を続けていると、いちごの香りで再び肺が満たされていき、煙草をあける気分はすっかり消え失せてしまった。
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    tsuyuirium

    DONE大学三年生になって長期休みにまなちゃんと二人で京都旅行にきた聡実くんのお話です。
    まなちゃんのキャラクター造形を大幅に脚色しております(留学していた・そこで出会った彼女がいる)ので、抵抗がある方は閲覧をお控えください。
    狂児さんは名前だけしか出てきませんが、聡実くんとはご飯を食べるだけ以上の関係ではある設定です。
    とつくにの密話「おーかーぴ、こっちむーいて」
     歌うように弾む声で、呼ばれた自分の名前に顔を上げれば、スマホを構えたまなちゃんと画面越しに目が合う。撮るよー、という掛け声のもと、本日何枚目かのツーショット写真の撮影がはじまる。ぎこちなさが前面に押し出されている僕とは対照的に、綺麗な笑顔をした彼女の姿を切り取ることに成功したらしい。ツーショットに満足したまなちゃんは、今度は建物の外観をおさめようとカメラを構えていた。シャッターを切り続ける彼女の横で、せっかくならばと僕も彼女の真似をして二、三枚の写真を撮ってみた。
    「そんな待たなくて入れそうでよかった〜おやつどき外して正解だった」
    「ほんまやね。ここ人気なんやろ?」
    「週末だと予約したほうが無難ぽい。あとアフタヌーンティーするなら予約はマスト」
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