次元の旅人たちは、持たざる者が多い国に於いての振る舞い方を考えていた。
ビルが立ち並び有刺鉄線が張り巡らされたこの国には、特異資質者管理機関(Agency for the Regulation of Kindred)、通称ARK(アーク)と呼ばれる、所謂「能力者の管理・保護・育成」を目的とした国家機関が存在する。
能力者というのは、別次元でいう所の「魔術師」「魔法使い」を指している。この国にとってそういった力を有する者は大層特殊な存在で、一般人とは隔離する政策を敷いているようだ。
この国での普通は「何の力も持たない者」であり、普通ではない人間──特に、能力覚醒直後の子どもが力を暴走させて市民生活を脅かしたり、力に引きずられて心を壊してしまう事を防ぐ為に設けられた国際機関がARKなのだという。
1285