優しい人ほど・・・①
アベンチュリンという男は部下に対して厳しいが、恋人に対してだとそれはそれは甘い。
内容にもよるが、ミスをした部下には圧の籠った言葉でちくちく刺してくる。もちろん全て正論のため、お叱りを受ける部下は言い返す言葉もない。
しかし彼の恋人であるレイシオであれば「も~、仕方がないな~♡」の一言で片付いてしまうのだ。
あまりにも態度が違いすぎないか?と部下は何度も思ったことか。しかし、それ故にレイシオという存在に助けられたことがあるアベンチュリンの部下は一人や二人だけではないのだ。
アベンチュリンがレイシオに対してあからさまに甘いのは周知の事実であり、レイシオ自身も分かっている。
彼は自分に対して決して怒らない。そう思っていたからこそ、今目の前に立っているアベンチュリンから伝わる怒りの感情に、普段の強気な態度はなりを潜めてしまうほどだった。
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