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    105@海自艦擬人化

    @sanpomichi105

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    105@海自艦擬人化

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    174+116。距離感が手探り状態の頃。

    #擬人化
    Humanization
    ##本編

    護るもの 通常、喫煙所というものは諸々のしがらみから一旦離れてつかの間の休息を得る場所のはずだ。それが何故、じりじりと疲労感が蓄積する時間になっているのだろうか。
    「てるづき、お前確か吸わないだろう」
     付かず離れずの距離でちらちらとこちらの様子をちらちらと窺っていた、ここ横須賀に配備されてまだ日の浅い新造艦。なにか言伝てでもあるかと待ってみたが違うらしい。手持ち無沙汰な様子からも喫煙が目的でないのは明らかだ。それならそれで缶コーヒーでも買ってきておけば良いのにと思うあたり俺も甘いか。悪意は感じないものの、さすがに落ち着かない。ため息とともに紫煙を吐き出してからようやく声を掛けた。
    「吸いませんけど。背中を守るのが俺の役割なので。できたら近くにいさせてください。でも、邪魔だったら追い返してくれて構いません」
     淡々と応えながらも幾分不安そうな雰囲気が垣間みえる。あきづき型のコンセプト。それ自体は一応把握しているが性格にここまで反映されているとは思っていなかったのが正直なところだ。こんなことならこんごうにあしらい方を予め聞いておくんだった、と後悔しても遅い。しばらくしたら落ち着くと思いたいものだが。頭痛を感じこめかみを押さえた。
    「いるのはいい。ただ、次は何か喋るなり作業するなりしろ。居心地が悪い」
    「……はい!」
     パッと明るくなった表情につられて自分もほっとする。こういう相手は初めてだか、純粋に慕われるのは悪くない。まぁなんとかなるだろうと長くなった灰を落とし歩き出す。隣には番犬を連れて。
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    105@海自艦擬人化

    DOODLEかもめ(新幹線)とやはぎ(艦)。セルフクロスオーバーみたいなものです。
    新米の冒険 駅から続く電車通りから外れて海沿いの遊歩道を軽く駆け抜け、公園の端まで来るとそこから人々が憩う様子をふわふわと潮風を浴びながら眺める。この景色は元々は海から見る予定であったけれども、あいにく天候の折り合いが悪くて叶わなかった。それ自体はいまも残念に思っているものの、こうして別の機会にでも自ら赴けるあたり、人の身に意識を宿したことのありがたさを感じる。まだ慣れていないのもあってしばしばバランスを崩してしまうけれど。本体の性質のせいかこの身体でも走るのは好きだ。でもたまにはゆっくり歩くのも良いな、と遊ぶ幼い子供の笑い声や木々のざわめきを耳にしつつ元来た道を戻るべく振り返る。
    「こんにちは!」
     いつからいたのか、視界の手を伸ばせば触れられる距離に子供が立っていて、思わずびくっと身体が跳ねた。やや緊張した面持ちで声を掛けてきた子供は背格好からしてまだ小児料金が適用される年頃に見える。驚いて真っ白になった頭でもそれだけは真っ先に過ってちょっと可笑しくなった。落ち着いて思考を巡らせる。確か出掛ける前に先輩からは「人からは見えないのだから、もし迷ったら呼びなさいね」と言って携帯を持たせてくれたのだけれど。中には見える人もいる、ということなのでしょうか。こんなことなら対策を聞いておくんだったと内心はあたふたとしながら何を言うべきかを考える。
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    105@海自艦擬人化

    DONE祝・118進水日!10周年おめでとう~!
    雨上がりの記憶 不意に目を覚ます。直前まで夢でもみていたのか一瞬、ここはどこだっけと頭をよぎった。薄暗い中で視線を巡らせて、艦の馴染んだベッドであることを確認する。枕元に置いているデジタルの腕時計を手探りで掴み、顔の前でかざすと時刻は〇五二九を示していた。付近のベッドではまだぐっすりと眠っている者が大半のらしく、機械の作動音が低く響いているのを除けばしんと静まっている。
     もう一〇年前、か。
     寝起きの少しぼんやりした頭で今日だなぁと思い出す。時刻と並んで表示されていた日付は八月二二日。かつて海へと滑り降りた日だ。当日朝は普段と違う様子に緊張していたのか、単に暑くて寝苦しかったか、もしくは夢見でも悪かったのか。起きてしばらくの間ぐずぐずと泣いて、立ち会いのしらゆきさんを困らせたような記憶が朧気に残っている。ただ、さすがのベテランと言うべきか、彼の気性ゆえか、あれこれと世話を焼かれている内にすっかり機嫌が治っていだから不思議なものだ。僕では同じように出来ないだろうと思う。艤装中に〝ふゆづき〟の舞鶴配備を知ってからは生まれ故郷とのことでしばらくご無沙汰だけど、と注を入れながらも馴染みの店をいくつか教えてくれたりもした。就役後に訪れると既に閉めているところも多くあったけれど、続いているところの中には自分も気に入って、通っているところもある。出港中ですぐには叶わないけれど帰ったら久しぶりに買いに行くのを楽しみにしていようと思う。
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