コルヨレ/秘めたるは長年、同じ職場で働いていると改めて感じる事がある。優秀だと言う事だ。私は素晴らしい人材を助手に出来た喜びと、これからも発表されるだろう論文をいち早く読める立場として周囲から彼女を守れる側にいる事への自負を持っている。この世界はまだ女性が男性と並んで何かを成し遂げるには早いのかもしれない。けれど私なら、私なりに上司として守れるのだと言う感情をピャスト伯が天に還られてから約八年後に自覚した。
今ではすっかり大人の女性となり、職場環境も以前よりかはほんの少しだけ変化しただろうか?私と共にいる時の彼らは彼女に対して発言を選んでいる様に思えるから、ほんの少しは違っているのかもしれない。きっと私が彼らに小言を告げられるのではないかとビクついているだけなんだけど。私の一言でこの屋敷から飛ばされる事になるのだから神経を尖らせるのも分かる。いい気味だと思う。性別を理由に優秀な人材の目を潰してしまう思惑を抱いている者達への見せしめとしての牽制にも繋がる。
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