ざざーん、さらさらさら。
ざざーん、さらさらさら。
月に照らされ、よせては返す波を一人で静かに見つめている。
これまでの仕事で蓄積しきった疲労を少しでも和らげるべく一時的にP機関を離れ、この島に1人で滞在している。
今の状況を知るのは上層部のごく僅かな人間のみだ。ESのアイドルたちはもちろん知らないし、私が知られることを望まなかったためこのような対応となった。
(けれど、今も心のどこかには焦りがあって。)
(その焦りを減らすため、ここまで来たのに。)
と、現実を受け入れては片隅に不安が募っている。
もう少しだけ、肩肘を張らないようにと誰もいない砂浜に、着の身着のまま何も敷くことなく、そのまま寝っ転がった。
家族と行った海水浴でも当たり前のようにレジャーシートを敷いたから、こんなことをするのは初めてだ。
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